No.120 (十分手遅れ)
༼;´༎ຶ ༎ຶ༽お久しぶりデス。趣味が数ヶ月定期で変わる事に定評のあるミニ丸語デス。
期間が空いたので凄いザックリしたあらすじ
〜醜い天使を倒して仲間に協力してもらったら、裏ルートみたいなものを発見しちゃった!
進んでみたらそこには座標的にはあるはずのない赤い月の都!出てくる敵がみんなカビちゃっててどうしたんだろう?
なんて思ってたら急に真っ黒な騎士に襲われて、まほうつかいのなかまがいきなりやられちゃった!
これからわたしたち、どうなるの〜!?
次回『主任、死す』 毛根スタンバイ!
「時間を稼ぐ!立て直すぞ!」
ネオンがあっさり殺された衝撃は大きかったが、ノートはすぐに立ち直り指示を出す。
初手はメギド召喚。ボス相手には滅多に切らないカードだが今はそれどころではない。
次にグレゴリ。全員の回復に専念させて前線の崩壊を防ぐ。
この黒騎士の異常な点は幾つもあるが、1番問題なのはサイズが小さい事だ。
僧侶型ラミア達や天使達との戦いでもわかるように、大きさはシンプルな強さでもある。攻撃範囲が増え、攻撃力も増すのだ。
反面、的が大きくなる。故に多人数での戦闘が成立する。
しかし、この黒騎士は少し大きいが人に近い大きさで、オマケに素早く一撃の威力が高過ぎる。
的が小さければフレンドリーファイアを警戒して打てる手が減る。
囲めば倒せそうと思うが、それこそALLFOの思う壺。強力なカウンター攻撃やスーパーアーマー状態から繰り出される薙ぎ払いで一気に前線を崩してくる。
故に、ノートが結論に到達するのも早かった。
「コイツは今の俺達では敵わない!撤退戦に移行する!中立域まで戻るぞ!」
洞窟の時の様に分散という手もあるが、このエリアはフルメンバーでギリギリのランク帯だ。となれば下手に分散すれば共倒れ。確率で考えるなら全員で逃げて1人でもなんとか逃すしかない。
破竹の快進撃が続いていた『祭り拍子』。
それがボス個体でもないたった一体の敵に追い詰められている。
メイン火力のネオンを欠いた状態で、『祭り拍子』は苦しい撤退戦に挑む事となった。
◆
『Gruoooooo!』
前衛のフォローとしてメギドを投入してノートが驚いたのは、メギドが意外と善戦していることである。
黒騎士の筋力は圧倒的で、前線を担うスピリタスとトン2でもガードしたとて吹き飛ばされ、ダウンに追い込まれる圧倒的威力である。それに真っ向から打ち合い、耐えている。
守護戦士の上位スキル〔城塞〕。
メギドが進化時に身につけたスキルであり、防御力及びノックバック耐性の補正を得る単純にして強力なスキルである。
メギド、スピリタス、トン2、3人とも前衛のポジションではあるが、スピリタスとトン2は所謂攻撃極振り。避けタンクですらない。本人たちの技量のみで避けタンク擬きをしているだけで、スキルなどの構成的に適性はないのだ。
一方、メギドはバーサーカー主体だが、一応守護戦士としての顔を持つ。長らく最終決戦兵器扱いをされていたが、洞窟攻略に於いてメギドは防御としても活用された。それによりメギドは伸び悩んでいた守護戦士としての力も若干成長している。
ALLFOに於ける『成長』は、従来のRPGの『一定レベルまでレベルを上げると、付属してスキルやアビリティを獲得できる』という一般的なシステムと異なり、自分が普段からしている行動(使用しているスキル、魔法)を元に派生する形で新たに力を得るというリアルのそれに近い成長の仕方をする複雑なシステムを採用している。
面倒なシステムではあるが、逆を返すとやろうと思えば成長したい方向へ簡単に特化できるというわけだ。
そのシステム下に於いて、メギドは狂戦士と重戦士としての力を伸ばしてきたが、進化しても完全に守護戦士としての特性が消滅したわけではない。
特に、割と高威力かつ防御に優れた重量級の敵との戦い、また、持久戦を生き抜いた事による経験が守護戦士としての特性の成長に繋がった。
腐ってもアンデッド界でもボス級カテゴリーに相当するクリーチャー型。
腐っても進化済みの戦闘用アンデッド。
その上、皆は知る由もないが、メギドは黒騎士に対して特攻に近い特性を秘めていた。黒騎士に対してだけはメギドは早々に負けない要因が存在していた。故に、真正面から打ち合っても簡単に崩されない。
無論、技量もスピードも黒騎士の方が圧倒的であり、メギドは防戦一方に対して黒騎士は着実にダメージを与えている。
しかしグレゴリにより回復のバックアップを受け、ヌコォが全力でコントロールして操ることにより致命的な一撃を受けないようにうまく調整している。
ヌコォが挙げた『祭り拍子のタンク欠如問題』。実際タンク役ができるだけで『祭り拍子』が如何に柔軟性と強度を獲得するかを示す結果となった。
「殿はメギド、ヌコォ、鎌鼬、グレゴリ。このグループで黒騎士を抑える。スピリタスとトン2は脱出経路の構築を頼む。俺とユリンは中衛、全体のフォローをする。きついけどユリンの動きに期待している。それじゃ頼んだぞ!」
『了解!』
グレゴリの回復、つまりMPに依存している危険な状態だが、メギドの活躍で黒騎士無双を何とか妨害できている。しかしその代償は重く、ヌコォが付きっ切りであまりに繊細な作業に脂汗さえ滲んでいた。
そのフォローとして入れたのが鎌鼬。黒騎士に近距離戦を挑むのは厳しいという判断で、遠距離主体の鎌鼬を採用。精密射撃にかけては最高峰の実力の持ち主だ。
メギドに対するフレンドリーファイアを避けて着実に黒騎士の牽制を行うことを期待できる。
世捨て人状態の上、無闇矢鱈な殺戮は運営から目をつけられる為に避けている(十分手遅れ)が、『祭り拍子』の構成員の専門はPvMではなく、PvPだ。
敵対派閥と激突すれば敵味方入り乱れての乱戦になる事も十分あり得る。
そんな時に真価を発揮するのが鎌鼬というプレイヤーだ。敵と味方の動きを読み、正確無比な射撃で敵を撹乱し恐怖に陥れる。
「威力は据え置きだけど————————」
放たれたメギドの脇を擦り抜け、黒騎士の膝を射抜きステップを妨害する。ダメージは大きくないが、矢に込められた風の魔法のノックバックは打ち消せ無い。
トン2とスピリタスが吹っ飛ばされたように、サイズが小さいということはそれだけ重量も落ちるという事であり、ノックバック耐性が低くなる。
それでも尚強力な黒騎士ではあるが、矢に籠められているのは全プレイヤー中最高火力を誇るネオンの魔法である。半端な威力では無い。
この場に居らずともネオンは存在感があった。
メギドもプレイヤーでは無いので、本来は脇を擦り抜けるような射撃をされたら咄嗟に動くものだが、全く気にした様子もなくノックバックした黒騎士に追撃を行う。
本来はお互いの信頼が無ければ厳しい射撃だが、NPCでありバーサーカーであるメギドは災害の様に荒ぶり理性的とは程遠いが、反面物事を難しく考えないためにノート達を盲信できる。それ故に動きに迷いがない。
鎌鼬もふと『プレイヤーと連携するよりやり易い』と思ってしまったほどだ。
それにメギドをコントロールしているヌコォと鎌鼬の相性はかなり良い。思考形態が似ているのでお互いの動きを阻害しないのだ。
一方、先鋒を任されたスピリタスとトン2。
2人からすれば大変悔しい結果だが、今は2人がかりでもパラメータ的な問題でどう足掻いても厳しい敵だと認識したのも事実。
蟻界最強でも象には敵わない。そんな当たり前の原則を突きつける様にパラメータの差は、黒騎士の持つ能力は、2人を寄せ付けなかった。
無論、相性が悪いという事情はあるが、そんな程度で挫けて嘆いて言い訳している様では彼女達は世界一のタイトル保持者になり得ない。
故に、今はその悔しさと怒りを全力でモブにぶつけて道を切り開く。連携などはないが一点に突き抜けた暴力はそれだけでも十分に強い。
その粗を埋め道を完全に作り、ヌコォと鎌鼬のガードも行うのがノートとユリン。
ノートの汎用性については今更論じるまでもない。凡ゆる状況に於いて確実に戦果を上げるのがノートの役割だ。
ヘイトを分散させるゴースト系を中心にアンデッドを召喚し周囲を撹乱し、モブを惑わせ黒騎士を戦闘に集中させない。
ユリンに関しては、移動速度が圧倒的だ。加えて突出した運動神経は並大抵の事はやろうと思えば実現させるだけの力を与える。
四六時中べったりのノートとの連携は言葉を交わすまでもなく、ノートからの無茶振りに最も応え、幾度となくその期待に応えたのもユリンだ。
上空から攻めてくるタイプの敵を素早く処理し、上空からナイフを投擲し援護。ノートの死霊と連携して更に動きを掻き乱す。
だが、あの大量のコインを見つけたところでダイスの女神は御乱心した。
ノート達を絶望へ突き落とす様に、大量の敵が押し寄せたのだ。
てなわけで帰還しました。プロセカ楽しすぎ問題
リハビリがてらの新作
『秘めたる狂気に祝福を〜変態ギリギリのよく訓練された超高難度鬼畜ゲー狂信者〜』
https://book1.adouzi.eu.org/n9432hg/
も投稿中なので宜しければ御一読、御感想のほどお願いします。
この作品は相変わらずダークファンタジー路線のVRモノで、今作とはリアルの方は世界観を完全に共有、大体30年後を想定。
登場人物に強い血縁関係を持つ人物も登場する予定です。
ALLFOでは出来なかった事、断念した事を全力で描いてるので私も描いてて楽しいです。




