第17話 広告ゲーム風になってるが
成樹には、定期的の成果報告をする以外……無闇に連絡しないようにしているが。
彼の仕事が『成功』するためにも、部下の部下として何か出来ないか。ポイ活の中で重要視している『AIの育成』について、いつか組み込みたいシステム以外を……まずは整備も兼ねて始めてみた。
「ヘーんな、海外のファーム育成ゲームとかあるけど。そう言えば、ホームページとかも最初は手作業だったぽいもんね? 『自分』で作っちゃえばいいし! にいちゃんたちのこれ、すっごく作るの楽だもん」
座り過ぎだと足に負担のかかる藍葉が、ベッドに寝転がっていてもアプリを起動していなくたって、進められる。十数年でIHの技術が大幅に変わり、アプリに必要な電力も節約出来るようになってきている。
成樹と美晴がプロジェクト管理している、この『ポイ活』の運用が藍葉のように身体障がいを持つユーザーだけでなく……精神障がいで仕事がしにくいユーザーにも活用可能かもしれない。
福祉関連の交流で彼らとも関わったことがあるが、『こころのゆとり』がなかったり、欠如している『何か』がある以外……普通の人間だ。差別するのは、個人の感覚ゆえに仕様がない人たちは居ても……藍葉も身体障がい側で似た状況だから、うまく相容れないことも出て来た。
もしかしたら、と思うことがあっても……まだ次の受診日まで時間がある。
それでも、大学卒業までの大きな一歩を増やせれたのだ。それだけは、成樹への再アタックのためにも大事にしたい。だからこそ、恋愛についても慎重になっているのだ。
まずは、寝ながらでもポイ活システムの編集作業ができないか、ヒトゲノムマップ風にクルスとの任務を紐づけていけば。
「……村くらい出来ちゃった」
土地の囲い。倉庫施設。場合によっては、他のユーザーとの交流可能なまでの、擬似軍事施設。
クルスの任務で貯まったゲージを、ポイント還元せずに他所の施設運用に動かしただけなのに。これでは、しばらく自分から仕掛けるのは宅配弁当とか……そのレシピを打ち出す作業以外ない。
クルスの機動能力もまずまず順応しているのは、キャラメイクを好きな相手の成樹に似せたせいだろう。であれば、次は『自分で購入』欄を増やしてみるか。
もともと、服装はボーイッシュなのが好きだし。杖でスカートは歩きにくいので……ポイント還元出来るようになったら、ネット通販を開放しようと決めた。
それと、さらにキャラメイクするのにクルスの服アイテムも増設出来るか試すことにした。
順調過ぎて……実は同調監視されていると知らない藍葉は、成樹が会社のディスプレイで悶えているのを知ったら、どう思うか。とにかく、幸せモードは偉大だった。
次回はまた明日〜




