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34 第4番世界 信者は報われる?

4番世界は書きやすいなぁ^q^

ガタガタガタ……と次元の壁の修復は進み、勇者達は勇者達で訓練に励む日々。


そんなある日、天気が大荒れのため皆お城でのんびりしていた。


「すげーゴロゴロ言ってんなー」

「雷雨っつうか、嵐だな……」

「普通に台風だな」


ヒュゴーと言う風と共に雨が打ち付けられ、ゴロゴロ雷が鳴っている。

昼間のはずにも関わらずかなり暗く、中々不気味な雰囲気を醸し出していた。


「悪天候の城って……不気味だよな……」

「おいやめろ」

「トイレ行けなくなる」


暇だからと普段食事をしているでかい部屋に集まり、ダベる勇者達。


「こういう時実感するけどさ、娯楽なさすぎるよな……」

「ゲームもネットもねーしなー」

「話すだけでも楽しいとは言え、丸1日はちょっとねぇ」

「だよねー」


そこへ端っこでいつも通りティータイム中のシュテルから声がかかる。


「まあ、無くはないな」

「『えっ?』」

「トランプに麻雀、ドンジャラもあるしジェンガもあるな。後ビリヤードにダーツとか。ああ、スゴロクもあるか」

「『え、やりたーい!』」

「じゃあ全員一回こっち来い。机と椅子が邪魔だ」


勇者達がわらわら集まったところで、空間操作により一瞬でスペースができる。

ダーツやらビリヤードが置かれ、別の所には机の上にトランプやらが並ぶ。

一瞬で遊戯場に早変わりした。


「好きなのやれ。壊すなよ……そう簡単には壊れないが」

「『はーい』」


グーダラしてたのが一瞬でガヤガヤしだし、それぞれ人を集めて遊び始める。


「あれ……これジョーカーって……」

「妾と精霊達だな。10番世界の我が国を除いた中央4大国現王がキングだぞ。クイーンは王妃。ジャックが宰相で、エースが騎士団の総隊長だ。そしてジョーカーが4大国のど真ん中に陣取る、女神の妾になる」


クラブは農国のファーサイス。ダイヤは商業国のマースト。スペードは技術大国のテクノス。そしてハートがアエストになっている。


「って言うと、代わるとこれも変わる?」

「変える。いつ出来たトランプか……とかも分かるから、一種のコレクションにもなるわけだな」

「なるほどなー」


そんな頻度で変わるわけでもないから、特に問題はない。子供達がトランプで顔を覚えることもできるし、悪くはないのだ。


勇者達がワイワイガヤガヤ遊んでいる最中も、当然外は大荒れ。

神々が次元の壁から世界に目を向け始めたため、しばらくすれば安定するだろう。

幼精霊の姿もたまーに見るようになった。



「そう言えば俺達、いつまでここにいるんだ? 魔王は?」

「もうすぐ1年ぐらい経ちそうだよなぁ……」

「俺としてはこのままで良いんだが?」

「確かにな……で、これどういうルールなんだ?」

「知らん」


ルールもなくとりあえず交代で突っついて遊ぶという、ビリヤードをしている男達であった。

ビリヤードなんか置かれている場所限られてるだろうし、VRならVRでわざわざビリヤードは選ばんだろう。突いてるんだから、存在は知っていたようだ。


「ヒルデ、教えてやれ」

「畏まりました」


魔王復活は……もう少し先だが、そろそろ旅にでも出すんじゃないだろうか?


「そう言えばユニエールさん」

「どうした」

「詠唱って魔力を魔法陣に込めることを言うんだよね?」

「そうだな」

「魔法名がキーワード……引き金だとして、その前に言うあれ……いる? 超恥ずかしいんだけど……」

「ああ、あれな。一応意味はあるぞ。かっこつけてるだけじゃないからな」

「あ、そうなんだ……」

「言霊ってのがあるだろ。意思が乗り多少威力が上がる。強いて言うなら呪文か」

「あれって皆違うけど、何でもいいの?」

「なんでも良い。あくまで攻撃する、この魔法を使う、敵を倒すという『意思』が重要なのであって、言葉自体はなんでも良い」


魔法を撃つなら大体殺し合い中だ。手加減してやる義理は無いし、殺らねば殺られる。少しでも威力が上がるなら恥ずかしかろうが呪文はあった方が良いだろう。


「まあ、我々のは全くの別物だけどな」

「え、そうなの?」

「魔法を使うのに手順があるだろう? 魔法陣が必要だったり、魔力が云々と。それはまさに小規模な儀式とも言えるな」

「ああ、うん。確かに言えるね」

「世界の理を少し捻じ曲げ、現象をおこす……が、制限なしだと問題があるだろう。そこで物理法則とは違った、魔法法則という物ができる」

「ふんふん……」

「だが、妾はれっきとした一柱である。『時空と自然を司る神』とは言い方を変えれば『時空と自然に関してはルールその物』だ。『時と空間、更に自然を司る者は万物を司る』とも言える。だから万物の女神。神々は能力の影響範囲が広ければ広いほど、高位の存在だ」

「超越神だっけ……」

「うむ。そんな我々からしたら【魔法】自体を使わんのだ。君達に分かりやすいように《時空魔法》や《攻撃魔法》と言っているが、正確にはどちらも妾の能力だ。時、空間、重力操作が時空神。火やら何やらが全て自然神だ。【魔法】を使っている時点で我々からしたら遊んでるだけだな」

「ほえー……」

「魔法のまま使うのは《召喚魔法》とかぐらいだ」

「……ああ、うん。なるほど。言われると転移とか一切喋ってないね……」

「生物が息するのと変わらんからな。しかも【魔法】じゃないから魔力も使わん」

「え、じゃあコストなし?」

「無い。妾の物を妾が使うだけだ。魔力を使ってお願いやらするのではなく、妾の場合は命令だからな。言うだけで動く。神とはそう言う存在だ」

「言葉通り格が違うと……」


とは言え、本来神々は神界にいる存在。現人神なんてそうはいないのだから、あまり気にするのもではない。

自分から喧嘩売っていかない限り、気づかぬまますれ違うのだ。

触らぬ神に祟りなし。知らぬが仏。知らない方が良い事もある。


「神様の中でも超偉い神様なんだよなぁー」

「私達からすればもう、守り神だから考えるの止めたよね……」

「独立しても生きていけるように頑張れよ。女神の気紛れは気紛れで無くなるからな。ハハハハハ」


正直護るのは面倒くさい。これに尽きるだろう。頑張れ勇者達。


「そう言えばもう1つ気になることがあるんだけど、信者? には何かあるの?」

「あるぞ。分かりやすく言うならそうだな……ゲームが一番か。選んだ加護によってスキルにダメージボーナスや修練値ボーナスが入るようなもんだな」

「じゃあユニエールさんを信仰したら?」

「妾の加護は細かく分かれる。選択式だ。《時空魔法》とか《攻撃魔法》にボーナスがあるな」

「ふんふん……」

「親戚の《防御魔法》もあるし、《攻撃魔法》は1属性どれかだ」

「えー……全部じゃないのかぁ……」

「そりゃあな。熱心な信者なら加護も強くなって《攻撃魔法》全部に入ったりするけどな」


神々に祈りを捧げる聖職者。

しかし別に聖職者でなくても祈ることはできるし、加護も受けられる。

加護の内容も、加護の強くなる条件もその神次第で複数ある。

共通なのは神を信じ、祈りを捧げる事。

どの神だろうと一定を超えれば《神聖魔法》が使えるようになる。《神聖魔法》を覚えた時点でかなり熱心な信者と言えるだろう。


殺生禁止! 肉食うな! という神もいれば、その逆もいるだろう。

そこは神によって様々である。この嗜好が一致し、祈りを捧げていれば加護が強くなるだろうし、背けば失う。

別にこの加護が無くなっても死にはしないし、言うほど困りもしない。《神聖魔法》が目当てか、《神聖魔法》が飯の種な治療師なら死活問題だろうが。

気づきにくいが、並んで比べれば確実に分かる……ぐらいの効果だ。


特に豊穣系。野菜の味や育ちに加護が出たりする。流石に自然災害や人災で野菜が潰れるとかは管轄外だが。

農家は大体豊穣神に祈りを捧げている。あって困るものではない。


だからといって、加護欲しさだけで祈っても無駄である。そんなやつに力を貸したいとは思わなかろう。

そもそも祈られたところで、神々側には特に何もない。


「という物に変えた」

「前は違ったの……?」

「与えっぱなしは人類調子に乗るからな。己の行動で変動するようにしたんだ。アクウェス法国事件があったし」

「アクウェス法国事件?」

「10番世界にあった宗教大国だな」


神々の奇跡の一片である《神聖魔法》。それの使い手を抱え込み、人種差別や怪我人から巻き上げたりだの碌な国ではなかった。いや、建国した当初はまともだったが、時が経つにつれ腐っていった。

神々や精霊の名を使い、好き勝手していたのだ。


「もう滅んだけどな」

「あ、そうなんだ」

「つうか、滅ぼした」

「『えっ』」

「法国民全員呪いかけたからな。しかも女神から呪われた奴らに手を貸す者はいないだろう? とばっちりが怖すぎる。そもそも法国が敵作ってばっかだったから、どの道差し伸べられる手はなかったろうよ。むしろ喜々として攻めこんだろうな」

「『うわぁ……』」

「世界の崩壊とまでは行かないが、地上の生物滅びるような事もしでかしたし、バッチリ目付けてたからそれでアウト判定。はい、さよなら。ついでに原因となった加護のあり方を創造神様が全世界で変えたのさ」

「自業自得か……。祈る時ってどうすればいいのかな? 教会とか?」

「場所はどこでもいい」


祈り方も特に決まってはいない。体勢は別にどうでもいいのだ。

ただ一般的なのは、片膝付いたスタイルで感謝が一般的。


「具体的なら具体的な程いいが、別に漠然としてても問題はない」

「結構てきとーな感じ……?」

「まあな。そもそも我々に祈らず、自分達でなんとかしろスタイルだからな」

「あ、うん……」

「ささやかに……本当にささやかに背中を押すんだ。『少しだけ収穫量と味がよくなるよ!』とか……『特定の魔法の燃費や威力が上がるよ!』とか。そこにどんな価値を見出し、活かすかは生きる者次第だからな」


神々は観測者である。干渉も神託などが精々。

シュテルも女帝として大神殿で大人しくしているか、ダンジョンに食材求めて潜ってるぐらいだ。基本的に口は出さないし、手も出さない。

他世界への転移も、問題がない限り創造神様に禁止されている。

実にのんびりと自分の国で過ごしている。


4番世界だ6番世界だとなっている今がおかしいのである……。


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