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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第35話 脈アリなのにもどかしい

 緊張しているのは、まあ仕方がない。だが、自分が送信したメールの文章が素っ気なさ過ぎてしまい、今日の送迎を『デート』と認識されていなかったのに……軽くショックを受けた。


 たしかに、会うかどうかのメールだけではデートの誘い出しには不適切だったかもしれない。とは言え、例の『ハル』に希望を見出されてから丸五年くらいは、藍葉のことを考えていたせいもあってフリーだった。


 十くらい年下の女の子への興味など、見様によってはロリコン扱いされるかもしれないが……今では二十歳を越えているから、世間体では年の差恋愛程度で済むはず。


 だが、当人が現実逃避をし過ぎていたせいで、認識されていなかったのは痛い。昔への謝罪は社会人としても出来たし、好印象も与えられるような素振りも頑張ったつもりだったが。



(むずいなあ……恋、と言うのも)



 企画書の提案の切り出しや打ち合わせのように、簡単なパズルの組み立てっぽく、はめ込むことは容易ではなかったのは……わかってても。


 思い通りにいかないのは、気持ちや心というのは本当だったと先人らの言葉を疑っていたわけではないが……自分が愚か過ぎだと理解した。


 そして、藍葉だが車を出してもぽかんとしながらスマホを眺めていた。成樹がアプリを起動しろと言った割には少し不自然な表情だったが。



「……どうしたんじゃ?」

「……えない」

「うん?」

「ちょっと……あり得ない! 広告の演出並みに、ポイントがザクザク入ってくるの!! シゲくん、このチェックポイントって変な設定した?!」

「……いや?」



 たしかに、移動したらポイント回収出来る案は前々から他のモニターでもあったため、少し大袈裟なポイント回収を出来るようにした程度だ。もしくは、それが藍葉には異常に見えたのかと……高速に入る前のコンビニに停車し、スマホを見せてもらったが。



「これ、普通なの??」

「…………た、多分」



 片言になりそうなくらい、地図アプリの各所にチェックインが無数に散りばめられていたのはまだいい。問題は、それをゲームの無料コインのように掻き集めるシステムになってしまい……還元しても、軽く数万円分まで達していた。


 これはシステムを見返したいところだが、今日は完全オフなので機材用の端末やPCは持ち合わせていなかった。だから、取れる手段としては。



「……どうする??」

「……考えてたことはお互いあるかもしれん。足の手術費用の足しにせんか?」

「え? シゲくんも??」

「償いどうかやじゃないよ。俺だって、藍葉のこれからの可能性を潰したくないんじゃ。……寄附金としてでもいい。受け取ってくれんか?」



 私用半分、世間体の言い訳半分。今日の走行距離を考えれば数十万単位で稼ぐくらい余裕だ。デート費用が実質タダになるのもだが、会社へはもともと未来の人材を少しでも手助けになれば……と国際機構などにも協力していたりする企業だ。


 藍葉の障がいは身体以外にもあるが、与える環境次第では伸び代が大きく変動する。なら、その未来を利用する形になってしまうが……成樹のためにも受けてほしかった。


 恋を成就したい、ひとりの男としても。

次回はまた明日〜

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