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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第25話 幼馴染みに戻れるか

 配膳は美晴らが帰宅してから頼むのはいつものことなので。それ以外を丁寧に作業していけば、あっという間に準備が整ってしまった。


 できるだけ、出来立てのご飯を食べて欲しいのは成樹の方でも。意識し過ぎて丁寧に作り過ぎ、二度揚げの唐揚げを作ったくらいに意気込んでしまった。



(……お兄ちゃんだけならだらけた姿見せてもいいけど)



 好きな相手には、恋人でもないのにそんな姿を見せることは出来ない。と言うか、羞恥で死ねるので軽くメイクもしてみた。上司抜きにしても、すっぴんは先日の再会で見られているにしても……女としては最低限の身だしなみは整えておく。それくらいは、恋する女としてはきちんとしたい。



「ただいま〜」

「……お邪魔しますぅ」



 部屋からキッチンに戻ってきたあとに、美晴らがやってきた。玄関に行こうにも、さっさと言わんばかりに美晴がキッチンに入って来て。



「シゲがデザート買うてくれたから、楽しみしとき」



 運ぶから、と客である成樹の話し相手をしろとかで背を叩いてきた。たしかに、放っておくわけにはいかないと杖を動かしてリビングに向かう。ちょうど、テーブルに土産だと言うケーキの箱を置いてくれているところだった。



「おー。わざわざすまんな?」



 少し前に会った時は、まだ気温が高いせいもあってクールビズを意識した服装ではあったが。最近は気温も過ごしやすくなったせいもあるのか、今日はネクタイをしていた。地毛の赤髪を意識してか、タイはスカイブルー。銀のネクタイピンがよく似合う、と、クルスのキャラデザがまた色々浮かぶくらいに見惚れてしまっていたが。ギリギリ、残っていた理性部分を駆使して返答するのは頑張った。



「お兄ちゃんがいきなりごめんね。無理矢理だったんじゃない?」

「まあ、ちょい強引じゃったけど。いつも出来合いじゃからな。こっちはご馳走になるのは嬉しいもんよ」

「……そ、そう?」

「おん。手土産は常識じゃ。美晴に聞きながら選んだんじゃが」



 手料理が嬉しいと言われ、心の中でガッツポーズをしてしまう。なんでもいいと言われただろうに、ケーキを見せてもらうと藍葉が好きなフルーツたっぷりのタルトやバスクチーズケーキとかが入っていた。ひとり二個にしても、どれでも選べるように買ってきてもらえたのは嬉しい。


 冷蔵庫に入れようとしたら、自分が美晴に渡すと言い出してくれた。



「杖持ちながらだとやりにくいじゃろ? 飯作ってくれた分のはやるよ」



 十年ぶりにまともな会話をしていると言うのに、本当に素敵な男性になり過ぎてトキメキ度がどんどん上がっていく。幼馴染みに戻れるか、少し怪しんでいたのが払拭されるようで嬉しく、頑張って定食並みのご飯を作って良かったと思えた。


 三人で食卓を囲んだ時も、成樹の食べっぷりは見ていて気持ちがよく。多めに作った唐揚げはおかわりするくらい、たっぷり食べてもらえたため……藍葉は久しぶりに素直に笑顔が作れた。



「お兄ちゃんはおかわり無しね」

「なんでや!!」



 などと、ちょっといたずらする余裕も出来るくらい、幼馴染み同士の会話が弾み。兄妹のやり取りにも成樹が声を上げて笑うくらいだった。

次回はまた明日〜

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