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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-108


「一番欲しいやつを連れてきたな、セイヤ」


「勝手についてきたんだよ」


 出迎えてくれたのは、リング1人。

 他は急いで準備をしているところらしい。


 いくら俺とそのMMWが早いと知っていても、早すぎないか?

 そんな疑問が顔に出ていたのか、リングはついてこいとばかりに手招き。


 ついた先は、ごく普通の建物……中には機械獣の残骸!?

 結構な数の残骸が、調査のためか部位ごとに分けられていた。


「あれから、すぐに近くに出てきたんだ。で、早く解決したいって感じでな」


「そっか。じゃあ残骸は持ってきても意味はなかったかな?」


「そうでもないだろう。同じところのものかを確認するだけでも意味がある」


「待て、セイヤ、アデル。何の残骸だって?」


 言われ、外に置きっぱなしのMMWと、アデルの運んできたコンテナ車のほうを向く俺。

 中身のことを、そういえば言ってなかったなと思い出す。

 俺とアデルの話を聞いて、リングが驚くわけだ。


 簡単に説明すると、リングが少し固まって……ため息1つ。


「今のところ、そんな話はこっちじゃ聞いてないな。巡回か……」


 合流して出発前に、話をすることに。

 リーンベルたちへ連絡を取り、集まってもらう。

 すると、どこからか人が集まってきた。


 半分ぐらいは戦士というより、リッポフ商会のような商売人に近い。

 プレストンの記憶からすると、これが研究者ってやつか。


『見ろ、あいつらの良いものを見つけたって表情。好きなんだよ、こういう未知がな』


(そんなもんか……確かに、知らないことを知るのは最近、わくわくするけどさ)


 こんな感想の自分には、研究だとかは合わないのだろう。

 できるだけ、わからないことは早くすっきりさせたいからね。


「違いがあるかどうか、すぐに確認させよう」


 そんなリーンベルに残骸を預けることを同意すると、すぐに運び出されていく。

 2日ほどで、できる限り調べるとのこと。


 その間、俺とアデルはベリルコロニーの戦士たちと打ち合わせだ。

 もちろん、ソフィアとも話さないといけない。


 父親であるメーロンを引き連れ、ソフィアに会いに行くと……。


「二人とも、無事でよかった……。聞きましたよ、獣型の相手と遭遇したと」


「うん。機械虫と機械獣ってとこかな。こっちは大丈夫? ほら、エルデと赤ちゃんも」


「隣の部屋で休んでいますよ。こっちには人間を育てるあれこれがある程度引き継がれていたみたいで、子育てという点では安心です」


 悩ましい話が多い中、とても朗報と言えた。

 リングを見れば、嬉しそうにうなずいている。

 

 戦士たちとも合流し、情報交換、そして今後の話し合い。

 出発の準備自体はもう終わるらしく、後は情報待ちだ。


 待ち遠しい気持ちを抱えながら日にちを過ごし……結果がやってくる。


「同じだけど、違う? どういうこと?」


「中身が少し、違うことがわかったそうだ。技術的には同じだが……行動原理が異なる。目的が違うとも言えるな」


「ってことは、セイヤたちが出会った巡回していた機械獣と、ここに来たり、今から行く場所にいるやつとは違う場所で生産されてる可能性があるってことか」


 2人の話を聞き、ますます解放の必要性が上がったのを感じる。

 できるだけ早く解放し、施設を手に入れ、解析するのだ。

 そして、対策する。


 もし、もしもだが。


 機械虫か機械獣を、人類側の都合のいいように生産できたならば?

 この地下世界での戦いは、色々と変わっていくだろう。


(でも、そうなったとき……戦士はどうする?)


 今までのように、単純に試合をする意味が、どこまで残るか。

 まだ妄想の域でしかない考えに、気持ちを飛ばす俺だった。






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