No.108 虚旧ノ守人 ルーナウラ・ソーラシル②
(´・ω・`;)物語に中ではよくあるけれど、冷静に考えて、空を飛ぶってどんな感覚なんでしょうね?
(´・ω・`)平衡感覚とかもえぐいことになるだろうし、機動力とか速度とかその他諸々をどこで操作しているのか………
(´・ω・`)ちなみに私の中ではアイアンマン寄りのイメージでユリンの飛行状態を考えてます。
僧侶型アラクネ&ラミア、もといルーナウラ・ソーラシルと戦闘開始すること3分、回避分析を行っていた『祭り拍子』が本格的に動きだす。
「ヌコォ!分析できたか!?」
「通常時のパターンはほぼ読めた。ユニークスキルを併用すれば秒数、範囲まで把握済み。いつでも行ける」
「流石ウチのブレイン!全員聞いたな!このまま作戦会議だ!主導はヌコォに投げる!」
『了解!』
ノートは一見分析型に見えるが、アプローチが理性的分析型なだけで最終的な判断は割と“直感”に任せやすい。言い換えれば理系肌の文系脳。本当に分析だけを行うなら人間は人工知能様にはもはや及ばないのは歴然たる事実。逆立ちしようがそのまま梯子に登ろうが敵う相手ではない。
ノートが自分の“勘”を大事にしているのも、機械が相手しにくいことをしているカウンセラーだからこその考えといえるだろう。
故に精密且つ正確な分析に関してはヌコォの方が圧倒的に得意。ヌコォは肌から脳髄まで理系スープにどっぷり漬け込んだ人間マシーンだ。おまけに計算外を起こし涙を流す羽目になったボス戦で獲得したユニークスキルによりヌコォは攻撃範囲が予測線となって知覚できる。パターンの割り出しまでのスピードは『祭り拍子』の中でも段違いのスピードを誇る。
因みに、頭のてっぺんから足の先まで直感の奴隷の様なスピリタスだが、それは見た目だけ。最初のアプローチは完全に直感だが分析となると理系的な思考回路となる。人の情動やタイプを読むことに特化したトン2でさえ読み違えるほどにわかりにくいが、ノートとは対照的に文系肌の理系脳なのである。
閑話休題。
パターン分析が終わると同時に攻撃を避けながら作戦会議を開始。グループを2グループに再編。アラクネ組とラミア組に分ける。アラクネ組はノート、スピリタス、鎌鼬。ラミア組はヌコォ、ユリン、トン2、ネオン、メギドだ。
『祭り拍子』の頭脳であるノートもヌコォも同じ見解を示したのだが、今回先に潰すべきはおそらく僧侶型ラミア。
僧侶型アラクネと僧侶型ラミアはそれぞれタイプが違い、僧侶型アラクネは僧侶よりの聖属性魔術師、僧侶型ラミアはATK・TEC偏重型軽戦士といったところ。この狭いフィールドではどちらも厄介だが、僧侶型ラミアの方が巨体のわりに素早いし攻撃のスピードも速い。
どちらがより邪魔かと考えれば、僧侶型ラミアだろう。
特に僧侶型アラクネの魔法による障壁防御が無ければ僧侶型ラミア自体に高い防御性能があるわけでもない。倒しやすさも僧侶型ラミアに軍配があがる。
という事でアラクネ組は足止めを、ラミア組は攻撃に重きを置いた組み分けとなった。
本来であればヌコォもアラクネ組に回したいところだが、ヌコォは『祭り拍子』のサブリーダーとして機能しているのでノートと同じ組に割り振りにくい。『祭り拍子』の連中は強いが我も強い。それをノートが巧くまとめ上げているだけで本来は協調性の薄い連中だ。だがノートが信頼を置くヌコォの指示であればある程度従う。そういった理由で足止め有利のヌコォはラミア組に回った。
◆
ノートが死霊を使用して僧侶型アラクネのヘイトを引き付けたころで、ヌコォ達ラミア組も行動を開始する。
「ユリンは空中旋回でヘイトを集めて。トンさんは尻尾払いの誘発を狙って。ネオンは指示を出すまで付与魔法。出来るだけヘイトを集めないで。メギドはこっちでコントロールする」
「それってボク失敗したら死ぬよね?」
「援護はする」
ヌコォはアラクネとの距離が取れた事を確認すると矢継ぎ早に指示を出す。ユリンからは不満げな視線を送られたが迷う事なくユリンに非常に危険な役目を与えたのもヌコォなりにユリンを信頼しているからこそである。
僧侶型ラミアはフィジカルは非常に強いが、上半身が人間で下半身が蛇というだけで面倒な攻撃をしてくる訳ではない。寧ろボスにしては攻撃パターンがかなり少なく単調と言える。
そんな僧侶型ラミアのメインとなる攻撃方法はたったの2つ。大鎌スイングと蛇の下半身を足払いをする様に振るう尻尾払い。
前者はスピリタスが評価した様に一撃必殺のスピードとパワーを秘めており、攻撃の軌道も読みづらい。
後者は当たれば即死という訳ではないが攻撃範囲が広くノックバックで後退させられる。
尻尾払いで吹き飛ばされたところに大鎌振り下ろしが僧侶型ラミアの黄金パターンと言えるだろう。
他にも毒霧ブレスなどの攻撃パターンもあるがこちらの方は所持しているアイテムの方で比較的簡単に対処出来たので警戒はしていないが、こういった小技を使っている間は隙が無く迂闊に手を出すとどちらかのメイン攻撃によるカウンターを受けることになる。
警戒すべき攻撃方法が限られてくるなら対処方法も自ずと絞られる。その上僧侶型ラミアは大鎌などと言う本来なら使用する者の正気を疑う武器を使っている。
大鎌の弱点は当然ながら懐に入られること。攻撃するにはどうしても振りかぶる必要があるしガードにも不向きだ。
その大鎌のインファイトの弱さを補うのが僧侶型ラミアの蛇脚な訳だが、もし攻撃対象が飛んでしまうと途端にその蛇脚が役に立ち難くなる。
空を飛ぶものを仕留めるのは難しい。ましてや大鎌なんて武器を使えばその難易度は上がる。
そして『祭り拍子』には種族:堕天使の初期限定特典を持つユリンがいる。トン2とスピリタスの加入により純前衛としての地位は明け渡したが、それはユリンが2人に劣るという訳ではない。
確かに格闘センスや技術では劣るところはある。しかし、ユリンのスピードには誰も敵わない。
ヌコォは最近よく使うスキルを発動しユリンの重さを奪うと、その重さをメギドの鎧に与える。
それと同時に開く漆黒の双翼。ユリンは地面を蹴ると同時に弾丸の様に飛び出すと、不意な突撃に対応が遅れたラミアの腕の間を綺麗に掻い潜りその首に双剣でザックリと斬りつける。
僧侶型ラミアの首から赤いポリゴン片が噴き出す。初めてのまともなダメージ。
僧侶型ラミアのヘイトがユリンに一気に集中するが、僧侶型ラミアの猛攻を華麗な飛行技術で全回避するどころかカウンターまで叩き込む。
ユリンの最大の強みは脳の情報処理速度だ。
普通はここまで上手く飛行できる程、如何にチート性能を持つ初期限定特典とて甘くはない。
飛行限界、速度、座標を常に意識しながら同時に攻撃する。シンプルだが空を飛ぶように設計されてない人間には安易にできる芸当ではない。
選択肢さえ間違えなければ誰であろうと押し切って見せるその並外れたスピード。そんなユリンにとって行動パターンが単調な僧侶型ラミアはかなり相性が良かった。
「 …………作戦変更。今日はユリンの調子がいい。ユリン主体で早期決着に切り替える」
『了解!』
それを見てヌコォは即座に作戦を変更。ユリンを中心とした攻撃陣形を確立し僧侶型ラミアを追い詰めていった。
(´・ω・`)相性さえ良ければ、多分オールラウンドで1番強いのはユリンだったりする。
(´・ω・`)『頭の回転が早い』といった時、アイデアを捻る出す的な意味で1番早いのはノート。実は『暗算をする』と言った明確な答えのある物は1番早いのがユリン、僅差で次点がヌコォといった感じです。




