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No.100 赫赫たる女王の矜持

(´・ω・`)蟻の中には実際に溶岩地帯でも耐えうる種類がいるそうです、というゲリラ


PLネームの御提供、誠に有難うございました。1人一つ以上は有効活用の上、一部の名前はスレとは別の場所で活用させて戴きます


 

 今までに見ない形態変化。

 ノーマルから第二段階への移行はインパクトがあったが、六足歩行であり非常に大まかな形状に変化はなかった。だが今回に至っては全く別物。昆虫というよりは獣、恐竜というよりは人に近い。


 ノートが気になるのは深紅の炎を纏う結晶の大剣。今まで炎など使ってこなかった女王が使い始めた炎がただの炎なのか疑わしい。もう全く別のボスと考えた方がいいかもしれない。

 

 女王個体は弓を引くような恰好で姿勢を低くしながら2本の大剣を構える。それに対してノートは迎撃準備に入るが、女王の姿がブレた瞬間になにか嫌な予感がして咄嗟にその場から飛びのく。

 刹那、ノートの先ほどまでいた場所に深紅の線が走り炎が上がる。目に捉えられるギリギリのスピードで移動して見せた女王は、奇襲を回避されたことに苛立ったように地団駄を踏む。


「(待て待て待て!なんだそのスピード!?)」


 これが装甲を捨てた女王蟻の速度だというのだろうか。今までとは別次元のスピードの攻撃にさすがのノートも動揺を隠せない。

 そんなノートを他所に大剣を振るう女王。下から上へと振るわれた一撃を漆黒の大剣で受けるが、その一撃で体勢こそ崩さなかったが10m以上吹っ飛ばされた。


「(…………ヤバいな。パワーも今までの比じゃないぞ)」


 見たところ近接特化といったところだろうか。防御力は不明だが速度も筋力も異常だ。

 そう考えるノートをあざ笑うように、女王がスッと息を吸い込むモーションをすると強酸の弾丸を飛ばしてきた。ノートはその攻撃に対し素早く泥から引き抜いた大盾に隠れることで奇跡的にやり過ごすが、大盾が蒸気をあげながら一瞬で溶けてしまいゾッとする。


「(範囲が狭まった代わりに攻撃強化してるのかよ!)」


 今度はしゃがみ込みなんらかのモーションに移る女王。必死に攻略方法を考えるノートを休ませる気はないらしい。ノートは苛立ちまぎれに咆哮しながら泥から引き抜いた槍を全力投擲。バフのかかりまくった状態による槍の投擲は近接攻撃火力特化のスピリタスの全力の一撃に比肩しうる。

 

 だが、女王はその巨大な大剣を振るうことで槍をパリィしてみせた。大きな力のぶつかり合いにより衝撃波が発生。ノートの前髪が風圧で吹き上がる。

 今までほとんど一方的に当てることができた槍の投擲をガードして見せた。その事実は多少なりとも女王がその威力にノックバックしていなければ心を折りかねない光景である。


「〈シュバルツノヴァ〉!」


 牽制に自分が使いうる闇魔法の中で範囲攻撃最強の魔法を発動。女王の頭上で闇の爆弾が炸裂しその身に真っ黒なガラスの破片のような物が降り注ぐが、女王は頭上で大剣を振り回し深紅の炎で相殺する。

 相殺しつつも再度しゃがみモーション。今度はノートの攻撃が間に合わず、女王は大きく跳躍する。

 

 頭上に振りかぶられた2本の大剣が合体し、4mクラスの1本の大剣に変化。更に強烈な炎を纏い、ノートに向かってその剣を振り下ろす。

 当たれば即死確定の大技。ノートはすかさず手から糸を放射し、糸が縮む力を使ってその場から強引に飛びのく。

 その飛びのいた場所に振り下ろされる大剣。火柱が天井まで突き抜け、その周囲の地面からも炎が噴き出して炎上ダメージを与える。


「アッツ!?」


 流石にこの後だし攻撃は避けられず炎上するノート。だが大斧を投擲してキッチリと与えられたダメージ分はやり返す。

 

「(この炎、当たると炎上と火傷、激怒まで与えてくるのか。激怒のレジストできてなかったらヤバかったな)」 


 槍を投擲、大斧を投擲、小剣を投擲。牽制に次ぐ牽制。虎の子のポーションを飲んでHPを回復させながら女王の攻撃をできるだけ発動させないように心がける。


 女王の基本攻撃は4つ。

 1つが突進からの切りつけ、【突燃剣】。これは彼我の距離が10m圏内だと使ってきやすい攻撃で、突進してきた直線上に炎の壁が出現する。継続時間は長くないが行動範囲を狭めてくるので厄介な置き土産となっている。

 2つ目が【強酸大砲】。吸い込みモーションをしたら即座に発動し、尋常ではない勢いで耐久値を削ってくる。

 3つ目が【六連炎斬】。彼我の距離が5m圏内の時に発動する攻撃で、名前の通り六回連続で大剣による攻撃を行う。大剣のデカさとスピードが相まって避けるのは難しく、パリィしてもタイミングが悪いと深紅の炎が引火する。

 4つ目が【紅炎一閃】。10m以上の距離があると発動する攻撃で、大剣を横薙ぎに振るうことで炎の線が迫りくる。


 これはあくまで通常攻撃。装甲こそかなり薄くなったがあくまでそれは今までの装甲と見比べた時の評価であり、普通にチビ蟻の成体である大顎結晶体蟻程度の防御力はある。

 また、単純にパリィなどの性能に長けており、物理攻撃には大剣で、魔法には炎を使うことで対応してくる。防御能力の低下を速度で補ってくるのだ。


 これらに対して必殺技のように使ってくる攻撃が2つ。1つが先ほどの【炎降破円】。彼我の距離が10m以上あるときに行われる攻撃で、跳躍中に大剣を一つにし叩きつけ、叩きつけた場所から半径10m以内に炎上ダメージを発生させる。

 かなりよけにくい攻撃であり対策も難しいが、この技を使った直後は1つにした大剣を2つに分離させるのでその隙に攻撃をすることが可能である。


 そしてもう一つが――――――


「それマジで卑怯だろッ!!」


 条件は彼我の距離が20m以上離れている時。女王が燃える大剣を地面に突き刺したら合図だ。

 この攻撃が始まると、まずエリア全体にランダムで直径1mに達する円錐状の深紅の結晶が突き出してくる。ここまでは前の形態でも使っていた【結晶林】に近いが、発動までの時間も短く突き出す量も多くなっている。

 現状では避けるのはほとんど運ゲーに近い。


 そして女王が大剣を引き抜くと深紅の結晶が発光。ランダムで5つずつ程度爆発していくのだ。

 爆発の前兆は結晶の輝きが強くなったら。ただし避けるにしても爆発の範囲も広いし、女王は剣を引き抜いた後普通に攻撃を仕掛けてくるので結晶だけに集中するわけにもいかず、尚且つ残っている結晶も邪魔ときている。

 かなり容赦のない攻撃だが、うまくやれば爆発に女王自身を巻き込みダメージを与えられる。ただし、よほどうまく、尚且つ運がなければその状況を作り出すことは難しい。ノートも戦闘を開始してから10分が経過し今まで3度この攻撃をされたが、まだしぶとく生きているチビ蟻の残党が女王に捨て身のタックルをかまして偶然にも一度爆発に巻き込めただけである。


「(ここら辺が限界かもしれないな…………)」 


 ノートの発動した秘到外道魔法はどちらも強力。しかしコストも膨大だ。条件がかなり難しいが一度発動すれば反則級の効果をもたらす【デッドマンズ・ナイトメア・ワンダーランド】のHPドレインはボス個体である女王の耐性を貫通して発動しHPを着実に削っているが、このペースだとまだ足りない。

 

「コイツで最後だ!【ダディスデュラハン】!」

  

 ノートが自分の簡易召喚の死霊の中でも最強格の【ダディスデュラハン】の名を呼ぶと、幽霊馬車とメギドの両方の下位互換に相当するデュラハンの幻影がノートに宿り、泥の中から首なしの黒馬が現れる。


「【メギド】!」


 その馬に飛び乗り【メギド】の名を呼ぶと、その手にはメギドが普段持っている禍々しいハルバードが出現する。


「行け!」


 ノートが指示を出すと、首なし馬は軽快なステップで動き出す。爆発していく結晶の間を縫うように、深紅の結晶と死霊の悪夢の世界の中を馬は駆けていく。馬上からはノートが魔法を放ち女王を牽制。女王に接近戦を仕掛ける。


 大剣を構える蟻。ノートもハルバードを振りかぶる。思い出すはユリンやトン2の動き。彼らならどう攻撃するだろうか、ノートは頭をフル回転させてイメージ図を描く。


 近づく距離。結晶が2度爆発すると同時に女王もまたこちらに走り始めた。


「〈ダークショットガン〉!」


 すかさず魔法発動。それに対応しようと反射的に大剣の軌道を変えた女王にハルバードを叩きつける。


「重いんじゃぁボケぇ!!」


 遠心力に重量の乗ったハルバードの一撃は大剣の中心を捉えて女王をノックバックさせる。衝撃にわずかにスタンする女王。その女王の背中にノートは闇系の魔法を連続で発動し畳みかける。

 女王は振り返りざまに大剣を一閃するが、それを予測していたノートはハルバードでなんとか受け止める。馬ごと軽く体が持ち上がったが、完全に吹き飛ばされてはいない。


「〔即擬錬成〕!」


 続けてようやくクールタイムが終わったゴヴニュのアビリティを行使。ノートの手に3mに達する大きな槍が出現しノートはそれを全力で投擲する。

 至近距離で放たれたその一撃に女王のパリィが僅かに間に合わず。軽く触れることで体のど真ん中こそ射抜かれなかったが槍は脇腹を大きく抉り脚の方まで貫通して赤いポリゴン片が舞い上がる。


 女王はなんとか反撃しようとするが、ノートの脚となった首なし馬が軽快に旋回し避ける。ノートはそれに身を委ねながら追尾系の魔法を中心に発動し着実に馬上から女王にダメージを与える。


『GUOOOOOOOOOOO!!!』 


 装甲にヒビが入り血のように舞い上がるポリゴン片。女王が咆哮した瞬間、剣に纏っていた炎が這いあがり女王の体を燃え上がらせた。

 捨て身の、最後の攻撃。命そのものを燃料とした女王はかつてないスピードで動き、ノートに疾風怒濤の連撃を開始する。


「ぐっ!くそ!がッ!?」


 一撃一撃が尋常じゃなく重く、重量を受け止める首なし馬の脚が大きく曲がる。ノートはなんとかハルバードで強引に攻撃を受けて致命傷こそ避けるが、全く反撃に移れない。


 そして遂に、女王の渾身の一撃でハルバードを吹き飛ばされ、ノートの体が完全にがら空きになる。


『GUOOORAAAAAAAAAAAAA!!』


 横薙ぎの大剣。回避も応戦も不可能。女王は文字通り命を燃やし神速の一撃を以てして宿敵を遂に討ち果たす――――――


「なんてなァ!!」


 女王がその大剣を振りぬいたとき、ノートは馬上にはいなかった。

 【影渡り】、今までクールタイムが終わらず温存していた最高の切り札をノートはここで切った。

 女王の背後に瞬間移動するノート。上に掲げられた手にハルバードが出現し、それを全体重をかけて振り下ろす。重厚なその金属の塊は、ハルバードの自重により女王の反応が追い付かない勢いで加速する。


「〔ルナティックリベンジ〕!」


 今まで対象から与えられたダメージの分、更に自分のHPとMPを消費することでその一撃を強化する狂戦士のスキル。ハルバードが漆黒の雷光を纏い女王に迫る。


『GUUUUUUAAAAAAAAAAA!!』


 女王は大剣で受け止めようとするが反応が遅れたことにより間に合わない。

 ハルバードは女王の脳天を捉え、頭から足までをバックリと切り裂いた。そして赤いポリゴン片が噴水のように噴き上がり、女王の身に宿っていた生命の炎が消えていく。


「はぁ…………はぁ…………」 


 女王の大剣が砕け散り、赤いポリゴン片へと還っていく。その身もまた、ただの赤いポリゴン片へと化す。しかし女王は最後まで立ち続けて死んでいった。


「勝ったーーーーーーーーーーーーー!!」


 各種魔法を解除し、ノートは息を荒くしながら勝鬨の咆哮を上げる。

 合計1時間以上にわたる厳しい戦い。地鳴りはいよいよ大きくなり洞窟自体にも大きなヒビが入り始める。


 女王の討伐がトリガーだったのだろう。その地鳴りに紛れて女王が最初にいた場所の奥が壊れて隠されていたスペースが現れる。

 

 そこに吸い寄せられるようにノートがふらふらと歩いていくと、そこには多数のアイテムが山積みになっていた。

 そこは女王の貯蔵庫。蟻どもが女王に献上した物が集まる宝物庫ともいえる。

 その光景によりノートの疲れは一瞬で吹っ飛び、目を輝かせながらアイテムを回収してく。


 希少な鉱石、水晶、謎の植物、それとなぜか転がってる武器やアイテム。普段はさっぱり役に立ってない『鑑定』の技能をフルで使い、死霊も総動員してアイテムを回収、選別。断腸の想いで持って帰る物を厳選。余次元ボックスなどにも強引に押し込んで摑み取りに命を懸けるおばちゃんのような勢いでできうる限りアイテムを回収した。

 

 厳選作業が終わるころには地面の揺れが立っていられないほどになり、ノートは残された宝の山の半分に大の字で寝転がる。それを見計らっていたように遂に洞窟が崩落。落ちてきた天井に押しつぶされノートはあっけなく死んだ。




(´・ω・`)まあ嘘なんですけど。四月馬鹿


(´・ω・`)それと、本来2つを予想していたスレ回が3つに膨らみ更にPLネームが必要になったので、本来の締め切りは昨日まででしたがPLネームの募集を延長します。よろしければアイデアをお貸しいただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] >>まだしぶとく生きているチビ蟻の残党が女王に捨て身のタックルをかまして偶然にも一度爆発に巻き込めただけである。 まだ、生きてたの!?しぶとすぎ~ >>それを見計らっていたように遂に洞…
[一言] 突然ボスがダクソになって笑う 戦ってみたい
[良い点] 久しぶりに見ましたが楽しかったです PLネーム 蒼き胡蝶 夢みる薔薇 死に誘う灰
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