No.553 化学工場
脳みそでしがみついていないと心臓が置いていかれるような劇場版チェンソーマン過去最高だったぞオマエ!
お前もチェンソーマン最高と叫びなさい!!ゲリラ
「黒の女王って、あまり見た目に拘るタイプじゃなかったのかなぁ?」
「だろうな。実利優先タイプだったんだろう。手段はともかく……他2つよりも全体的に繁栄した遺跡に見えるしな」
赤の女王はアラビアン天守閣。
青の女王は少し縦長の貴族屋敷。
それぞれが遺跡を象徴する絢爛な拠点を構えていたが、黒の女王の派手さは少しベクトルが違った。
形容するなら、元々化学工場だった物に装飾などを取り付けて強引にお城に仕上げた様なチグハグな建物。これ見よがしに太めの煙突が何本も突き出たり、数え切れないほどのパイプが外周を覆っていたりと、技術面では近代に近い方向に進んでいたのではないかと思われる見た目だった。
この屋敷に関してはGBHWでツナ達が修行している間に発見しており、既に女王が居ると思われる部屋に行くまでのルートまで大体確定している。
なお、恐らく天守閣の壁越えに近い煙突ルートだが、これはユリンが偵察しようとしてアンデッドからの集中攻撃を受けて死にかけたので断念している。
今回の攻略だが、戦闘職は全員参加だ。
メイン火力を担うのはツナとGinger、ネオンになった。ノート達がバレンタインイベントが近いと焦っている一方でツナとGingerの育成を急いだのは、黒の女王が防御型だった場合単発火力に特化しているこの両名が必ず必要になるとノートが判断したからだ。
タンクは通常であればJKに置くが、JK用のロケラン開発などが進みJKも火力要因にカウントできる可能性があるので今回は攻撃寄りの立ち位置で編成。防御はノートが死霊でフォローするかエロマが回復力任せで耐えるという編成を採用。エロマを攻撃ではなくタンクで起用するといういつもと違う案が採用された。
そんな火力組をフォローする中衛アタッカーはスピリタス、トン2、鎌鼬、VM$。高い判断力を求められる役回りだが、この4人ならなんとかなると判断。
全体のヒーラーとサポートはカるタとケバプとヌコォ。
ケバプは後衛火力ではなく、ヒーラーとして起用する方面で決定。カるタもヒーラーとバッファーに専念で確定した。
ヌコォは今回は遊撃手になっているノートの代わりにリーダー起用。この様な決戦に近い戦闘でヌコォが指揮を取るのは初めてだが、ノートはやってみろと背中を押した。
さてそんなノートが務める遊撃だが、ノート以外にユリンとゴロワーズがいる。
ユリンはアサイラムで最も広く行動可能なプレイヤーだ。ピンチな場所で適宜自己判断でフォローに入ることを求められる。
ゴロワーズの立ち位置は完全にノートの采配。こちらも自己判断で攻撃とヒーラー、万が一の場合はタンクとしての役割を自己調整して立ち回ることを求められるというかなり難しい立ち回りになるが、ノートは可能と判断した。
そして遊撃の中心に立つのがノートとティア。
ティアをノートが守り、配下の死霊達と共にアタッカー、サポート、タンクから工兵としての役割全部を兼任する。
ノートが指揮をやらないと言った時は会議がちょっと荒れたが、ノートはこれを必要な事と判断して意見を曲げず、反対意見を全部言い負かして遊撃になった。
推定防御特化型にはより火力特化の編成にしたい。
しかしそれでティアが死んだら意味ないし、ティアを気遣いすぎてスズラン腕の二の舞では話にならない。
だからこそ、ノートがティアに張り付いて守り通すという異例の策が最終的に採用された。
「さーて、ボス扉前までは2チームに分かれて行動だ。先行組、くれぐれも気をつけてくれー」
高火力で攻撃範囲も大きいメンバーが少なくないアサイラムは、広くない場所でまとまって動くのは危険である。特に10人以上になってくると邪魔だ。人数に応じて強化されていると思われる敵の強さも鰻登りに上がるため10人未満が安全なのはノート達はよく知っている。
その為、アサイラムはチームを分断する。
一つはヌコォをリーダーとして、ユリン、ネオン、スピリタス、トン2、鎌鼬にカるタ、ケバプとバランスを重視。
もう一つはノートをリーダーにゴロワーズ、JK、ツナ、エロマ、VM$、Gingerにティアを加えたメンバーだ。
分けると言ってもお互いに連絡を取り合える範囲内ので完全にバラバラというわけではないが、色々なバランスなどを考慮してノートが決めた。
「行ってくる」
「気をつけてなー」
正面扉を開けるギミックをヌコォが操作すると、ゆっくりと重い扉が開く。すると足元を黒い煙が塵のようなものが噴き出して外に抜けていく。
ノート達に見守れる中、ヌコォをリーダーとする先発隊が推定黒の女王の城の攻略を開始した。
◆
「よいせぇ!」
「ゴロー!」
「あいあい〜ってギリギリぃ!」
JKほどではないが、中にアメフトの選手が入ってないとまともに動けないだろう頑丈で分厚い黒の鎧を纏った戦士は、ゴロワーズのバットのフルスイングを盾で危なげなくガード。
そのまま盾を突き出してシールドバッシュに転じようとするが、それよりも速くゴロワーズの背後から飛びかかったGingerが刀を振るう。
視界の端でGingerの動きを捉えていたゴロワーズは危なげなくGingerを屈んで避けるが、ゴロワーズの頭上を通過した刀はゴロワーズを掠め、シールドバッシュに繋げようと踏ん張ろうとした重戦士を抉り上げる様に盾ごと斬り払った。
アンデッドは腕を斬られようが脚を斬られようが腹に大穴を開けられようが死なずに攻撃を続行してくるという極めて厄介な特性があるのだが、物理的に不可能な事は流石にアンデッドも断念する。
例えば腕がなければ剣は振れないし、足がなければ蹴りはできない。
アンデッドを殺す時はただHPを削るのではなく、攻撃を阻害する様に敢えて綺麗ではない軌道で斬ったほうがいい。
これはGingerがこの遺跡やノートとPvPをして学んだ技術だった。
「ツナー!」
「えーい!」
同じく前方ではJKとツナがコンビで動いていた。
このコンビは生き別れの姉妹みたいにノリが合っていたので元々相性が良かった。ツナのテンションアップで場当たり的な行動をしても、JKはそれについていける頭のキレもあるしツナを制御できるだけのチームプレーの経験も持ち合わせている。
火力はあるが決め手に欠ける傾向のあるJKと火力は十分だが安定性に欠けるツナはゲーム的な相性も良い。
「エロマ〜バフほしい〜?」
「あればっ助かるっ!それと弓もっ!」
「うぃ。外散らすよ〜」
エロマとコンビを組んでいるのはVM$。
この2人は相手気遣うという事が当たり前にできる。また、VM$そのものが万能に近い。
自分の希望を相手に伝える、という事はあまりしていなかったエロマも、なんでもできるし苦にもせず考えを読み取ってフォローしてくれるVM$相手なら普段よりも気兼ねなく意見が言い易い。
もっとも、ノートから裏でエロマの希望を聞き出す様に立ち回って欲しいとVM$が頼まれていたから、というのもあるが。
レゼロスで寝込むね………( ˘ω˘ )
人生で初めて同じ映画もう一回観に行くわ




