第27話 アプリのアップデート
『いくつかバージョン更新しといた。モニター組は先動かせるから、また改善点あったら教えて欲しいぜよ』
成樹から、バージョンのアップデートが終わるまでは普通のポイ活だけにしてもらえないかと言われていたが。
まだ一週間くらいしか経っていないのに、流石社会人はスキルが違うと感心したほどだ。美晴は同じかはわからないが、立場上は部下なので手伝ったに違いない。
とりあえず、アップデートのタブを押して更新が終わるまでは一分もかからず。
仕様が変わったのはモニター側だけで、クルスら『異世界ファーム』側には特に変わったところは見られなかった。リリース時期は聞いていないが、一般ユーザーへの配信が決まるまでは固定するところはしているかもしれない。
「えーっと……あ、こことここの紐付け短縮化されてる!! 記録出来るデータ量も増えた!!」
藍葉に使い易い仕様にしてくれたかのようにも見えるが、他にもモニターがいるから共通しているはず。更新のGBは結構使っていた気がしたが、なかなかにゲームバランスとしても有益な仕組みに切り替わっていた。
余分な箇所を削り、更新以降のゲームバランスをうまく整える必要性は、開発者と共同会議などをしなければ難しい。それをそのまま活かしたようなアップデートが為され、これなら……とパソコン教室で練習しているタッチのために、レシピの書き出しをそのまま入れられないかと試してみた。
文書データをいちいち打ち込むのも楽しかったが、実際に使うのはアプリ内のミッション任務。使えるかどうか、タップでドロップインしてみると。
『レシピデータが『➖➖』から『➖➖』まで全て移行出来ました。個体名『クルス』が移動販売出来るようになるまでのレシピが整えられました』
「移動販売?? もう他のモニターと交流機会もらえるってこと??」
通常のゲームサーバー内では領土の中ではNPCを従えて街や国を束ねるのだが。
このアプリで成樹が提案したいのは、藍葉のように障がい者の雇用制度に基づく『仕事場』を提供したいとのこと。どれだけ浸透するかはわからないが、身体もだが精神科でかかる患者は年々増えつつある。
その新薬開発までには途方もない時間と、服薬に相性も必要なのだ。一般就労しにくいのは藍葉だけではないが、きっかけは藍葉だったと語ってくれた。
罪滅ぼしとしても考えた時期はあったそうだが、今では本気だと。
まるで告白でもされたかのような強い言葉ではあったが、藍葉のためとも言ってくれたのが嬉しくて。思い出すたびにニヤけてしまうのは仕方がない。
だからこそ、他のモニターがこのアプリを使い易いように……今度は違うサーバーへの出張任務とやらをしてみることにした。
次回はまた明日〜




