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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-162



 速く、強い。


 今日の試合相手にまず感じたのは、これだった。


「やっぱり、俺以外にも強い人はいるよねっ」


『地上でいうところの、軍人ってのはいるだろうな』


 思ったよりも回避され、思ったよりも良い狙いをしてくる。

 今、相対している相手はそんな強さだ。


 後ろで援護してくれているリングも、相手と撃ち合いをしている状態。


(回避できない被弾ってのも、久しぶりっ)


 何度も受けてしまう、音を響かせるほどの被弾。

 俺は驚きはしても、怖さはあまりない。

 今の所、被弾したらまずい場所、問題ない場所を調整できているからだ。


「セイヤっ」


「大丈夫! 行けるよっ」


 呼びかけに返事をしつつ、接近してきた相手とエネルギーの刃をぶつけあう。

 はじけるウニバース粒子が、周囲に光となって散っていく。

 毎度のことながら、よくわからない現象である。


 照らされる相手のMMWも、少なくない損傷が見える。

 もう少し有効打を与えたいところだけど……上手い。


「俺が管理者の一員だとして、世間にはどのぐらい軍人だった人がいるんだろうねえ」


『そのあたりの情報は、どこかで失われたらしいからな』


 だからこそ、手当たり次第というか、全員1度は戦士として教育しているのだ。

 中には、地下ではなかなか難しい農業をしていた人だっているだろう。

 狩り、採集なんてのをしていた人も。


 けれど、地下世界にそれはほぼいない。

 地上とつながっている穴のようなものがあるなら、そこには存在してるんだろうけど。

 一番の問題は、水だ。


(海……地下には雨ってのがないからなあ)


 しょっぱい水が見渡す限りあるとかいう海。

 粒子の、光の海の中で見た映像が綺麗だったのは覚えている。


 空を見たい気持ちもあるが、同じように青い海というのも見てみたいところだ。


「そのためにもっ!」


 相手が、軍人だったであろう人から作られた戦士だとしても。

 そう簡単には負けては上げられないのである。


 視界を粒子の見えるものに変え、すべてを見る。

 ずっとやっていると、頭が重くなるけど試合分なら問題ない。


 会場を流れるウニバース粒子の動きを読み、MMWを操作する。

 当たる軌道の弾丸をよけ、弾き、代わりにと撃ち返す。


 3回当てて1回当てられる、みたいな戦いを続けることで、結果が出てくる。

 相手の攻撃頻度なんかが変化してきたら、仕掛けどころだ。


「入っ……たっ!」


 何度目かの接近戦で、相手の右腕を肘あたりから切り裂くことに成功。

 ここぞと攻撃を叩き込み、相手の降参をもぎ取った。


 試合が終わって、下から機体を見上げ……苦笑する。


「よう、今回はだいぶやられたな」


「まあね。そっちも強かったねえ」


 お互いの機体が、久しぶりの結構な被弾をしたことを確かめ合う。

 試合、戦闘自体はまだ問題ないけど、普段が普段だからね。


 技術という点では、まだまだ強くなれる、そう感じる試合だった。

 そのことが、アデルがもっと上にいるのではないか、と俺に考えさせる。


「ま、俺たちが目標にしてるのは世界最強ってわけじゃないからな」


「強いほうがいいけど、それが目的じゃないもんね」


 言いながら、アデルから言われている機械虫への反抗作戦のことをふと思い出す。

 大体の居場所というか、方角はつかめたらしいが……。


 一緒に、機械獣たちは連れていけないものか?


「希望の穴あたりから、機械獣を借りてこようかな?」


「ありじゃないか? 1機は今もいるし……弾の節約になるだろう」


 話は早いほうがとばかりに、機体の修理を頼んだ足で、希望の穴へのお出かけを計画する俺。

 ついでと、輸送の仕事を押し付けられたのは、当然といえば当然のことだった。

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