No.149 天遥理虚❸
(´・ω・`)なんで言葉は文字化けして、技名は化けないんだろうね
(´・ω・`)そもそも文字化けってどうして起こる?
大きな首が半分ほどパックリと開き、雲泥の遺児ヒュディは力無く地面に倒れ込む。
だが天使と戦った時と同じ失敗はしない。
敵が赤いポリゴン片へと還るまで決して立ち止まらない。
スピリタスが落ちてきた顔の目を思い切り殴って潰す。
トン2が返す刀で更に首を斬り裂く。
ユリンが空から急襲し追い討ちを仕掛けて遂に首がブチっと切れた。
ゴロリと転がる生首。
「やったか!?」と普通なら叫ぶところだが、ALLFOにおいてはこの光景こそが不自然なのだ。首が千切れたのなら死んだはず。死んだはずなら体は砕け散るはず。
朽ちる物が朽ちない。即ちそれは不自然。故に手は緩めてはいけない。
バルバリッチャやアグラットがノート達に見せている絶技。それを何気なく見ているノート達はもはや敵が何をしてきても驚かない自信があった。
速度変換というALLFOの技術に於いては成しえないはずの技術を可能としてしまう仮面。鑑定情報を偽り、姿かたちを変えるブレスレット。グレゴリの騙し絵もそうだ。自分が観測できる情報が、知っている情報が如何に真実に近いことなのか、もはやALLFOではわからない。
故に、ノート達は確実に殺ったとわかるまで絶対に手を止めない。
タネが割れてるマジックほどつまらないものはない。雲泥の遺児ヒュディもノート達の敵意が一向に収まらないのを受けて動き出す。
ズズズズズッと沼全体の泥がヒュディに吸い込まれていく。光を失ったはずの緑の目が強く輝きだす。星々が歌う。
「コイツ無敵かッ!?」
「それはないはずだが、なんかヤバい雰囲気だな!全員此処まで引け!あっちもリセットかけるならこっちもリセットかけるぞ!」
前衛組が猛烈な勢いで攻撃をし続けるが、泥はどんどんヒュディに吸い込まれていく。勢いは止まらない。
まるで反応がないヒュディにスピリタスが叫ぶが、ノートはそれを否定し指示を出す。
そこでヒュディの様子を見ていたヌコォがノートにとある提案をする。
イベント開始以降、変化した沼地周辺のフィールド。そのフィールドから採れたものは既にネモ達に任せている。その検査結果を聞いていたヌコォはヒュディの今の状態こそ、事前に話し合いで上がっていた“アレ”を使う時ではないかと気づいたのだ。
現状、相手の動きを分析しながら初見のボス相手に観察しつつ全員に指示を出しているノートにはあまり余裕がない。それに対して観察に専念することを指示されたヌコォ故の気づき。ノートはその提案を聞いて邪悪な笑みを浮かべて快諾する。
撤退中のユリンたちにノートから指示が飛ぶ。ユリンたちは「どうして?」などと聞かずにすぐにその指示を実行する。
ノートも大量の死霊を召喚し例のブツを持たせてヒュディに突撃させる。
雲泥の遺児ヒュディはシナリオボスだ。仕様上、多くのプレイヤーが参加することを考慮されている。そうであるが故に、演出と同時にちょっとした休憩タイムをくれているのだろう。ただ、それが阿鼻叫喚の間奏でしかないとしても、ないよりはマシだろう。
その休憩タイムの最適解。それは色々あるが、運営は遠回しに色々と答えを提示していた。ギルドを多く利用している者なら、より直接的なヒントを与えられている。無論、街に入れないノート達は知る由もないが、その最適解にヌコォはリアルINTだけでたどり着いた。
もともと作戦の内ではあったが、多少の博打も承知での特殊なアイテムを今回は多く所持していた。ノートの無茶ぶりにゴヴニュとネモが全力で応えてくれたからこそ特殊な作戦も実行できる。
ノートの放った死霊達は後衛組がインベントリから適当にばら撒いた瓶を咥えて疾走する。何も考えてない愚直な特攻。やがて泥の流れに巻き込まれてそのままヒュディに飲み込まれてしまう。しかし、それでいい。
ノート達の死霊と入れ替わる形で前衛組と後衛組が合流。タナトスが用意してくれた強化バフ用のスムージーを各自一気飲みする。
素材はネモやアグラット、ネオンが関わり品種改良しまくったヤバい植物の中でも極めて危険な物。色味は災厄、ならぬ最悪。耐性なし、例えば一般的なプレイヤーにとっては占星時の特殊デスペナに匹敵する効果を齎す猛毒だが、ノート達にとってはエナドリと、酒と、シロップを混ぜたような法規制されてない方が疑問に思うようなブッとんだ効果を齎す。
発生するのはエンジン全開を超えたオーバーヒート。当然ながら真面な品ではない。
だが、死霊達は劇薬の類を作成することの方が好きだ。ノートの要望に応えてノリノリで作ってくれた。
全パラメータ補正、特殊強化各種発動、1回の戦闘中で1回きり使える切り札の一つをここでノート達は切った。
時間にして約30秒未満。満を持して雲泥の遺児ヒュディが目覚める。
千切れた首は元通りに繋がり、体中を泥の鎧が覆う。今まで縮こまっていた癖に、力を得て増長したのか立ち上がってノート達を見下ろした。
【¤ªÁ°¤é¤ÏÀäÂФ˻¦¤¹】
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【Á´Éô²õ¤ì¤Æ¤·¤Þ¤¨¡£Êì̵¤µ¶¤ê¤Ï²õ¤ì¤Æ¤·¤Þ¤¨】
【色即是空天変雲泥・燭黒墜】
そして4本の手を星空に掲げて、雲泥の遺児ヒュディは天に吼えた。
まるで親を見失った迷子の子が泣き叫ぶように、ヒュディは空間を揺らすほどの声量で泣き叫んだ。
ノート達はノートの召喚した防御特化型死霊の元に身を寄せ合い警戒する。
一体何をする気なのか。初めて見る攻撃パターンだ。
そしてノート達は見る。星空を覆う泥の天蓋を。
ヘイト率無視のフィールド全体攻撃。我こそがシナリオボスだと言わんばかりに雲泥の遺児ヒュディもイカサマじみた大技を解き放った。
( ^ω^ )ライオッドブラ〇ド・アンデッドにスピリタスとガムシロップを大量に投入して………キメる!!(SAN値0)
( ˘ω˘ )すやぁ




