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No.69 反転スル天祀ノ結界・開錠セシ不浄ノ門・来タルハ冥途ノ渡シ船➁

(´・ω・`)約3か月前、皆様からご応募いただいたプレイヤーネームを一気に放出です。随分とお待たせいたしました。






「『狙撃』さん、後衛の準備OKです!」


 プレイヤーネーム『ソッゲッキッ』通称狙撃さんは前線のプレイヤーの報告を聞いて頷く。


「タンクの方は大丈夫なのか?前線で一番敵をさばいているタンクは『おにぎりパン』だ。あの人が引いたら一斉に撃つぞ!」


 押し寄せるアンデッドに対して、プレイヤー達は各地で自分が今できることに全力を尽くす。

 そのエリアでは盾持ちタンクが扇状に陣形を形成。ただ突っ込んでくるだけのアンデッドをブロックしていた。


「よし、『おにぎりパン』がひいた!全員、放て!!」


 そのプレイヤーの中で自然と指揮をする者が現れたが、この場では後方部隊をソッゲッキッ、前衛部隊を『おにぎりパン』という日本サーバーで指おりのタンクプレイヤーが指揮していた。

 ソッゲッキッの指示で魔法が、矢が一斉に放たれた。ただ『狙撃さん』とよばれる彼自身は弓矢ではなく、槍の投擲を用いて後方の大物を討ち取っていた。そう、彼はこんなPLネームでありながら投擲主体の槍使いなのである。


「よし、今のうちに前衛はある程度人を交代して回復に努めてくれ。無理は禁物だ。今は猫の手も借りたいくらいだ。だから第二陣のプレイヤーにも積極的に動いてもらいたい。卍深淵卍はできるだけ第二陣プレイヤーのフォローに回ってくれ」


「はいよ~」






 あるところでは数人の中心的プレイヤーにより秩序だった反撃が行われだしたが、一方でこの場所では個の力に頼った異様な反撃が展開されていた。


 その中でも殊更目立つのが


「ヒャッハー!死ねぇアンデッド共!全部オレの畑の養分になれ!」


 “農業で鍛えた”魔法をバカスカ撃ちながら、鍬で敵を屠る世紀末農民だった。



「天然水工場さんは相変わらずなようで」


「それに感化された農業プレイヤーもあばれだしてるぜ」


 世紀末農民が生産職なのにもかかわらず戦闘系プレイヤーの先陣を切って突撃をする中、それを援護するように動き出すプレイヤー達もいる。


 「さあ、同志たち!今こそ農業スレ民の底力を見せつけるのよ!」


『Yes,ma'am(マーム)!』


 その名は『カンパニーマーム』。農業スレ重鎮にしてテイマー達にも顔の利くオカマである。

 そんな彼女の指示に従い動き出すのも、類は友を呼ぶというのか生粋のオカマプレイヤー達ばかりだ。

 その中でも世紀末農民に負けず劣らず目立つのが、統一した衣装を纏う女性(♂)戦闘集団『クイーンベレー』。


 作戦担当、資金・物資・行程管理を行う通称『少佐』、クイーンベレーのリーダーである『ネロ』。

 技術担当、主に鍛冶から裁縫までオールラウンドに熟す女子力が一番高い『あきんど』。

 情報担当、裏板等から有益情報を引き出す斥候役の『ショタコン』。

 小物を扱わせたら右に出る者がいない。衛生担当、料理・調合等を担当する『テラケミック』。

 タンク担当、誰よりも女性であり誰よりも義に熱い漢『愛伝』。



 衣装は迷彩柄のフリル付きドレス。生産担当も関係ない。小隊が一つの完成された生物のように動くトップクラスの連携力は見事な物だった。

 それに合わせてカンパニーマームの元、テイマー集団がモフモフ獣軍団を解き放つ。その見た目はどれもが可愛いが、戦闘能力もそれなりに高い。その物量を以てしてアンデッドの大群を徐々に押し返して行く。


「いくぞ!”彼女”たちに続け!!」


 個の活躍により、また一つアンデッドを押し返しはじめる場所が生まれる。





 一方で、なかなかカオスな様相を呈している場所もあった。

 

「爆破準備!みんな逃げろ~!!」


 その掛け声と共に、また戦場の一角が爆発を起こし、アンデッドが吹き飛ぶ。


「いやぁ、やはり爆発はいいですな、銀帯さん!」


「ですね!」


 そこにはなぜか際物プレイヤーとデばっかーが集中し、半ば実験会場のようになっていた。もちろん被検体は大量にいるアンデッドである。

 薬を撒いたり、ネタスキル同士を組み合わせて自爆を敢行したり、錬金陣で連鎖爆発を試みたり、人間ミサイルをやったり、などと兎に角自由だった。


 アソパンマン、冷えたホットミルク、ジャイアンとキリング、窓に!窓に!、前線後退…………名だたる有名デばっかー達の暴走が止まらない。

 しかして戦線は崩壊の兆しを毛ほども見せない。

 彼らのデばっかーという顔は一面に過ぎない。彼らはデばっかー達の中に潜んでいるといわれるガチプロさんたち、つまりはプロゲーマーなのである。


 エンジョイ勢に振り切っているものの、彼らが本気を出せばその連携力は凄まじい。手に持つ物が棒切れ一本だろうと華麗にアンデッド共を捌き、パリィし、スイッチし、流れるように戦闘を行い戦況をコントロールしてみせる。


 それを援護するのが、戦える錬金術師こと銀帯(シルベルト)をはじめとした際物プレイヤー達だ。


 PL(プレイヤー)、這いよる変態。デばっかーの中ではプレイヤーの服を引っぺがす実験に関わったり、本来潜入できなそうな場所に積極的に突撃しよく留置所にお世話になっているプレイヤーだ。

 しかしそれにより彼の潜伏系スキルは他のプレイヤーよりも図抜けている。その影の薄さをもってして彼はアンデッドの間を走り抜けて的確に屠っていく。


 PLN、僕が加湿器。水に関することに異様なほどの関心を持ち、服による濡れスケがALLFOはどれくらいおきるのか実験していたりした。そんな彼は慣れ親しんだ水をありあまるMPで大量に放出し押し流す。

 そのせいでプレイヤーも少し巻き込まれて「ばかやろう!」と厳しいお言葉を頂くこともあるが、彼自身は女性プレイヤーの濡れスケが見れてご満悦。

 積極的に女性プレイヤーのいる方に水を多く流して敵を近寄らせないようにしているあたり、確信犯としか言いようがない。


 PL、Sっ気女王。別名「どMプレイヤーの希望の星」。女性プレイヤーにしては非常に珍しいことにデばっかーの一員。誰よりも上手く鞭を使いこなし、敵を纏めて屠っていく。其のたびにステレオタイプの女王様の様な高笑いをしていてかなり様になっていた。

 ただ、有志で製作されているボンテージスーツは着る覚悟がなく、見た目はただの綺麗な町娘なので内面と外面の凄まじいギャップがあった。


 PL、となりにトロル。恰幅のよいのんびりしたプレイヤーなのだが、時々とち狂ったことをしだす。

 今も複数人の手を借りて自分の体に樽爆弾(現状ではまだ非常に貴重な品。銀帯さんが気前よく納品してくれた)を大量に巻き付けている。

 そして彼はそのままタンクご用達のスキル各種を発動し、色々なバフを貰い、咆哮しながらアンデッドの群れに突っ込んでいく。最初こそ一気に弾き飛ばしてアンデッドの群れに切り込んでいったが、圧倒的な物量の前に姿が見えなくなる。

 その瞬間、今までよりひと際大きな爆発が起きて大量のアンデッド諸共色々な物が吹き飛んだ。

 そう、彼は自爆することに全力をかけるデばっかーさんなのである。そんな彼も爆死は初経験。大変満足したようだ。


 PL、T字代謝死体。彼はその場で簡易弩級台を作り、他のプレイヤーから受け取った物を次々に放つ。

 しかしそのどれもが矢ではない。明らかにゴミを押し付けられてるようにしか見えないが、それでも彼は淡々と、装填する物が一律でもないのに類まれなる狙撃能力で一匹、また一匹と突然変異個体をヘッドショットする。


 PL、歩行者信号。彼女はネタ扱いされる薬を在庫一斉処分と言わんばかりにアンデッドに投げつけ攪乱する。

 あまり効果がない方が多いのだが、たまに当たりがあったりして、アンデッド達がダンスをするような動きを始めるというシュールな状態を引き起こしたりしていた。

 

 PL、ディケイドのせい。彼はカードに特殊な付与を施し、そのカードをばら撒いて攻撃を行っていた。不思議な名前だが付与魔法にかけては他のプレイヤーの一歩先を行く実力で、着実に敵を撃破していた。


 PL、山田犬郎。彼は偶然テイムに成功した猪型モンスターにまたがり、それを操って敵を轢き殺していく。

 しかしアンデッドがもはや多すぎるあまりにモンスターは暴走し彼の言うことをまったく聞いてくれない。なので彼は泣きながらしがみつくしかなかったのだが、そんな彼を救えるプレイヤーは誰も居なかった。


 

 そんなプレイヤー達が多数いたが、個性万歳なデばっかー集団とデばっかーの皮を被ったプロ集団により、その場所の戦況は一気に好転し始めた。






 街の外れの方では、世にも珍しい光景が展開されていた。


「そっちのフォローよろしく~!」


「ちょっと、勝手に先行しないでよっ!」


 PKパーティー『ダイス無くした!!』。

 TRPG歴10年、精神分析99%で100ファン叩き出す彼女の名は『生粋のファンブラー』。不吉極まりない名ではあるがその射撃能力は確かで、また一体ヘッドショットの一撃で仕留める。

 そんな彼女を援護するのが『凧丸』。異様なまでに刀剣を愛し、自ら刀をうち振るう兼業鍛冶師だ。

 そんなパーティーの斥候役『ニャン盗賊』。人から物を盗むのが得意で、非常に手癖が悪く手品に精通しているだけあって異常に器用。自由気ままで猫のような性格だが、追い詰められると狂ったように暴れだす狂戦士でもある。

 そしてニャン盗賊のリア友であり、彼女の世話人のような存在が『わんこそば』。生粋の犬派である彼女は僧侶を正職業としておりパーティーの回復を担当する。


 全員が女性プレイヤーという珍しいPKパーティーは乱戦の中でも華があり、チームプレーで敵を屠っていく。



「女どもに負けていられるか!俺らもやるぞーーー!」


 それとは対照的に、男だけで形成されたクラン『リア充ボンバー』のリーダー、『リア充に爆発(サチ)あれ!』は大声で同志非リア充諸君に呼びかける。

 といっても、いくら硬派を気取ってもやはり男としては可愛い女の子の前ではかっこよくありたいもの。近くに女性PKパーティー『ダイス無くした!!』がいるだけあって士気はいつも以上に高い。


 非常に活気があるだけあって、それらの集団はかなり目立つ。一方で実力をもってしてその存在感を高める者もいる。


 例えば双子の凄腕PKプレイヤーコンビ『天照』と『月読』。細身で小柄な二人だがその身体能力は高く、2人合わされば一種の曲芸の様なコンビネーション攻撃を可能にする。

 運営主催のイベントでも比較的低年齢でありながら大健闘。多くの者がその名を知ることとなった。

 その二人にスカウトされ彼らの回復を担当するのがPL黄昏おにぎり(本名は鬼霧明日香)。実は結構いい所のお嬢様であり、スピリタスとも面識アリ。スピリタスの熱狂的なファンでもある。


 PKパーティー【監獄】。こちらは髑髏などをあしらった漆黒の装備からして悪役であり、連携力も軒並み外れて高い。

 パーティーリーダーの喪非漢モヒカンは鋏を主武器にする盗賊で、器用に敵を捌いている。

 有蚊不取アルカトラズ、僧侶の第二段階である暗黒僧侶をメインに副職業を薬剤師としているプレイヤーだ。

 風呂血湯バスチーユ、ガタイのいい狂戦士で両手斧で無双する。

 劉備嫌乎ルビヤンカ、テイマーの第二段階職業のダークロードテイマーで、リアルでは政治家だったりする。

 理論愚上リロングウェ、ノートと同じく黒魔術師でリアルでは不動産屋のお偉いさん。

 黒海豚ブラック・ドルフィン、こちらも狂戦士。漁師など遊びに傾倒した副職業も取得したひょうきんな人物でもあり、パーティーのムードメーカーだ。


 このパーティーはリアルの知り合いのみで結成されたパーティーで、しかもリアルでは社会的に勝ち組な連中。金にあかして課金上限を支払い、強くなることに貪欲な一団だ。


 また見事な連携ながらも別の要因で目立つプレイヤーもいる。


 PL、G雷(ジーサンダー)。凝りに凝ったキャラメイクで70代のお爺さんの格好をしており、通信教育で学んだという怪しげな拳法を使う。

 蛮々翁(ばんばんじい)、紅ちゃんちゃんこの両名もキャラデザに凝りまくって見た目を爺さんにしている。そんな蛮々爺は狂戦士として爺さんらしからぬ機敏な動きで暴れまわり、紅ちゃんちゃんこは「ふぉっふぉっふぉっ」と爺さんになり切って笑いながら魔法を放つ。

 このパーティーは見た目が全員爺さんなだけあって、他のプレイヤーよりもやたらと存在感があった。もちろん強いしプレイヤースキルも高いのだが、それ以上に見た目のインパクトが強すぎた。


 そしてなにより、上記のプレイヤーは普段表舞台には出てこないPKプレイヤー達である。そいつらが雁首揃えてやんわりと共闘しつつアンデッド達を確実に押し返しているのだ。


 ここでもまた、普段は見られない光景が展開され、支配権の奪還が進んでいく。





(´・ω・`)プレイヤー達はただのかませじゃないのよ。それならNPCと変わりないし、彼らだってちゃんと人間だし、設定考えるの楽しすぎる(本音)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 有蚊不取アルカトラズ、僧侶の第二段階である暗黒僧侶をメインに副職業を薬剤師としているプレイヤーだ。 こいつすげぇー まだ未発見のはずの僧侶を第2段階にしてやがる…… ミスっぽいケド……
[気になる点] 多すぎる。 [一言] 要るのか分からない興味の湧かない情報をストレスに耐えながら読む苦痛と、作品をしっかり楽しむためには読んだ方がいいのでは?という我慢とがバチバチに競り合う回だった。…
[気になる点] 更新ありがとうございます! ゲリラは死せず! [一言] もしかして今回のイベントをきっかけにノート達以外のプレイヤー全体が底上げされるのかな?
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