No.158 びにゃ
誰も突っ込まんかったけど、No.157投稿し忘れたわ
って事で割り込み更新してます。(余計な焦らしに)
∩ ∩
い_cノ / ̄>O
`c/・ ・っ (ニニニ)△△
("●" ) (・ω・`)[∥]
O┳Oノ)=[ ̄てノ ̄ ̄]
◎┻し◎ ◎――◎=3
フライングクリスマス仕様ゲリラ
良い子()のみんなにプレゼントだ
明日のプレゼントは感想の量で決まるぞ(妖怪カンソウクレクレ)
「かなりいい調子だなぁ。てか多いな数が」
『ネオンのトレイン能力が思ったより強力。変な称号得られそう』
『すっごい数だねぇ。ヘイト管理が大変かも』
『祭りって感じがするね〜、するよね〜!』
『ハハハハ!この数はスゲェなッ!』
『ちょっと、前のめり過ぎになって落ちないようにしなさいよ』
『ノートさーん!いつまでやれば、いいんですかー!?』
キサラギ馬車の“上”に乗って数えるのも億劫になる量の敵性MOBを率いて移動するのは銀色のイタチの仮面をつけた魔女を始めとしたピエロマスクの集団。
本来はキサラギ馬車の能力で姿が隠蔽されるのだが、今回は敢えて隠蔽せずにキャンプ地周辺をキサラギ馬車は爆走している。
その馬車の上で淡々と矢を放ち、ヘイト強奪のスキルで魔物を引き寄せ続けるのはヌコォ。
ヌコォを始めとしてノートを除く『祭り拍子』の面々は思い思いの攻撃を周囲にばら撒きヘイトを集め続ける。
そしてその中でも1番重要なメンバーであるネオンは鎌鼬のヘイト率上昇の仮面をつけて馬車の上にへばり付き悲鳴を上げていた。
その様子をノートは上空に隠れているグレゴリと視界を共有して認識し、グレゴリ経由でリアルタイムで会話を行う。
スタンピードは数万人のプレイヤーが待ち構える広大なキャンプが攻め込まれるイベント。6日目のスタンピードはいよいよ駆け出しや生産組に毛の生えた程度のプレイヤーでは全く抑えきれない規模と強さを持った敵性MOBがキャンプ地を襲撃する。
その数、1ウェーブあたり凡そ3万オーバー。ボス戦を突破したプレイヤー達にとっては一山幾らでも、数の脅威がどれだけ恐ろしいか反船で知らしめられたプレイヤーは油断しない。
だが、そろそろ次のウェーブが来る頃になって、その次の次のウェーブのタイミングになっても、魔物は散発的にチラホラと姿を見せるばかりで一気に押し寄せてこない。
それを楽観視するプレイヤーもいれば最大限警戒したプレイヤーもいた。だが、彼らがスレで情報をやり取りし事実確認を始めた頃には既に遅かった。
『もう、後ろの敵見えないですよ〜!?』
キャンプ地の周りを爆走する魔物は馬車の上で悲鳴を上げてる魔女に惹きつけられて巨大な群衆となる。キャンプ地へのヘイトよりもヘイト吸収超特化仕様済みのネオンの誘引率が勝ったのだ。
ネオンはノートに拾ってもらう前は訳もわからずトレインを繰り返していた黒歴史がある。その結果彼女が得た称号は多岐に渡るのだが、その中でも問題となる称号が幾つかあった。
―――――――――――
・トレイントレイン・原初(トレイン回数連続10回:敵性MOB誘引率上昇 )
・ランナウェイトレイン・原初(長距離トレイン10回:敵性MOB誘引率上昇・スタミナブースト)
・ビッグトレイン・原初(最大トレイン敵性MOB数100以上:敵性MOB追跡延長時間上昇)
・グランドトレイン・原初(最大トレイン敵性MOB数500以上:敵性MOB追跡延長時間上昇・大)
・インボルメンタープロフェッショナル・原初(トレイン殺害回数50回:トレインする敵性MOB強化)
――――――――――――
どれもこれもトレインの為に与えられた様な害悪称号だ。
そしてネオンの初期限定特典『パンドラの箱』には『災厄』状態範囲拡大・超絶という効果がある。スタンピードは元より『災厄』の一種だが、そのスタンピードをほぼ丸ごと引き連れているとなればパンドラの箱の効果の対象になる。
加えて本人達は気付いていないが、文字化け特殊称号にもヘイト上昇と敵性MOB強化の効果があったりする。
その状態で更に敵性MOBを引きつけやすい香を炊き、ヘイト率を上げる仮面をつけて、馬車の上からダメージ控えめで範囲のみに特化した魔法を何発か放ってればあっという間にヘイトがネオンに集中する。
結果として、プレイヤー達が気づいた時には思わず絶句するほどの百鬼夜行がキャンプ地の周りを周回し際限なく魔物を取り込んでいた。
当然、こんな真似をすればまた称号を押しつけられる。現在のネオンのトレイン効果はとんでもない性能となっていた。
ノート直々の依頼に張り切っていたネオンも最早最後尾が見えない化け物の群れに恐怖を抑えきれない。なのに、その横でヌコォが全く気にした様子もなく矢を定期的にばら撒きネオンのヘイトを維持し続けているせいで途切れもしない。
そんな調子で延べ数十分トレインを続けていよいよ制御できなくなったところでノートが動く。
「《拡大化・狂災虜の大恐慌相》!!」
グレゴリの騙し絵で魔物をノートの元に集める様に誘導し、他のプレイヤーから何が起きているか見えない様にする。
ノートは旗を携え、赤い月を背中に顕現させてグレゴリの下位化死霊に上空へと連れて行ってもらい空から見下ろす。
ネオン目掛けで走り続ける魔物の群れは壮観だ。
その魔物共に向けて、神寵故遺器の全リソースを全て自分に向けたノートは状態異常特化のゴーストを大量に解き放ち、自身もデバフ魔法を解き放つ。
付与する状態異常は『恐慌』。非常に厄介な状態異常であり、この状態異常は伝播するという極めて面倒な性質も兼ね備えている。
ノートの闇魔法はネクロノミコンの効果で通常の数段階強化されており、一方で敵の闇・呪耐性も数段階落ちる。赤月の都を主戦場とし、ヒュディで更にランクを2つ上げたノートの魔法をキャンプ地周辺に出没する程度の魔物がレジストできるわけもなく、大量の魔物が一気に『恐慌』状態に陥り、そしてそれは伝播する。
どうなるかは既に実験済みであったが、これだけの量に対して一気に恐慌が伝播する様は恐ろしささえ感じる。
そして青いピエロマスクをつけたノートは命令する。
【口を閉じ、跪け】
声量は大きくないが、その発言は呪言になり、ノートの近くに居た魔物から順に一斉にノートに向けて跪く。
騒々しかった森に静寂が満ち、赤い半月が魔物共を照らす。遥か古代の大将軍ですら見た事のない光景がノートの前に広がる。
この光景を可能としてしまったのはエンドコンテンツ級のスキル。そのスキルが真価を発揮したからだ。
ノートが持つ2つの凶悪なオリジナルスキル、【悪意に満ち満ちた恐怖の尋問官】と【汝、我の奴隷なりや】。
今回、重要なのは【汝、我の奴隷なりや】の『NPCに対する人心掌握成功率超極大』の効果。
それと【悪意に満ち満ちた恐怖の尋問官】の『発言が呪言になり、知性の低い敵性MOBですらその意味が正確に理解できずとも叩きつけられる言葉に硬直する』と、『“恐慌”状態まで追い詰めた敵性MOBは職業技能無視で命令し“使役”できる』というぶっ壊れ効果である。
神寵故遺器による支援まで受けたノートの魔法とノートの召喚したゴーストの魔法の性能は一時的にネオンに匹敵する効果範囲を発揮し、そして恐慌状態に陥らさせた魔物共を自分の支配下に置く。
テイム技能無視の強制精神掌握。瞬く間にして数万規模の手駒がノートの手札に加わった。
「うわ〜凄いね〜!今までやってきたゲームでもここまでヤバい事はなかったんじゃない!?」
空を飛び魔物の群れを見渡したユリンはハイテンションでノートに抱きつく。
「そうだなぁ。仕様上可能だとは思っていたが、まさかここまでとはな」
これだけの脅威を、核爆弾クラスの爆薬となる手駒を手に入れてもノートは動じないし、ユリンもただ楽しそうに兄貴分の活躍を喜んでいる。
ゲームで色々な事をしでかしてきたノートとユリンだが、規模という点では未だに彼らの人格形成に多大な影響を与えたGBHWで起こせるレベルの大災害は起こした事がない。
だが、これだけの頭数は確実にGBHWクラスに相当する災害になる事が予想できた。
「ノートッ!これお前が全部制御してんのかっ!?」
「そう、これぜーんぶ俺のオモチャ。スゲェだろ。サンキューなみんな!」
「は、はひ……」
「むしろこれからが本番」
これには異常に肝が座っているスピリタスも驚愕した様に叫び、その下準備をしてくれたネオンは既にバテバテ、ヌコォは逆に頭の中で算盤を弾き続け、予測出来る利益を前に誰が見ても分かるくらいに爛々と目を輝かせていた。
「のっくん楽しそうだね!」
「そうね、こういう時の方がイキイキしているわ」
グレゴリと視界共有を行ったトン2と鎌鼬も魔物の群衆を眺めて驚嘆し、トン2は愉しげに、鎌鼬もヤレヤレと言った態度は取りつつもテンション高めの弾んだ声で応える。
「さて、賽を振ろうぜ。吉と出るか凶と出るか、全てダイスの女神様次第ってな」
【賽ヲ投ゲル者】
反船イベントを通してノートが習得したオリジナルスキル。効果は因果律干渉、行動干渉影響域拡大、自律権付与。
正直ノートも完璧に効果は理解できていないが、端的に表せば、このスキルを持つ事でノートは祭りの参加者から主催者側へと変わる事ができる。
これから起こるノート主催のイベントがどうなるか。それはもうノートにもわからない。
「ふむ、只人の身でこれ程の魔物を従えるか。我が主人は相変わらず落ち着きがないし破天荒な様だな。だが、それは好ましくもある」
「バルちゃん?どうした?」
そしてノートが最後の下準備を行なっていると、急にノートの斜め上にバルバリッチャが突如として現れた。
真紅の長髪に真紅のドレス。青白い肌が真紅の衣装でよく映える。赤い月に照らされながら、背中から巨大な翼を生やし、金色に輝く覇気と瞳を輝かせて絶対的支配者として全てを見渡していた。
「主人がまた珍妙な真似をしようとしていると思ってな。少し見にきた」
「なるほど。それで酒蔵から出てきた訳か」
ノートに殆ど頼られることも無くなったので、バルバリッチャといえばそれをいい事に酒蔵を占領して日々酒を飲み続けていた。バルバリッチャは基本的に傍観者で有ろうとするので、バルバリッチャとしてもただボーッとしてるよりかは酒を作ったりしている方が手慰みになるのだろう。
そんなバルバリッチャがノートに頼まれたわけでもなく自主的にミニホームから出てきたのは極めて稀であり、裏返せばこれから起こる事はわざわざバルバリッチャが出張るレベルの災害になるのだとノートは察する。
「止めるか?」
「まさか、愉しげな試みを阻む理由も無し。酒の肴に眺めていよう」
いつの間にかバルバリッチャの手の中には酒瓶が有り、ゴクゴクと豪快に酒を飲み干す。瓶から直接飲む様は粗野で一般的にははしたなく思える振る舞いだったが、飲んでいる人のせいかどことなく気品があった。
「精々バルちゃんが見ても楽しめる様なイベントにしてみせるよ」
「では程々に期待しておくとしよう」
ノートがバルバリッチャを見れば、バルバリッチャも真っ直ぐノートを見返す。見にきた真意は不明だが、バルバリッチャがわざわざ出てきたのには何か理由があるはずだ。
しかしノートは今は敢えてその真意は聞かない。バルバリッチャの目が余計な事は聞くなと言っている様に感じたからだ。
「すごいわねぇ。ザコでも集まるとそうれいだわ」
「アグちゃんまで来たのか」
主従でやる事が似ているのか、バルバリッチャの少し後ろに現れたアグラットは顔ほどの大きさがある巨大なパフェとスプーンを手に現れた。
「アグちゃんはどうしてここに?」
「暇だったんだもん。面白そうな事しそうだし、見に来ちゃったわ」
あっけらかんとした様子のアグラット。ノートが真面目な目で見てもコテンと首を傾げるだけで、どうやらアグラットは本当に暇潰し目的だけで野次馬をしに来た様だ。
「観客が居るとなればますます下手が打てないな」
観客はバルバリッチャとアグラットの2人きりではあるが、客が客だ。興醒めな真似はできない。バルバリッチャの真意は推量れないが、これが彼女からの最後の試験である可能性もある。
バルバリッチャはノートが掲げる旗を一瞥し、そして鋭い目付きでノートを見た。
「成る丈努力する事だな」
パチンと鳴らされる指。ノートに金色のオーラが付与されて緩やかに減っていたHPとMPの減少が止まり、同時にバルバリッチャの姿が消えた。
「バルバリッチャ様の興を損ねない様に頑張るのよ。それと……ちょっと、しゃんとしなさい!曲がりなりにもあたしの主人でしょ!」
「びにゃ!?」
照れ隠しなのか、バルバリッチャはバフを与えると姿を消した。同時にアグラットもノートに激励を入れて魔法を発動、金色のオーラに加えて黒い稲妻のエフェクトがノートを包む。見た目は完全に一端の邪神だ。
そして転移すると馬車の上でだれていたネオンの背中をバシーンッ!と勢いよく叩く。
「ここが踏ん張りどころでしょ!好きな男にいいとこ見せなきゃダ「わーーーー!?」」
ネオンらしからぬ俊敏な動き。顔を真っ赤にしたネオンに抱き込まれ口を塞がれたアグラットはノートに向かってウィンクすると、再び魔法で姿を消した。
「ノートさん!」
「は、はい」
顔を真っ赤にしながら鬼気迫る雰囲気で叫ぶネオン。空中で思わずノートも姿勢を正す。
「やりましょう!こうなったらとことんやりましょう!」
やけっぱちになったネオンは目をぐるぐるさせながら宣言する。斯くして完全に開き直った予想外の人物の啖呵で、運営陣が絶叫し開発陣が過呼吸になるくらい爆笑してるのも知ることなく遂にノート主催の架空イベントの火蓋は切られた。
今死ぬほどようつべでチェーンソーマンのPV見るのハマってる。(原作見た事ないのに)
(´・ω・`)私ってその時に刺激を受けた作品の影響直ぐに受けるからグロ描写が増えたら察して
(´・ω・`)まあそれができない様な世界なんですけどね(でもシステムの裏を突くぐらいはできるさ)
これから始まるイベントは、今までの総決算だ




