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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-107


 コランダムコロニーから、星の海、地下トンネルを見つけた場所までは順調だった。

 ただ、順調だったのはここまで。


 もう少しでトンネルを見つけた場所というところで……その気配を感じた。

 正確には、ウニバース粒子が嫌な動きをしていたというべきか。


「戦士セイヤ、このままでいいのか? 私はかまわないが……」


「戦闘は問題ないはずだし、ちょっと片付けようか」


「敵か、なるほど」


 アデルも気配というべきもので、気が付いたようだ。

 俺も何がとは言わずに、対応だけ告げる。

 さすがにここで戦っていただけあって、メーロンもすぐに察した。


 そう、どうも激戦地だったという星の海に、またやつらが来ているようだ。

 問題は……どうも、すでに始まっていることか。


「片方は見覚えがある無人の虫?みたいなやつだけど……」


「あれは、獣型の……人類側の戦力だな。今回解放しようとしている区画で生産されている機体だ」


 例の無人機が虫ならば、もう片方は獣だ。

 教育でしか知らない、動物というものの一種。

 四本の足で駆け抜け、射撃は行わず自分の体で戦っている。


 ここまで防衛戦力が広がっているのだろうか?


『いや、巡回同士がぶつかったんだろう。偶然に、な』


「ここが激戦地だったの、これもあるのかな?」


「かもしれんな。敵の敵は味方というわけではないが、利する必要もないと思うが、どうだ」


 アデルの誘いに、短く乗ったと返し、機体を前に。

 メーロンには周囲の索敵というか、モニターの監視をお願いし、戦闘開始。


 横合いから、機械虫の集団へと暴力を叩き込む。

 弾丸自体は、ベリルコロニーでも補給できるはずだ、たぶん。


 アデルは……UGは節約し、通常武装で戦っている。

 まあ、あっちの補給は望み薄だしね。


(やっぱり、思ったよりもろいな)


 なぜか、俺が攻撃するときには予想より効いている。

 リングたちだと、硬いと評判なのに。


 それに、アデルの攻撃も同じぐらい有効になっているような。

 その上、機械獣はこちらを半ば無視した動きだ。


「不思議だ。なぜ君たちの攻撃は……」


 メーロンも驚いているから、これが普通じゃないようだ。

 何が違うのか、攻撃を続けながら考え……1つ気が付いた。


 俺の放つ攻撃と、アデルの放つ攻撃。

 どちらにも、ウニバース粒子が濃く絡みついている。


「アデル! 粒子で貫く感じで!」


「粒子で? ほう、なるほど」


 さすがトップランカー。

 今の一言で意味が伝わったらしい。


 放つ弾丸自体は、数を重視した低威力のものになったはずなのに、効果は倍増。

 俺も同じく、熱を込めるかのように弾丸に粒子を意識して伝える。


 まるで光の弾丸を放つかのような攻撃が続き、機械虫は瞬く間に減っていく。

 結果、敵の敵、機械獣というべき相手は多く残るのだが……。


「撤退していく?」


「巡回のルートに戻ったのだろう。この地下世界に虫どもがあふれていないのは、ああいう勢力がまだ無事だからだろうな」


 アデルの言葉に頷き、周囲を警戒。

 出来立ての残骸以外には、問題はなさそうだ。


 虫と獣、双方の持って行って意味のありそうな部分だけ、いくつか確保。

 アデルのコンテナを借り、それらを積み込む。

 ふと、無事な機械虫の武装が目に入る。


 MMWの使う武装に似たそれらを、上手いところはがすと……うん。


「流用できるね。エネルギー系なら、残弾の心配もない」


「考えもしなかったな。戦士セイヤ、柔軟な思考の持ち主なのだな」


「そうでもしないと、修理費用が怖かったからね」


 本心から、ほめているのだと感じるメーロンに、自分も正直に返す。

 実際、稼げるまでは節約を意識して生活していた。

 幸いにも、順調に勝ち進んだおかげでその必要もなくなったわけだけど。


「そろそろ、使うことも覚えねばいけないランクになるだろう。さて、案内してくれ」


 頷き、目的の小山というか洞窟のある場所へ向かい、最初と同じように中へ。

 興味深そうに周囲を見渡すアデルに呼びかけつつ、扉を閉じる。


 あとは、話しながらでトンネルを進むだけだ。



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