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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-171


 コロニーを、スターレイのものとは違う光が照らす。

 ずっと見るのは不可能なほどの、確かな光。


 生産に成功したという、人口太陽一号機だ。

 太陽といっても、記録にあるような空の上に光る巨大なものじゃあない。

 あくまでコロニーと周辺をカバーするものにとどまっている。


 ちょうどタイミングよく、スターレイの事件が起きる少し前に、一号機は完成したらしい。

 作り方はわかってるから、この一号機の運用データをもとに、いくつか作るのだとか。

 どのぐらいの距離から、明るいこれを見ることができるのか少し気になるね。


『昔、地上にあったという灯台……遠くからでも迷子にならないための目印の役目もあるのだろう』


(なるほどねえ……)


 地上ではそうだという記録をもとに、人口太陽が朝と夜を演出する。

 聞くところによると、ずっと浴びていると日焼けとかいうことが起きるようだ。

 体の害になることまで再現するなんて、変な話だと思う。


 それでも、植物には必要なことと言われたら、そうなんだと思うしかない。

 戦士ではない、研究者という姿の人たちが、妙に元気だったのが印象的だった。


「これで地下水が枯れない限りは、コロニー周辺も緑が増える……のかな?」


「そうらしいな。うまく行きゃあ、野菜ってやつも育てられるだろうさ」


 準備を終えたらしいリングが会話に加わってくる。

 機械虫の拠点らしき場所への襲撃は、少数での奇襲となる。

 機械獣はついてくるから、全体の数は少なくないけどね。


 アデルを含めた数名と、俺とリング。

 ソフィアたちは留守番だ。

 さすがに、車両では遅すぎるというわけだ。


「戻ってきたときには、何かお見せできると思いますよ」


「ん、楽しみにしてるよ」


 ソフィアは、エルデと一緒に人口太陽関連の仕事を受けるらしい。

 外に行かなくていいなら、そのほうが安全だからね、俺としてもそのほうが良い。

 本人たちに言うと、少し不機嫌になるだろうから黙ってるけれども……うん。


 そんな会話の途中、見覚えのあるMMWが車両で運ばれてくる。

 今回一緒に向かう、アデルのものだ。

 緊急時を除けば、コロニー内はやはり、こうやって車両で移動となる。


 うっかり転倒したりしたら、とんでもないからね。


「待たせたな。では向かおうか」


「了解。さっさと行って、はっきりさせてこよう」


 頷きあい、ソフィアたちに見送られながらコロニーの外へ。

 そこでMMWを起動させ、機械獣を引き連れて移動を始める。

 向かう先は、アデルたちの調査と、人形たちからの情報を合わせて考えた場所。


 おそらくは、地下に逃げ込んだ人類の遺産とも言うべきものを、機械虫が乗っ取ったと思われる場所だ。


「資源を採掘する仕組みと、工場ってやつが一緒になってるってことだよね?」


「見ないと何とも言えないが……おそらくはそうだろうな」


 移動中、気になることを無線越しで確認する。

 もともとは機械虫も人の手によるもの。

 それが暴走のように勝手に動いているのが実情である。


 戦力の補充すら、自分たちで考えることができるとすると、色々とすっきりするのだ。

 厄介な戦闘相手という点では、一切すっきりしないけどね。


「でもよ、その推定施設……に人間はいないってことになるよな? 放棄したのか、それとも……」


「だとしても、やることは一緒だよ。襲ってきた人間と同じで、俺たちの敵なら……やるしかない」


 同じ立場のはずの人間ですら、先日のように襲い掛かってきたのだ。

 考えていることがわからない、もっと言えば考えているのかすらわからない機械虫。

 人形からの情報通りなら、機械虫は人間をゼロにしたいのだから、共存は難しい。


「そりゃそうだな。持ち運べる何かがあるといいんだがな。離れた場所にコロニー並みの物が見つかっても、厄介が増えるだけだ」


 希望の穴は、たまたま2つのコロニーからそう遠くない場所、かつ地下道があるおかげで行き来しやすい。

 けれども、今向かってる先は……いうなれば孤立した僻地。


「最悪の場合、消滅させるしかあるまいよ」


 こちら側で最大火力であるUGを連射できるアデル。

 そんな彼の言葉には、確かな説得力があるのだった。



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