表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/205

MMW-124


(見える範囲では上に異常はないけど……)


 肌で感じるこの感覚、近いのは噴火直前の火山だ。

 沸騰する直前のお鍋のような……うーん?


 今回は、空が、いや……地面のような岩盤である天井が揺れているような錯覚。

 実際には、岩盤自体は動いていないはずだけど……。


『MMWで出よう。みんなを起こして、見回りでもなんでもいいから受けて外へ』


(了解。そのほうが早いね)


 中に戻り、起きてきたソフィアたちに異常事態を告げ、外に出ることを提案。

 俺の真剣な様子に、リングもそのまま準備を始めてくれた。


 エルデと赤ちゃんの準備も終わり、なぜか爺もついてくることになり……。


「外仕事をいきなり受けるってときは驚いたが……こいつは……」


「耳が痛い気がします。なんでしょう……」


 コロニーのすぐ外。

 ほぼほぼ安全地帯で、MMWと乗り物の外に。

 みんなで空を、岩盤を見上げている。


 俺以外には見えないだろうけど、まるで力が波のように動いている。

 力が来る先は、遠く遠く。


 そのまましばらく、全員で無言のまま、異様な雰囲気を見守っていた。

 一緒に連れ出した機械獣だけが、まっすぐ前を向いている不思議な光景。

 と、そんな時だ。


「セイヤ、戻るぞ。上半分の戦士に呼び出しがかかった」


「え? あ、本当だ……俺も上位層扱いか」


 いつの間にか手元の端末が揺れ、そんな連絡が来ていた。

 出てきたときの見回りの仕事は、仕事という名の外出権利みたいなもの。

 報酬はないそれはいつ終わってもいいので、気にせずコロニーへ。


 そのまま集合先へ全員で行くと、結構な人数の戦士と飼い主、関係者が集まってきていた。

 どこか建物で話があるのかと思ったが、みんなの前にベルテクスが出てくる。


「よく来てくれた。この異様な雰囲気を皆も感じていると思う。過去の記録からすると、スターレイに何かあったときに起きている。そこで、調査団とコロニーの防衛に分かれてもらう。むろん、報酬は出る」


 そんな話から始まり、思ったより多くの戦士が調査団に名乗りを上げた。

 俺とリングは、喧騒のさなか、すでにベルテクスから直接参加要請が来ていたのだが。


 もともとそのつもりだったし、断る理由もない。

 にぎわう戦士たちとを見つつ、準備に戻る俺たち。


 今回は、ソフィアとエルデ(と赤ちゃん)に爺は留守番してもらおう……。


「だめです」


「ええ……そんな戦う予定はないよ?」


「それでもです」


 ところが、留守番をお願いしたところで、怒ったソフィアに却下された。

 なぜか、爺までもが頷いている。

 リングを見ると……あきらめろ、なんて返ってくる。


「……わかったよ」


 結局、俺が折れる形で、全員で。

 1週間以上は旅路となる覚悟で、準備を進め、コロニーの出口へ。


 ほかにもいく予定の戦士たちと合流し、各方面、ベリルコロニー以外の方向へと調査団は出発。

 俺はこっそり、力の波を感じた方向の調査団に入っている。


(ま、ベルテクスにはバレバレだろうけどさ)


 実際、明らかに彼のところで見た覚えのある人が同行している。


 隊列を組み、急ぎつつもすぐに止まれるように進む。

 とはいえ、しばらくは当然、何もない。


「セイヤ、少しいいか?」


「何? 今のところ、機械獣も虫も感じないよ」


 希望の穴で人形と会話し、あれこれ調整をした時に、俺は機械獣たちの探査方法について教わった。

 独特の機構を持つ彼らは、生き物の探し方ではダメだったのだ。


 管理者の権限とか言うものを流用した方法で、そこそこの範囲でどちらも感じ取れる……はず。

 今のところ、目の前の味方である1機以外は反応は感じない。


「そいつはいいことだ。だが話は別のことだ。俺も話に聞いたことがある程度なんだが、もし色が変わるスターレイを見つけたら、コンテナサイズでいい、気合いで持ち帰れ」


「そこまで言うってことは、良い材料になるのかな?」


「本当かどうかはわからないが、な」


 わざわざリングが言うぐらいなのだ。

 それなりに信憑性のある話なのだと思う。


 それにしても、色が変わる、か。


(無色透明なあれが? もしかして……)


 俺は一人、レアなスターレイについて考えつつ、他の面々と一緒に進むのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ