ダンジョンいっとく?
「ケーマ師匠! 今日は何をするでありますか!」
「今日はダンジョンに潜る」
ダンジョンに潜る系のお仕事をゴゾーに誘われた時に押し付ける相手になってくれることを期待して、シキナをダンジョンに連れ込んでみることにした。
というわけで、ニクとシキナと俺の3人パーティーでダンジョンに潜る。といっても俺とニクにとってはただの散歩だ。
「自分、ダンジョンは初めてであります! 魔物退治なら何度もしたことあるのでありますが」
「そうか、ところどころに罠があるから気を付けろよ?」
「はいでありま――――足首をくじきましたァ!」
早速かよオイ。
俺は落とし穴に引っかかったシキナを助け、【ヒーリング】をかけた。
「お前、言ったそばから罠に引っかかるなよ……」
「面目無いであります。魔剣さえ使えればこんな怪我しないのでありますが」
「魔剣? なんだ、便利な機能でも付いてるのか?」
「我が愛剣セオーンは、ダメージを無効にする効果があるのでありますよ」
えっ、なにそれめっちゃ強くね?
「そんな便利なモンがあるなら使えばいいんじゃないか?」
「使っていいのでありますか! なら使うのであります」
と、シキナは腰にさしていた剣を抜く。
鋼鉄の剣。柄には涙型の青い魔石が嵌っていた。これが魔剣セオーンか。
「普段はなるべく使わないように言われているのであります」
「何かひどいデメリットでもあるのか? 後で無効にしたダメージを一気に食らうとか」
「そんな酷いデメリットは無いのであります。ただ、ダメージを受けると服が破れるであります。さっきの足首をくじくくらいのダメージなら……靴下に穴が空くくらいでありますな」
なるほど、つまりダメージを受けると服にダメージを転嫁すると。
……どういう魔剣だよ!?
「あと、即死ダメージを受けたら一気に全裸になるであります」
「中々強い魔剣だな、中々強い魔剣だ。……だけど」
「便利なのでありますが、父が嫁入り前の娘が使うような剣ではないと」
確かに……!
「まぁ戦場では裸かどうかを気にしてたら死ぬだけでありますゆえ、ガンガン使っていくのであります!」
「お、おう。まぁ気を付けろよ? あ、まてそこの扉は」
「はい? へぶあ!」
扉からザクッと生えた剣に刺され、パチーンと服が一部はぜた。ダメージを受けたのが胴体なのにスカートが、だ。
……確かに体は無傷だけど、これはどんどん脱げていきそうだ。
「……シキナはニクの後ろを歩け。ニク、ここらの罠について教えてやってくれ」
「は、はいであります。よろしくであります先輩」
「はい。ではまず――」
と、ニクの指導もあったけど、なんだかんだで罠にかかってスカートが大破した。
「どうしてそうなった」
「……わたしがついていながら、申し訳ありません」
「……くっ、あんまり見ないで欲しいであります、師匠!」
内またでもじもじしながら手で下着を隠すシキナ。
ニクも申し訳なさそうだ。……いや、ニクは良くやってくれてるよ。こいつが罠にかかるのが悪いんだ。
「まぁパンツくらいは隠せ。ほら布やるから」
「うう、ありがとうであります。でも師匠ならチラチラ見てもいいのでありますよ?」
確かに破けたスカートから覗く太ももは確かに魅力的だが、そこまで飢えてない。
俺がカバンから出した(と見せかけてDPで交換した)布を渡すと、シキナはそれを腰に巻く。
「師匠は準備がいいのでありますなぁ。まるで自分のスカートが破けるのを知っていたかのようであります!」
「変なこと言うな。布は止血にも折れた腕を固定するのにも使えるから持ってただけだ。というか、そんなに簡単に服が破けるなら替えの服を持ち歩いてないのか?」
「……おお! その手が!」
馬鹿かコイツ。服が破けるなら着替えを持ち歩くのは普通に思いつくだろうに。
「確かに着替えればいくらでもダメージ食らい放題でありますな! さすが師匠であります! 帰ったら早速買い込むであります」
「おう、安物の古着でいいから買いこんどけ、それがお前の残機になる」
「残機! とても的確な言葉でありますな! つまり残機がある限り罠を気にせず突き進めると!」
「いやそもそも罠にかかるなよ。注意しろよ」
というか残機ってちゃんと意味通じるのかよ。きっと過去の勇者の仕業だな。
と、ゴブリンが2匹ほど近くにいるな。
昨日は模擬戦でボロ負けしてたし、ここは雑魚モンスターの代表格であるゴブリンを相手に気持ちよく勝ってもらおうじゃないか。
「おい、あっちからゴブリンが来る。お前ひとりでやれるだろ?」
「はっ! 了解であります」
俺は生贄となるゴブリンをこちらに呼びつつ、シキナに戦闘準備を促す。
すぐに2匹のゴブリンがやってきた。
「行くであります! でっりゃああああ!」
「ゴブッ!?」
1匹目のゴブリンがシキナの斬撃によってあっさりと絶命した。綺麗に真っ二つだ。
2匹目のゴブリンはそれを見て棍棒を構えた。
「とぉおおおりゃあああ!」
ゴブリンが棍棒でシキナの剣を受ける。
しかし魔剣セオーンは棍棒ごとゴブリンを一刀両断に――できなかった。
パキリ、となにか嫌な音がして、シキナは一歩引く。
「ぐっ!? し、しまったであります!」
「おい、Bランク相当の地力はあるんじゃなかったのか? 何ゴブリン相手に苦戦してるんだお前は」
「な、なんのこれしきっ! せいやっ!」
ひゅん、と斬る音が聞こえて、ゴブリンの首が飛んだ。どさり、と頭のない胴体が床に倒れた。
「……勝ったであります!」
「おう。……で、なんか変な音してなかったか? その魔剣から」
「うぐ。その通りであります。多分今の戦闘でヒビが入ったでありますな……」
見ると、棍棒と当たったあたりから剣の幅半分ほどのヒビが入っていた。
「ああ、やっぱり。これはあと1、2回全力で振るえばそれだけで壊れるでありますよ」
「それは……折角の上等な魔剣だったのに、残念だったな」
「全くであります。これは一晩は使えないでありますな」
……ん?
「それ、直るのか?」
「セオーンが折れるのはいつもの事であります。鞘に入れておけば直るでありますよ」
なんと。折れても直る魔剣なのか。ますますスゴイな……って、
「その剣、そんなにしょっちゅう折れてるのか?」
「はいであります。ちょっと硬いものを無理に斬ろうとするとすぐ折れるので、綺麗にうまく斬らないとダメなのでありますよ」
鋼鉄製のガラスの剣かよ。
装備もボロボロになって剣も折れて「くっ」てなるシーンしか思い浮かばないよ。でも魔剣の効果で体は割と無傷というね。
「……そうなると、アイアンゴーレムとかが相手だと最悪ってことか?」
「鉄ならうまく斬れば斬れるであります。個人的にはゴブリンの棍棒の方がよっぽど難しいでありますな、ゴーレムはむしろ斬りやすいのであります。失敗したら一瞬で壊れるでありますが」
さらりと鉄は斬れると言いやがったよコイツ。
ちなみにニクも上手くやれれば鉄を斬れるらしい。凄いなお前ら。
(あ、5巻の表紙については活動報告の5巻開発秘話のところに置いときました)





































