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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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34/61

第34話 これはデートか?

 日曜日になってしまった。


 移動は成樹が車を出すからと、家の中で呼び鈴が鳴るまで待つことに。どこかおかしくないか、メイクはやり直した方がいいのかと四苦八苦していると……すぐに呼び鈴がなったので応対するしかなかった。



「お? 可愛いカッコしとるの」



 さらっと言うのは慣れているせいか、と思いかけたが。グラサンの向こう側で優しく目が緩んでいるのを見ると、こちらが照れてしまいそうだった。



「……シゲくんも、かっこいいよ」

「そらどーも」



 シンプルでいて、スタイルの良さを引き出している服装が眩しく見える。美晴はいないのかと聞けば、なぜか苦笑いされてしまった。



「?」

「上司と部下なんはもちろんじゃけど……デートのつもりなんじゃが」

「え」

「ま、最初はこんなもんじゃろ。扉開けたるから、ゆっくり乗りんしゃい」



 意味がわからない、と普通なら思ってしまうところだったが。からかっている様子もないし、昔の罪悪感からの誘導でもなさそうだった。ひとまず、車に乗ればシートベルトは代わりに締めてくれるし、頭を撫でる手つきは優しいもの。


 勘違い、でないにしてもここまで尽くしてくれる成樹の行動の一つ一つに、ときめきを覚えないわけがない。愛されているにしても、それは幼馴染みだと思っていたのに。



(……変に期待しちゃう!)



 障がい者として生き方のほとんどを諦め。


 間接的でも、成樹への恋心は玉砕したと思い込んでいたし。


 そのどちらをも、フォローしてくれたのは兄のおかげもあるが、きっかけは運転席に移動した成樹が大半。



「まずは、適当にドライブ行くぜ。好きな音楽でも聞いとき」

「……ポッド繋いでいいの?」

「ええよ。藍葉の好きなもんも知りたい」



 と言っても、いきなりアニソンは恥ずかしかったので、BGM風の挿入歌を集めたヒーリングソングにしておいた。歌詞があるようでない、伝承の歌とかを集めたものだが。



「……どしたの? シゲくん」



 運転はスタートしたが、顎に手を添えるときは何かを思いついたような動作に見える。声を掛ければ、『ああ』と軽く返事はしてくれた。



「いいもんやなと。あのアプリにまだBGMは依頼しとらんし……こーゆーのもええな」

「これ、ほとんどアニソンだけどね?」

「言われんとわからんぜよ」

「ボーカロイドのとかもそう思われがちだけど。私はこっちも好き」

「ほーん」



 とりあえず、どこへ行くかの話の流れには持って行けたが。高速に乗って有名サービスエリアや道の駅を回ると言う……デートにしては健全過ぎて少し意外に思ったのだった。



「……テーマパークかと思った」

「足悪い子に、一時間でも並んで立たせるのは嫌じゃ」

「……ありがと」

「それに、藍葉はなんとなく食べ巡りの方が好きそうな気がしたんよ」

「……正解です」



 そこそこ交流のブランクはあったのに、好みはお見通しだったようだ。なら、と曲をシャッフルして色んなアニソンを流せば、互いに好きなアニメの話題へと自然に変わる。


 それともうひとつ。



「移動のチェックイン。ここで存分に実験しんしゃい。藍葉はその機能あんまり使えんじゃろ」

「あ、そーいえば」



 提案しときながら全然だったので開けば……しゅぽんと音がなったと同時にバナーにはとんでもない数値のポイントが集まって、目を剥きそうになった。

次回はまた明日〜

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