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なろうで使える宗教を考えてみた。(おまけの文章付き、なお、おまけの方が長い模様)

 不真面目な内容ですので、ガチの神学論争を期待しないでください。

 さあ、救済の時間だ。( ̄▽ ̄)//

 こんにちは、加藤良介です。

 突然ですが、皆さんは神様を信じていますか?

 私は信じてます。

 いや、信じているとは少し違いますかね。(´Д`)んー。その存在を感じます。

 感じ取った結果。あいつらはくそ野郎だと言うのが最終的な見解ですね。神様の存在は信じていますが、特に礼拝する気は無いが正確でしょうね。

 ちなみに私は仏教徒ですので、神様に対しての解釈は一捻り入ります。


 さて、なろうに限らずファンタジー小説には、神様が出てくることがあります。

 不運にも死んじゃった主人公を来世に転生させてくれたり、不思議な力を授けてくれたりします。

 作品によっては相棒的立場で、共に生活したりして、活躍の場面も多いでしょう。

 しかしながら、これらの神様はただの設定であることが多く。不思議な力を持っていること以外は人間との差はあまりありません。

 それは何故かと言えば、神様が寄って立つべき宗教的設定がいい加減だからでしょう。

 宗教としての態を成していない神様ほど、薄っぺらい設定もないでしょう。

 裏側が透けて見えるレベルです。

 そこで今回は、なろう的神様の説得力を上げるために、小説家になろうで使えそうな宗教を考えてみました。


 宗教を考えると言っても、小難しい話は止めましょう。

 カトリックとプロテスタントとの違いはなんだとか、大乗仏教と小乗仏教がどうしたとか、原始精霊信仰がなんだとか、ややこしい話はオールカットです。

 これをやり始めると終わりが見えませんし、私自身に宗教の詳しい知識がありませんので、論述にボロが出ます。

 更に大して面白くもない、面倒くさい話がだらだら続くことは目に見えています。ですので、モデルケースになり得る宗教を探してきました。それもラノベから。

 今回はこの宗教をベースにして、なろうで使える宗教を考えていきましょう。



 ・ アクシズ教


 大人気ノベル「この素晴らしい世界に祝福を!」に登場する宗教です。

 ヒロインの一人である水の女神アクアがご神体のこの教えは、異世界である程度の勢力を持っている宗教として描かれています。

 私は当初この設定を相手にしておりませんでしたが、考察していくうちに意外な事実に気が付きました。


 それが、「アクシズ教。意外と宗教としての体裁が整っている」です。 


 これは大変珍しい事です。

 ラノベの宗教は設定だけのことが多く、宗教としての実態が存在しないものばかりなのですが、アクシズ教はちゃんと宗教していたのです。

 

 まず、ご神体としてのアクア

 日本担当の水の女神という意味不明の設定のこの女神、一筋縄ではいかない神様です。

 まず日本人の死者の前に現れて、天国か異世界への転移かを選ばせます。

 若干、閻魔大王と職責が被っていますが、他の転生者を見るに、若くして亡くなった男性限定で担当しているようです。

 異世界と天国の選択を、死者の自由意思に任せていますが、本音としては異世界への転移を望んでいます。

 特典などを使って異世界へと誘導はしますが、強要はしないので神様の割には良心的と言えます。

 大抵の神さまは問答無用な事が多いのですが。

 その後、なんやかんやあって、異世界の地上に顕現します。

 本人は嫌だったようです。

 まぁ、突然の配置転換だったので気持ちは分からなくはない。

 異世界に行ってしまうと日本の担当から外れるので、それが嫌だったのかも。もしかしたら職務に忠実な神様だったのかもしれません。

 見ている限りでは、そうは見えませんが。


 さて、強制的に地上に降臨した訳ですが、本人曰く、力が制限されているらしい。

 元の役割では力を使う必要が無いので、真偽は不明です。

 真偽は不明ながらその力は絶大です。

 死者を簡単に生き返らせることが出来ますし、汚染水を浄化することが出来ます。

 なかなか分かりやすく、神の御業を披露してくれました。

 神様の力としては及第点です。



 次にこのアクアを崇めるアクシズ教ですが、驚くべきことにしっかりとした教団が存在します。

 しかも組織化されているのです。

 指導者がいて、その下にシスターがおり、教会が存在します。

 アクアは水の女神ですので、水に困っている人々や水害に悩んでいる人々から信仰は集まるとは思うのですが、このアクシズ教団、そんなレベルの教団ではありません。

 なんとこの教団、伝道、つまり布教活動を行うのです。

 水の神様には必要のない活動ですが、アクシズ教団は水にまつわるの宗教ではありません。

 ある種のイデオロギーの共同体として活動しています。


 ラノベではちょっと見たことないですね。伝道をする教団は。

 伝道をするという事は、他者に伝えるべき教義が存在することになります。

 これだけでも驚くべき事なのに、なんとアクシズ教団には戒律まで存在します。

 即ち、「教祖」「教義」「戒律」からなる、宗教の三大要素を完備した宗教なのです。

 見た目によらず、アクシズ教団はれっきとした宗教勢力なのです。

 これには参った。\( ̄▽ ̄)/

 

 

 元来、水の神様には教義は必要ありません。お祭りをすればいいだけです。

 しかしながらアクシズ教には、れっきとした教義が存在いたします。

 それが「ぐうたら楽して暮らしたい」と言うものです。

 内容には大いなる問題がありますが、ある種の普遍性を備えているので、教義足り得るでしょう。

 いい加減でも教義を持っているラノベ宗教は珍しいでしょう。

 びっくりだよ。Σ(・ω・ノ)ノ!


 更に驚くべきは、御神体たるアクアの口から、アクシズ教徒の心得が飛び出した事です。

 これは正に戒律です。

 内容はこれまた碌でもないものでしたが、神様が「こうしなさい」と明言したので、これ以上に無いぐらいに戒律なのです。

 凄いでしょう。アクシズ教団。

 神様が登場する作品は履いて捨てるほどに存在いたしますが、アクアとアクシズ教団はそれらと同列には語れません。

 教祖たる存在がいて、それを信じる信者がいて、信者を纏める教団があって、広めるべき教義があって、守るべき戒律があるんですよ。其の完成度たるや脱帽ものです。


 教義と戒律は無茶苦茶と言いましたが、アクシズ教団の実態を観察すると、別の見方もできます。

 まず、アクシズ教徒はとても信心深い信者が多いようです。

 彼らは布教の努力を惜しみません。信者数の増加にも熱心です。

 即ち彼らは信心深く努力家という事です。

 ぐうたら、楽して暮らしたいという欲求に対して、大いに努力いたします。

 私は昨今の日本でこれによく似た考え方を知っています。


 皆さんはファイヤー「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」と呼ばれる考え方をご存じてしょうか。

 「人生の早い段階で経済的な自立を実現させて、仕事を早期に退職する生活スタイル」の事を指します。

 要するに若いうちに大金を稼いで、後の人生は趣味などをしながら悠々自適に暮らすというライフスタイルの事です。

 昨今憧れのライフスタイルだそうです。

 何とかして大金を稼いで後は楽に暮らすという意味では、アクシズ教の教義と大した差は無いように思えます。

 アクシズ教徒が目指している生き方は、正にファイヤーと言えるでしょう。


 アクシズ教団では、お金を稼ぐ方法は問われません。

 一攫千金を目指してもいいですし、すでにお金を持っている人に擦り寄っても構いません。

 コツコツと努力すること以外なら、手段は問わないようです。

 また、明確な犯罪には手を出さないようで、一定の良識を保持しています。

 これは作者の方が意図したのか、ただの偶然かは分かりませんが、現代社会にも通用する考え方と言えます。

 恐るべしアクシズ教団。Σ(・ω・ノ)ノ!

 異世界のファイヤー教団と言っても差し支えないでしょう。

 なんという普遍性。


 そして、アクシズ教団が宗教として合格点に達していると言えるのが、この教えによって救われる人が存在するという事です。

 宗教の役割は一言で言いますと「魂の救済」です。

 平たく言えば、気持ちを楽にしてくれることです。現実社会の問題解決は、あくまでも副次的なものです。

 作中では、アクアの言葉で救われる信者の姿が描かれています。

 アクシズ教は、ファイヤーを説くことによって人々に救済を与えているのです。

 設定だけの宗教ではここまで描くことは不可能です。

 ラノベの宗教だというのに、ここまでの完成度。

 恐るべしアクシズ教。


 なろうで宗教を作る場合は、アクシズ教団を参考にすれば作りやすいと思います。

 ただ、この教団にも一つだけ問題点があります。

 アクアという人格を持ったご神体が出てくるので、神秘性はゼロです。神秘性を高めたい場合は、神様ご本人は登場しない方が良いでしょう。



 ・ 作成


 ここからは実際に、なろうで使える宗教を制作していきましょう。

 まず、要素を羅列します。


 ①全知全能の神が存在しない

 全知全能の神様は存在が圧倒的過ぎるので、ファンタジー作品には出しにくいでしょう。


 ②人格を保持している神が複数存在する

 人格神の存在は、これがやりたいから神様を出す作者がいるので、要素というよりも要望でしょう。


 ③人類に明確に認識できる存在である

 人格神は人類に明確に認識できないと、信仰の対象にならないでしょう。ただし神秘性が喪失いたします。神秘性の喪失は宗教にとって大きな痛手です。


 ④神に対抗する勢力がある

 神様だけ出すと、強すぎでお話になりません。邪神、悪魔、悪霊、なんでもいいので対抗勢力を作らなければなりません。


 ⑤信者が存在する。もしくはかつて存在した

 信者は大事です。必ず設定しましょう。誰からも拝まれなければ、神としての存在意義がありません。人のみが神を持つとは至言です。


 ⑥宗教儀礼をおこなう構造物、祭器がある

 原始的な精霊信仰でもない限り、宗教施設や祭器というものは必ず存在します。


 ⑦それらを運営する組織がある

 宗教組織は、高度に組織化されているカトリック教会を参考にして作ると楽でしょう。情報も沢山出回っていますし、千年以上存続している組織です。最上級の完成度でしょう。


 ⑧他者に説明できる教義が存在する

 教義から難易度が上がりますね。まぁ、アクシズ教のような適当なもので構わないと思います。


 ⑨実生活で実践すべき戒律がある

 戒律は教義の設定が完了すれば簡単に制定できます。教義に則って作りましょう。


 ⑩これらによって魂が救われる信者が存在する

 魂の救済は最優先事項です。①~⑨まで、すっ飛ばしてでも救われる信者を設定しましょう。これこそが、神と宗教の存在意義です。不思議な力を持ってるだけでは神とは呼べません。ただの不思議ちゃんです。


 これの要素を当てはめていけば、比較的楽に宗教を作成出るでしょう。

 試しに作ってみましょう。


 異世界を統括する天界があります。

 その天界に猫の神様がいます。

 もちろん猫耳。語尾はニャ。長い尻尾も付けましょう。当然、二足歩行の美少女でお願いします。

 名前は・・・猫とバステトをくっつけて、ネコバス・テトにしましょう。非常にジブリ感あふれる、愛らしいネーミングです。

 さて、何を司る神様にしましょうか。

 古代エジプトのバステト神は、病気や悪霊を祓ってくれるらしいです。また、多産、豊穣を司り、音楽、踊りが好きらしいですね。(wik参照)



 バトル作品なら悪霊退散の能力がいいでしょう。

 モチーフアイテムは弓がいいかな。

 悪霊退散は、そのままで教義になり得ますから楽でいいですよね。

 悪霊を祓うために様々な儀式を考えたら、戒律、禁忌も自然と思いつくでしょう。

 組織も陰陽師的なもので、悪霊を祓えばいいと思います。

 悪霊を退散させるわけですから、信者の獲得にも困らず、ネコバス・テトは主人公の頼もしいパートナーにもなってくれるでしょう。 

 


 少し捻るのであれば、音楽と踊りの神様にしましょう。

 作品の舞台を劇場や音楽学校とかにすれば面白いかも。

 モチーフアイテムは楽器。

 持ち運びの出来る、手で奏でる楽器がいいでしょう。ギターとかマンドリンとかハープとか。笛とかピアノは止めた方がいいんじゃないかな。

 笛は歌えないし、ピアノは踊れない。

 教義は自由とか解放とかアート系のものでいいんじゃないかな。戒律は毎日稽古。

 音楽学校がそのまま組織に転用できます。

 信者にも、音楽によって救われる人にも困らないでしょう。

 こちらの設定の場合は、主人公にしか見えないという展開もありです。

 「ヒカルの碁」の佐為と同じ役どころですね。

 


 いかがでしょうか。

 ①~⑩の初期設定をしっかり組めば、比較的簡単に神様と宗教の運用が可能でしょう。

 真面目で精緻な宗教を考える場合は、実際する宗教と神様の学習と研究が必要かと思います。

 


 ナーロッパの歴史がまた一ページだニャー。ฅ^•ω•^ฅ

        

 

               

___________________________________________________________



 没原稿編


 ここからは没にした文章を載せていきます。

 結論があやふやだったり、途中で「なんか違うな」と思った文章たちです。

 普通は消去するんですけど、頑張って書いたので掲載します。勿体ないの精神です。




 ・初期バージョン


 さぁ、救済の時だ。( ̄▽ ̄)//

 今回はなろう小説で使えそうな宗教を考えていきましょう。


 なろうでは宗教に大きなウェイトは置かれません。

 理由はただ一つ。

 「面倒くさいから」です。

 ドロドロの宗教論争をしたいなろう小説家は圧倒的に少数派ですし、それを読みたい読者も少ないかと思います。

 なろうの作者は需要に敏感ですので、この辺りに興味を持つことはありません。

 自作品に宗教を出したとしても、サラッと当たり障りの内容に構築するのが一般的。

 そんな、なろう宗教界に一石を投じるためにも、なろうで使えそうな宗教を考えてみました。

 それでは始まり始まり。\(゜ロ\)(/ロ゜)/




 ・第一章 分類



 ① 人造多神教


 まず、親分たる全知全能の主神がいます。その下に専門職の神や天使を配置します。

 小説で運用するための設定的な宗教です。

 この宗教の利点は、神様を物語に登場できるという事です。

 主神の命令を受けた神なり天使なりが地上に降臨し、人々と接触することで物語が進んでいきます。

 欠点といたしましては、宗教勢力を構築しにくい事でしょう。

 神様本人が地上に顕現しているので、宗教的権威の全ては神様に集まり、教会勢力などは組織の態を成しません。

 神様直轄主義とも言い換えられるでしょう。

 宗教とは言い難い事態に陥りますので、今回の趣旨から外れるでしょう。



 ② 光の神と闇の神の二元論的宗教


 リアルの宗教で言えば、ゾロアスター教がこれに当たるでしょう。

 利点といたしましては、光の神の御子と闇の神の御子の、最終決戦を描くことが出来るのでお話が盛り上がるでしょう。

 敵味方がはっきりと分かれるので、書く方も読む方も理解しやすいでしょう。

 欠点といたしましては、どちらが勝ってもこの世は地獄になることぐらいでしょうか。

 二元論とは、二つで一つですので、片一方だけになった段階で世界は崩壊してしまいます。



 ③ 自然神


 精霊主義とも言えます。

 万物に神が宿り、人々に災いと恩恵を与えます。

 原始宗教としては、最もポピュラーなものでしょう。ケルト神話や神道もこの分類化と思われます。

 利点といたしましては、人間と神様の力関係のバランスが良い事でしょう。

 欠点は神様の力が弱いので、あまり役に立ちません。また、宗教勢力も弱いのが特徴です。



 ④ 神話的宗教


 ギリシャ神話やゲルマン神話の神様です。

 大スペクタクルで多種多彩な神様が出てきますので、やりたい放題が出来ます。

 欠点といたしましては、天才的発想力と高い教養、高次元の文章力が求められます。

 この世界観が書けたら確実に文豪に成れます。

 頑張ってください。



 ⑤ 一神教


 描くのに、もっとも難易度が高い宗教だと思います。

 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の勉強をした上で、独自性を出さなくてはなりません。

 難易度はアルティメット級かと思います。

 利点は宗教勢力を描きやすい事です。

 異端審問局や勧善懲悪省などという、ぶっ飛んだ設定の組織も構築できます。



 ⑥ 哲学的宗教


 仏教や儒教がここに分類されるでしょう。

 この宗教の最大の欠点は、神様が出てこない事です。

 出てきたとしても概念という形で、意志や人格等は持っていません。

 文字通りの高次元生命体(?)ですので、作品に出す難易度は高めです。

 利点は宗教でありながら、物語をロジカルに展開できるという事でしょうか。

 矛盾と言うものを極力排しているので、教えとしての説得力は大きいでしょう。



 

 ・第二章 運用


 

   神様を登場させる場合


 神様を登場させる場合は多神教の一択です。

 一神教の神様は偉大過ぎるので物語になりません。(火の鳥を目指しているのであれば別ですが)

 また、神様本人が出てくると、作品の神秘性が一気に低下いたします。

 最悪、登場した神様は、不思議な力を持つキャラクターに成り下がります。

 こうなってしまうと魔法使いやスキル使いと本質的には同じものになり、存在意義が消失いたします。出すだけ無駄でしょう。

 なろうでは多く見受けられる例証です。

 神様の本人を出す場合は、一部間登場人物の前にのみ顕現するなどの配慮が求められます。

 この場合であれば、宗教勢力の教えや信仰は守られるでしょう。

 間違っても街中を歩かせてはいけません。それはただの人です。

 どうしても人前に出したい場合は、いかれたサイコパスとして構築すると面白いでしょう。

 


   登場させない場合


 物語の選択肢が多いのはこちらです。

 一神教から多神教、邪教、カルト何でもありです。

 宗教勢力も多種多彩なものが描けるでしょう。

 神様は出ませんが、神の御業は出すことが出来るので、魔法や聖なる力は問題なく登場させられます。



_________________________________________________________


 ・第二バージョン


 さぁ。救済の時間だ。( ̄▽ ̄)//


 なろうに限らず異世界ファンタジー小説では、たまに神様が出てきます。

 不運にも死んじゃった主人公を来世に転生させてくれたり、不思議な力を授けてくれたりします。

 作品によっては相棒的立場で、共に生活したりして、活躍の場面も多いでしょう。

 しかしながら、これらの神様はただの設定であることが多く。不思議な力を持っていること以外は人間との差はあまりありません。

 それは何故かと言えば、神様が寄って立つべき宗教的設定がいい加減だからでしょう。

 宗教としての態を成していない神様ほど、薄っぺらい設定もないでしょう。

 そこで今回は、なろう的神様の説得力を上げるために、小説家になろうで使えそうな宗教を考えてみました。

 


 ・ 神様がキャラクターとして登場する場合


 パッと思いつくのは「この素晴らしい世界に祝福を!」のアクアでしょうか。

 本作は、登場する神様の宗教が、宗教としての体裁を整えている珍しい作品です。

 このテーマの参考にすべき事例といえます。

 作中にはアクアをご神体とする「アクシズ教団」と言うものが存在します。

 指導者がいて、シスターがいて教会があります。

 そして、素晴らしい事に「教義」が存在します。碌でもない内容ですが、存在しているという事が画期的です。

 更に御神体であるアクア本人が、信者に向かって自身の宗教の戒律を語りました。

 これにより宗教に必須の「神、開祖」「教義、経典」「戒律、行動の規範」の三要素を全て満たしていました。

 戒律が出てくるだけでも画期的なのに、神様本人が戒律を語る作品は非情に珍しいでしょう。

 面白いことにアクシズ教徒は、他の宗教「エリス教」に対して排他的な集団です。

 宗教的要素をしっかりと取り込んでいます。

 

 この作品をモデルケースとしてなろう宗教を構築してみましょう。


 ①多神教にする

 ②神様本人が登場する

 ③神様の役割を明確にする

 ④神の奇跡を顕現させれる

 ⑤登場人物の一人である

 ⑥他の神様を登場させる

 ⑦一応信者が存在する

 ⑧簡単な宗教組織が整備されている

 ⑨なんとなく教義、戒律が制定されている

 ⑩他の神様の宗教との違いを出す


 ①~⑥までは誰でも簡単に設定できますが、⑦信者が存在する、以降の設定から難易度が上がるでしょう。

 アクアは水の神様ですので普通に考えると、信者は水が足りない地域の人か、水害に悩まされている地域の人です。

 ただ、この設定だけですと出来ないことがあります。

 それが「布教」です。

 水という性質だけでは布教は出来ません。

 その為にアクアには、水の神様以外の役割が与えられていました。

 この役割のお陰で信者たちは、布教を行うことが出来ます。

 実際にアクシズ教徒は布教に熱心です。入信すると石鹸をくれるらしいです。じつに信心深く感心な連中です。

 更にマニュアルが完備されているようで、組織だった布教活動をしています。

 布教するためには「教義」が必須です。

 教義を広めるために布教するわけですから、教義の内容は普遍的なものが求められます。

 アクシズ教の教義は「ぐうたら、楽して生きたい」という、碌でもない内容ですが、一応の普遍性を持っています。

 アクシズ教徒の面白い所は、「ぐうたら、楽して生きる」ための努力を惜しまない所でしょうか。これらは宗教的矛盾も同時に表現しています。


 アクシズ教はファンタジー小説の宗教の中では、完成度の高い宗教と言えます。

 アクアの後輩エリス様のエリス教は、信者と組織が存在しますが、教義や戒律が不鮮明です。

 恐らく真面な宗教という設定なのでしょうが、肝心の真面さが明言されていないので、アクシズ教に比べると完成度は低いでしょう。

 このため⑩他の神様の宗教との違いを出す一点においては、未達成ですね。惜しい。




 ・ 神様が登場しない場合


 登場する場合に比べるとリアル系の設定です。

 例としては「銀河英雄伝説」の地球教でしょうか。

 この宗教は地球がご神体の為に、人格を持った神様は登場しません。

 その為に主役は信者たちとなります。

 この設定の楽な所は、実際の宗教の知識を持っていれば簡単に作成するところです。

 逆に言えば持っていないと、相当な勉強を求められます。

 「宗教は詐欺だ。幻想だ」という感想しか持てない人には、構築は難しいでしょう。 


 それでは地球教を例になろう宗教を構築しましょう。


 ①多神教より一神教の方がパンチ力がある

 ②明確な神のイメージが存在する

 ③宗教の三大要素を明確に保持している

 ④原理主義化しやすい

 ⑤個人では対抗不可な強大な権力を有している

 ⑥階級社会が形成されている


 ④以降はあまりファンタジー向きではない設定ですね。

 変更しましょう。


 ④大きな勢力ではあるが、内部は色々な派閥に分裂している

 ⑤怪しげな儀式をしている

 ⑥儀式のお陰で、不思議な力を手にしている

 ⑦神を復活させるために暗躍している


 なんだか、邪教になってしまいました。

 完全に悪役ですね。「銀英伝」の地球教を参考にしたからでしょう。

 ただ、普通のカトリックのような宗教を出すのであれば、特に捻ることもせずにそのまま出せばいいです。

 カトリックの勉強してアレンジすれば終わりです。



 カトリック教会を例に構築してみましょう

 

 ①教皇というトップがいる

 ②枢機卿、司教、司祭、修道士などの階級が存在している

 ③財務部門などの教会組織が構築されている

 ④中央集権体制である

 ⑤強大な世俗的な権力を有している

 ⑥その世界最大の全国組織である

 ⑦分派活動は徹底的に弾圧する。異端審問局など

 ⑧知的水準が異常に高い

 ⑨教義、戒律においての監督権を有している

 ⑩宗教的権威を利用し、世俗権力に介入する力を有している

 ⑪農業などの技術水準が高い

 ⑫徴税権などの独自の財政基盤が存在する

 ⑬教皇は枢機卿から選挙で選出される。世襲性の否定

 ⑭世俗権力とは、闘争と協力を繰り返す

 ⑮組織がデカすぎて、教皇ですら完全にコントロールできない 

 ⑯知的水準が高いがゆえに、革新的な人物を輩出しやすい

 ⑰比較的実力主義

 ⑱軍事活動を躊躇しない

 ⑲還俗が難しい



 次は日本の寺社勢力を例に作ってみましょう


 ①トップの座主は皇族もしくは、藤原氏出身者

 ②宗派内で分裂しやすい

 ③宗徒、門徒と呼ばれる独自の兵力を有する

 ④独自の所領を有する

 ⑤宗教的権威を利用し、世俗権力に介入する力を有している

 ⑥知的水準が高い

 ⑦貴族が占める上層部と、地下人で構成されるの下層部との意見のすり合わせが出来ない

 ⑧比較的門閥主義

 ⑨同じ仏教だが、様々な勢力に分派している

 ⑩出家、還俗が比較的簡単

 ⑪全国組織とは言い難いが、地域で強大な力を有している


 こんな感じですかね。

 やはりリアルな宗教は設定が重すぎて、ファンタジー作品には向きませんね。

 いかんせん、彼らは強すぎます。

 チート勇者でも太刀打ちできないでしょう。

 聖剣エクスカリバーぶっ放しても、問題は一ミリも解決しない所が宗教勢力の恐ろしい所です。

 宗教勢力を敵に回すという事は、そこに所属している信者も敵に回すことです。個人で勝つ見込みはゼロでしょう。 

 勝ったところで屍の山です。

 いい事は一つもないでしょう。

 


________________________________________________________


 ・新興宗教を考えてみた


 このエッセイは、そもそもはこっちが元ネタだったんですよね。

 流石に内容が不謹慎かと思って、なろうで使える宗教に変更しました。



  魂の救済の時間です。( ̄▽ ̄)//

 今回は新しい宗教を立ち上げてみましょう。

 何が必要でどう運営すればいいのかを考察していきたいと思います。



 ① 宗教の基本理念


 宗教の存在理由はただ一つです。

 それは魂の救済です。

 疲れた心の隙間を埋めるために宗教は存在しています。

 それ以外は付加価値であって本質ではありませんので、現実社会の生活の改善にはあまり役には立ちません。

 ですので順風満帆で、将来に何の不満も不安もない人には必要ないものです。

 ただ、そんな人はほぼ存在しません。

 どんな人にも不満や不安は存在するでしょう。

 その不満や不安を和らげるのが宗教の仕事です。



 ② 哲学との違い


 宗教に近い効能を持っているものに、哲学があります。

 哲学でも魂の救済が出来ることがありますが、宗教に比べると効能は限定的です。

 これは、古代ギリシャ哲学だろうが、近代哲学だろうが、中国の哲学だろうが同じです。

 なぜか?

 これも答えは簡単で、哲学を思いつく人は例外なく頭のいい人だからです。

 頭のいい人は、頭の悪い人の事は考えてくれません。

 分かるように教えてくれることはあっても、分かりやすく分解することは苦手です。

 そして哲学は基本的に理屈で構成されています。そして理屈には、必ずどこかに穴があります。

 哲学を考える人は、当然これに気が付いていますので、必死に穴を埋めようとします。

 その結果、穴は埋まりますが、更に理解しにくくなるわけです。

 知力に自身のある方以外はお勧めできないでしょう。

 その点宗教は楽です。

 信じるという一点さえクリアしてしまえば、後は特に難しくはありません。



 ③ 神様


 信仰する神様を作りましょう。

 作ると言うのは変な言い方ですね。発見しましょう。

 神様と言うのは何処にでも存在していますので、その気になれば簡単に見つかるでしょう。

 例えば太陽を崇めてもいいですし、地球を崇めてもいいです。また、全知全能の人格神を構築してもいいです。

 それらについても特に説明も要らないでしょう。説明できたら神様とは言えません。人知が及ばないから神様なのです。



 ④ 試練


 宗教には試練がセットで付いてきます。

 これもある意味では当然でしょう。

 現実社会で問題を抱えているから宗教が必要な訳ですから、宗教に入るとその問題たちが、そのまま試練となってスライドしてきます。

 それに打ち勝つことが求められます。

 これは一見矛盾しているように見えますが、宗教というフィルターを通すことによって問題の輪郭がはっきりする効果が有るでしょう。

 病に侵されるのも試練ですし、自身に不幸が降りかかるのも試練です。

 それを精神的に乗り越えるお手伝いをするのが宗教です。



 ⑤ 救済


 これが宗教の最大のセールスポイントです。

 宗教は現実社会の問題を解決することはできませんが、死後の世界を保証することが出来ます。

 天国に行けるとか、解脱できるとか、復活できるとか色々です。

 資本主義的に発想するなら、人生という不良債権を生きている間に処理してくれるのが宗教です。

 破産管財人とお仕事は似ているかもしれません。 

 身綺麗になって、次の次元に向かえる訳です。

 ここは、大いに想像の翼を広げて、設定を盛りに盛って楽しいものを作りましょう。

 死人に口なし。死後の世界が違ったとしても、どこからも苦情は来ません。



 ⑥ 教祖


 言い出しっぺの事です。

 新興宗教では特に大事なファクターでしょう。

 教祖にはカリスマ性と神秘性が求められますが、そう言った逸材は少ないので人選が大変です。

 逆に知能指数は高くなくてもいいのが救いでしょうか。

 教祖の知能指数が下手に高いと、教え全体が哲学に引っ張られ、入信へのハードルが上がります。 

 ちょっと馬鹿ぐらいが丁度いいでしょう。

 神秘性を上げる手っ取り場合方法は、人前に滅多に出ない事ですね。

 簡単なやり取りは代理人を使いましょう。



 ⑦ 教義


 その宗教の基本理念をまとめた物です。

 特に難しい事は詰め込まない方がいいでしょう。

 命を大切に、家族、隣人に優しく、日々の食事に感謝するなどの、当たり前のことを押さえておけばいいでしょう。

 下手に特色を出すと、変な方向に曲がっていくので、お勧めいたしません。

 これも教祖は、基本的な事だけを定めて、細かい事は周りにいる頭のいい信者に任せましょう。

 最初から精緻なものを作る必要はありません。教義は後から勝手に増殖します。



 ⑧ 修行


 信者との一体感を出すためにも絶対に必要です。

 身体に負荷が掛かりますが、色々な種類を考えましょう。

 お勧めは瞑想と断食ですかね。

 説法の後に行えば、自然と色々なものが見えてくるはずです。

 新興宗教の場合は、やり過ぎるぐらいで丁度いいでしょう。

 死亡事故には注意してください。



 ⑨ 教団


 作った宗教がある程度形になったら教団を作りましょう。

 組織化については教祖がする必要はありません。

 教団の運営についても、教祖は口出ししない方がいいでしょう。

 信頼できる信者に任せましょう。



 ⑩ 布教


 宗教は素晴らしいものです。折角ですから色々な人たちに教えてあげましょう。

 宗教は心も隙間を埋める物ですので、心に隙間が多い人に教えてあげるのが効果的です。

 病弱の人や、経済的に困窮している人、社会的に孤立している人などが狙い目です。将来に不安がある大学生も、良い信者になってくれるはずです。



 ⑪ 経済基盤


 現実社会で活動するためには、どうしても先立つものが必要です。

 一番簡単な方法はお布施を集める事ですが、やり過ぎてはいけません。

 金の恨みは、食い物の恨みに負けないぐらい強いものです。

 ですので、余計なトラブルを避けるためにも活動は質素にしてランニングコストは削減し、足りない部分は信者の人に奉仕してもらいましょう。

 これは、修行と経営の両方を同時に行える方法です。

 例えば、借りた土地で有機農法をして、独自の販売網で品物を捌くとかですね。

 一般の人に売る必要はありません。

 教団が作った野菜ですので、信者の人は喜んで買うでしょう。

 トラブルの起きないお布施の方法です。



 以上、未完成原稿三本でした。


 エッセイも数千文字を越えると、消去することに躊躇います。

 詰め合わせだからできる荒業でしょう。



             終わり 

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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