MMW-141
「機体ベースは3ランク上、武装は単純に。うーん、堅実ですねえ」
「両手足はフィールド版に? しかも前腕部分に固定盾。やってることのわりに堅実だねえ」
俺の希望を伝えた結果、リッポフ、フェイスレス双方にほぼ同じことを言われてしまった。
単純に、今後外で戦いになったときに、あまり武装の種類を増やすと、管理が大変だからなのだ。
機体性能を上げて、対応をしやすくするのが大事だと判断したのである。
対してリングは、俺よりも武装は多く頼むようだ。
結局は援護、支援用だと言われたら何も言えない。
「コロニーにも借りがいくつかあるからさ。ここらで消しておこうかなって」
「セイヤが思ってるほど、これで借りが返せたとは思わないような気もしますけど……」
ソフィアのどこかあきれた声に、そんなもん?と振り返る俺。
ランク4相当のフローレントから、ランク7相当の機体、クォーツァリアにしたいって結構無茶だと思うんだけどな。
『試合を重ねれば、そのままランクは上げるとベルテクスには言われてるだろう? 問題ないと思われたんだろうな』
(あー、そういえば。なんだっけ、施設の発見とかで貢献は十分だから、腕を示すだけってことだったね)
会談に合わせてベルテクスから言われたことを思い出し、借りを返してもらうとはならないのだと自覚した。
「どんなのならコロニーは納得するかな? 商売人としては何かない?」
「そうですね……スターレイをコア化する許可、あたりはちょうどいいのではないですかな。ご自身で掘ったスカイブルー、あれをスターレイで二重構造化にするとか、面白そうですな」
「コアを2個にするのではなく、か。俺じゃあ扱いきれねえが、セイヤなら……試す価値はあるか」
リッポフの提案に、他のみんなは驚いているけど……俺とソフィアはさっぱりだ。
まだまだ勉強が足りないなと思ってしまう。
「その、不勉強ですのですいません。コアの二重構造化とは? 今のセイヤの機体での2個同調とは違うのですか?」
「大きく異なりますね。二重構造化というのは、コアをさらに別のコア素材で覆い、1つの大きなコアにするということです。ボールの中にボールを入れるような感じですねえ。私も数えるぐらいしか取り扱ったことがありません」
『どうせ機体性能は上げられるだけ上げたいんだ。言うだけ言ってみるか』
どうやら、プレストン的には、アリ……なようだ。
単純に性能は上がるけど、扱いが難しいということらしい。
「なるほど。じゃあそれでベルテクスに言ってみようかな。今なら持ち帰ったのとか使えるかもしれないし」
返事次第でコアを考えることにして、ベルテクスの個人アドレスへと連絡。
これも会談の時にもらったアドレスだけど、そんなすぐには返事は……来た。
なんと、問題ないとのこと。
向かう先の工場?まで連絡がきた。
「上も相当戦士セイヤに入れ込んでるみたいだねえ。うらやましい……かは少し難しいけれど。手足はクォーツァリアのパーツベースで組んでおくよ。君はコアの話をつけてくるといい」
「ありがとう。ソフィア、行こうか」
「ええ。確かに、早いほうがいいですからね」
ほかの買い物だとかはリングたちに任せて、俺とソフィアで向かうことに。
いつの間にか爺が車両の運転席に座っていて、すぐ出発だ。
指定された先は、以前来たことがある気がする区画。
スカイブルーの作業をした場所だ。
外で出迎えてくれた人も、見覚えがある。
「どうぞ、こちらへ。ああ、機体はそちらに回してください。コアを取り出し、さっそく作業を行います」
「そんなすぐにできるもんなの?」
俺の疑問に、作業員は苦笑を浮かべて首を振る。
簡単……じゃあないのかな?
「難易度は低いですが、単純に手間なのですよ。コアごとに、構成を調整する必要があるので」
話しながら向かった先は、ガレージのような研究室のような、不思議な場所だった。
そして、スターレイの輝きが、見えてきた。
「あのスターレイは……」
「回収されたばかりのものですね。言うまでもないでしょうけれども。以前のように、声をかけるまではゆっくりしていてください」
そう言われ、出番まで見学に専念する俺だった。




