No.Ex MGチーム活動日誌❸
No.Ex MGチーム活動日誌❸
【2月+日】記入者:Kicking
アサイラムはなんかヤベー奴が多い。
MGチームの中じゃ普通に喜んでる連中も多いが、予想よりろくでもねぇ。それはゲームの話だけじゃない。リアルの方面でもだ。
世界的なトップアスリートに一流クラスのプロゲーマーが雁首揃えてるメンバーも問題だが、それを差し置いてトップに座ってるキャップは何者なんだ。あの連中もあの連中でキャップがトップに座っている事に違和感を覚えていない。NPC達ですら、キャップとそれ以外に対する扱いが全く違う。
アサイラムはキャップのワンマンというほどでもない。キャップが席を外している間も機能はしている。だが、それも自分が居なくても組織が機能するようにキャップが整えているだけに見える。
待遇面に関して不満はないが、不満が無さ過ぎるのが逆に大きな不安ではある。仕事場も、資材も、環境も、全て用意されている。マフィアにニコニコしながら席に座らされて「遠慮するな。さぁたんと食え」と五つ星のフルコースを目の前に並べられて「じゃあ遠慮なく」とむしゃむしゃ食うバカがいるか?
今はまさにその状況だ。
何もかもが用意されている。ただの親切?そんなわけがねぇ。俺達も引き抜く際にもDDのトップ連中に相当な量の苦渋を飲ませたらしいってのは特に興味のねぇ俺の耳にも届いたくらいだ。親切な奴は単なる交渉で良い歳した連中を半泣きにさせたりしねぇ。
キャップの一番タチの悪い所は初期限定特典とかじゃねぇ。ゲームにおいて通常では反映されねぇ部分の指揮センスだ。
俺が騒いだところで、他のMGチームの連中が変わるとは思えねぇ。既に半数以上は取り込まれつつある。それもそうだ。現状になんの不満もないどころか、想定よりも遥かにいい待遇なんだからな。俺達に知らず知らずのうちに損をさせて自分の得を取っているような男ならまだ話は早かった。そうじゃなく俺達に得を取らせることで裏切れないようにしてくるタイプの奴だ。根が真面目な、それこそ生産担当している大人しい奴ら程上手く丸め込まれる。
今後ともキャップの動向には俺だけも注意していく。
【2月*日】記入者:Arizona Palo
今日はアサイラムのホーム内の移動が全面的に解禁されました。
個々人の部屋以外は基本的に立ち入りOKだそうです。
それに合わせて「迷子にならないように」とアサイラムのミニホーム内の地図を渡されました。ミニホームなんて必要費用的にどんなに拡張してもアメリカの少し裕福な家くらいあればトップクラスなのに何を言っているのだろうと思いましたが、実際のマップを渡されて納得しました。実際の面積に関しては不明ですが、そこらの遊園地数十個分はあるかもしれません。なんせ、私が見学したエリアの中に遊園地がそのまま1つあったのですから。
見せかけだけなのかと思ったのですが(見せかけだとしても重機を十数台持ち込んでの大規模な工事をしなければ不可能な、リアルと比べても遜色ない遊園地でした)、実際に動くのだから驚きです。動力源は魔法なのかとも思いましたが、同時にランプや照明なども付いていました。つまり電気などに関する技術もあるのかもしれません。けものっ子サーバンツなる獣耳をつけた女の子たちが使っている変な道具にもなにかしら道具がありそうです。
電工開発を期待されてスカウトされた私としてはあの小さい子達の道具を解体してどんな技術で動いているのか解明したいのですが、あまり直接的な接触をしない方が良いと警告されているのでキャップに一度相談してみたいと思います。
あと相談できる相手がいるとしたら、アテナさんでしょうか。最初はモンスターが流暢に話し、色々な物を開発している事に驚いたのですが、そのゲーム的な知識の深さは私を超えていることにはさらに驚くべきことです。私が今持っているアドバンテージと言えば、リアルの知識だけ。その知識もどこまで通用するものか。
実際問題、今のALLFOの環境に於いて電気を用いたアイテムは流通していません。銃を一から作り出せるALLFOの自由度なのですから、当然私の様に電気を技術的に確立しようとするプレイヤーは多い。それでもなおできていないのは明確な理由があります。現実となまじ似ているからこそ、現実と同じような事をしようとしても成立しない事に混乱する。やはりできない事はできないのかと少し諦めにも似た感情はありましたが、実際に私のやり遂げたい事の答えがアサイラムにはあったのです!
あのような遊園地が作れるなら、他にも色々と作れるでしょう。
これからも研究を続け、投資して頂いた分はしっかりとお返しできるように頑張ります!




