No.142 一般人の皮
(´・ω・`)短くてごめんよ
(´・ω・`)その代わり隔離施設に
No.Ex JKがんばるにっし・シーズンわん!
をアップしといたよ。ノート達の外部情報源がどうなってるかちょっとだけわかる感じです
「おぉ、お疲れ様〜。その人数だけでここの来たのか?やるなぁ、あんた達」
「いえ、結構キツかったですよ。回復アイテムとか殆ど使い切ってしまいましたし。装備の耐久も結構すり減ってます。人数の集まりとかはどうですか?」
「俺がさっき見た時は9割超えてたかな?仮拠点設置したら君達も早く到着報告したほうがいいぜ。キャンプ地の中央にある沼を囲んでる石碑があるだろ?アレにタッチすればいいから。称号もらえるし急いだ方がいいぜ」
「御親切にどうも。ありがとうございました」
「好きでやってるからいいんだよ。色々と前後したが、俺はグランドピグスタイって畜産系特化のパーティーに所属してるOFPだ。生産組だから必要なアイテムがあればある程度は売ってやれるぜ。じゃあな、ボス戦頑張ってくれよ」
ノート達がキャンプ地に到着すると、キャンプ地では既にスタンピードに備えて生産組や攻略組が防衛拠点や塀などの設営に勤しんでいた。
反船イベント後の復興イベントでも似た様なイベントがあったらしく、素人目で見てもやたら手慣れているのが印象的だった。
多くのプレイヤーが集まり非常に活気がある光景は、街から離されていたノート達からすると初めての光景である。それがなんだかおかしくてちょっと笑いそうになるが、不審な態度にならない様に我慢する。
キャンプ地は歩いているだけでもなかなか興味深い。
本来はフィールドにプレイヤーが設置した物は時間経過で消滅するのだが、今回の中立エリアは街の中と近い判定になっているらしく既に立派な高台や櫓が建てられているのが遠目でもわかった。
キャンプ地にはテントが乱立し、賢い者はわかりやすい様に自分達のテントである事をアピールする旗などを立てている。
商魂逞しい物は既に出店を設置して色々と売買していた。
やたら騒がしい一角では大量の籠や農作業の道具が置かれていた。まさか農業をここでする気かと思うが、人間何をするか分からないので凄く気になるがスルーする。
そんなぶっ飛んだ連中もいる一方で、中には初めてこの場所に顔を出した者が迷わない様に親切に声をかけてくれる者もいる。
ノートが先程会話したのもその手のプレイヤーだ。
まさか会話している相手がサーバー丸ごと阿鼻叫喚の地獄に引き込んだ危険人物などとと露ほども思ってないし、ノートの対応も少々丁寧すぎる気もしたがその手のプレイヤーも珍しくはなく、よくもまあ平気な顔して会話が出来るものだと思わずユリン達も感心してしまうほどだった。
ノート達はとりあえず先に石碑にタッチして到着報告。全員が触る必要はなく、同時にキャンプ地に踏み込んだプレイヤー達の中で代表がタッチすれば後はAIが勝手にカウントしてくれるので無駄な混雑も起きない。
一つ心配だったのはノート達の人数カウントが特殊なせいで一気に変な数カウントされる事だったが、そんな事は全く無かった。
その後ノート達は出来るだけプレイヤーの少なそうな場所を探してキャンプ地というには広過ぎるフィールドを動き歩き良さげな場所にテントを設置する。
衣装や見てくれで分かる。このエリアにいるプレイヤーはノート達と同類、PK寄りのプレイヤーが多い。そしてPKプレイヤー内でコミュニティを作り一般とは少し距離を置いている。
そして一般プレイヤーとPKプレイヤー集団の間に微妙に空いてるスペースに、バックに何もなく人数合わせでキャリーされてきた初心者などが居着く。
壁にされているのは本人達もわかっているが、ソロや周囲とうまく絡めない者にとっては図らずも居心地の良い場所ができていた。
ノート達が陣取ったのはそのごった煮集団の中でもPKプレイヤー寄りの場所だ。
その場所にノート達はまるで一般プレイヤー代表みたいな顔をして陣取った。
ノートはユリン達に何度も言い聞かせた。
「後ろめたい時ほど堂々としているんだ」と。
人間というのは不安な時に自分が思っている以上にそのサインが身体に出る。
声の震え、目線の揺らぎ、忙しなく動く手足、それを抑えようとして自分の身体をギュッと掴む様な動き。一方で、見る側も本人の自覚以上にその些細な不自然さを認識している。
こういった不自然な態度は潜在的に嫌悪感を齎したり、人を近づかせない原因になっている事が多い。
別に避けてるつもりがないのに人との関わりが少ない人は普段の動きや人が近づいた時に起きる反応が、本人の無意識の領域で周囲の人を遠ざける様な物になってしまっていることが多かったりする。
自分の事を挙動不審だと思ってる人はその自覚よりなおさら不審だったりするのだ。
人間は本能的に不自然な物により着目し、強く注意を払う。周囲の目線から逃れられてるつもりでも、そのような意志を持って動いてる時点で案外目立つ動きをしてしまってることが多い。
よって「目立たない様に振る舞う」のではなく、「ここにいる事が当然だというかの様に振る舞う」方が案外注目を集めない場合の方が多い。
特に、周囲に多くの人がいる場合は時間経過で溶け込めるのだ。
肩をリラックスして、潜入ゲームだと思え。
ゲームが得意な連中にはそう発破をかけ、上手くできなそうな奴には俺のことだけ見てればOKという指示を出す。
人間、不得意な事を強制されるより、出来る事を一つ提示してそれに専念させれば簡単にリラックスできてしまう事が多い。
バレない様に、自然に、そんな事を色々と考えてるより、ノートだけを見てる様に振る舞うだけなら脳にかかる負担も減る。
自ずとバレない様に振る舞うという雑念が減り、いつの間にか普段通りに動ける様になっている。
ノート自身もキザな指示だと思うが、その少しネタっぽいところも含めてのリラックス効果があるのだ。
「それでさぁ、本当にやるのぉ?」
大きめのテントを1つ張りリスポンポイントを更新。結局最初にテントを買ったのに使わずじまいだったと思いなんとなく入ると、なぜかみんながゾロゾロ入ってきてキツくなる。
そして一応馬車の中でも打ち合わせしたのだが、なし崩しで軽い話し合いが行われる。
「人数が揃ってもいきなりボス戦スタートってわけじゃ無いらしいし、まだ時間はあるからな。折角色んなプレイヤーがいるし、この貴重な機会を逃す手は無いぞ」
打ち合わせでもリスクは指摘されたが、再度ユリンが問うてもノートは乗り気だった。
ユリンとは違ってノートは人が多くいる場所も苦では無いし、むしろこういう雑多な状況でこそ輝く男だ。ノートは色々と情報収集する気満々だった。
「んーー了解。じゃあ役割も事前に打ち合わせした通りでいいんだね?」
「そうだな。よし、いくぞ」
そして、一般人の皮を被った超弩級の極悪人共がキャンプ地を練り歩き出した。
༼;´༎ຶ ༎ຶ༽さあようやくプレイヤーたちとこころあたたまるふれあいができるね♡




