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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-156


 稼ぐ必要がある。

 それが、今の俺たちの共通認識だった。

 試合に勝てば、ランクと同時にそれも稼げる。


 稼げるのだが……。


「賭け全体が落ち着いてきているって言われてもなあ」


「そのほうが健全ではあるが、難しいところだな」


 ガレージでリングと話すのは、コロニー全体の近況のことだ。

 雰囲気がよくなった、といえばいいように聞こえる。

 ただ、ぎらついた感じも減ったと言えるのだった。


 その結果が、試合での掛け金の減少だ。

 無理な賭けをしなくなった、ということらしい。


(確かに、一発逆転が成功しないと生き残れないなんてのはなくなったんだよね)


 試合以外にも、稼ぐ手段が増えたのは間違いなく、俺自身もその恩恵を受けている。

 外仕事自体は、MMWの腕を上げることにはなかなかつながらない。

 おそらく、上は外での戦いがあることを見越している。


 だからこそ、強さを求めることを良しとしていたのだろう。


「そうだ。移動拠点の予算は、単純に今の俺たちの乗機、クォーツァリア3機分ってとこだな」


「案外安い? いや、相場がないようなもんだけどさ」


「ああ。しかも、物資はできるだけ自分たちで稼いでほしいと書いてある。そりゃそうだな」


 リッポフ商会からの回答には、納得しかない。

 通常、生産することのないものを作ってほしいというのは、かなりの無理難題だ。

 これでも、実際に可能だと返事を返してきてくれた時点で、とても幸運といえる。


 何せ、機械を生産する工場は、限られている。

 最近は希望の穴、箱舟の設備が加わったとはいえ、コロニー全体の需要は多岐にわたる。

 そんな中、俺たちの要望だけを通すわけにはいかない。


 しかし、リッポフ商会はそんな状況でも答えを返してくれたのだ。


「鉱山に行くか、新しい資源を探すか……地域の見回りついでに、発掘の旅とかどう?」


「それはありだな。地形情報を人形たちに提供して、予想してもらうとかもありだ」


「人形に? どういうこと?」


 買い物に出かけたソフィアたちの帰りを待ちながらの時間。

 弾丸や、消耗品の残量を確認していたリングの顔に笑みが浮かぶ。


 いいこと思いついた、と顔に書いてある気がする。


「いや、単純な話さ。人形たちは、地下に人類が逃げ込むときの備えなんだろう? ということは、地下世界での人類の生存、あるいはその環境作りのための知識なんかも渡されているはずだ」


「そっか、そう言われればそうだね」


『まったくもって道理だな。俺の記憶では、これにたどり着いた彼はいなかったぞ』


 感心したような、プレストンの声。

 どうやら、今回は彼の知らない未来に向けて進めているらしい。

 それが良い未来であることを期待しつつ、さっそくとばかりに人形へと連絡を取る。


 この連絡も、コロニーの外で可能なら楽なのだが、今のところはコロニー内のみ。

 中継機材があればいいらしいが、どうしてもウニバース粒子の乱れやらなんやらで安定しないのだとか。

 そのあたりも、うまく発掘できたらいいなとは思う。


「じゃあ希望の穴のほうは遠いから、箱舟側の人形に送信っと」


「箱舟は人口太陽の量産に、力を注いでるらしいな」


「らしいねって、もう返事が来た」


 忙しいはずだが、俺の用件は優先度が高いのだろうか?

 管理者権限ってやつだったとしたら、少し申し訳ない気分になる。


 文章で簡潔に返ってきた答えは、渓谷を探すのが効率が良い、とのこと。


「お、続きが来てるな。地下に行くほど、資源が手つかずの可能性大、一から掘るのは困難のため、むき出しの構造である渓谷を探るのが効率が良い、なるほどな」


「ドーンスカイなら、浮きながら探せるってことか」


 なるほど、わかりやすい。

 うまく見つかったら、そこへ向けて地面を上から掘り進めればいい、と。

 俺たちのMMW、その性能を活かしたやり方には、納得しかない。


「1日程度いったところに、1か所あるな。行ってみるか」


「うん。ソフィアたちが戻ったら、話をしてみよう」


 言いながら、新しい流れがすぐそこにあるような、不思議な感覚を覚えるのだった。




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