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No.92 ノート探検隊~秘境・深霊禁山の真実を暴け!~⑥

(´・ω・`)詫び投稿

(´・ω・`)許してヒヤシンス

(´・ω・`)そろそろ掲示板回やるね

(´・ω・`)今回は称号と職業の二本立て

(´・ω・`)お楽しみに

(´・ω・`)トーテム



(`・ω・´)鎌鼬のターン!

【残留組】


 メインヒーラー無しの残留組の戦いは想像を絶する苛烈さだった。


「メギド、〔ヴィランフォーズ〕を発動!ヘイトを集め続けろ!」


『Guoooo!』

 

「イタチ!二時の奥、ヤドカリ!」


「了解」


「スピリタス、前に出すぎるな!蟻が来てる!」


「はい、よっ!」


「トン2、メギド右カバー!」


「あいあいさー!」


 一応の安置らしき大きな岩の上に立つのはノートと鎌鼬。ノートはそこから目まぐるしく変わる戦場を見渡し矢継ぎ早に全員に指示を出す。


 ノートの予想通り、スピリタス、鎌鼬、そしてトン2という攻撃手3人のシナジーは極めて強力だった。追いつめられてなお、その力は精彩を欠くどころか増している。連携は更に強化され、やがてノートが指示を出す前に彼女たちはノートの意思を汲んで動き出す。


 そんな彼女たちをサポートするのがノートの新しく召喚した死霊ども。目には目を、歯には歯を、の理論でこのエリアのやたら固い魔物どもの魂を使用して召喚した魔物だ。その死霊どもはコストこそ重かったが、アンデッドにしては珍しく非常に高い防御力を持ち、ヘイトを集める能力に長けていた。そのうえダメージを蓄積して最終的に自爆をして周囲に大損害を与えるというコスパのいい能力も併せ持っていた。

 

 ただし、見た目がカビの生えまくった水晶ヤドカリの貝の部分から、カブトムシやら蟻やらの顔が生えてうごめいているという極めて何か冒涜的な、動物実験で誤ってできてしまったようなグロテスクな見た目をしていた。

 そんな厳つい見た目でありながら、攻撃性はほとんどなし。その能力は防御力とヘイト集中、自爆の3点に割かれており、置物タンクとしてはそこそこ優秀だった。といってもコストと召喚維持MPが割高なので召喚できる数は1体が限界。ヘイト集中も初期限定特典持ち3人がいなくなってようやくまともに機能する程度なので、今になってようやくその能力を活用することができていた。


 また、活躍していた死霊はそれだけではない。グレゴリの召喚により召喚が可能になったグレゴリの下位互換死霊も非常に役に立っていた。

 重要なのはなんといっても『ヒーラー』としての能力だ。

 アンデッドは生者に反する物であり、自己回復系の能力は所持していても自分以外を回復する能力を持つことは極めて稀、というよりアンデッドのアイデンティティと相反するために余程特殊なアンデッドでない限り所持することができない。

 コストが割高なのでこちらも召喚は1体が限界だったが、影渡りでフィールドを移動し、本家に比べたら回復量は少ないながらもしっかりとヒーラーとして活躍していた。特に今はネオンもグレゴリもいないので回復のかなめといっても過言ではない。


 この死霊二体をメインで活躍させ変則的なパーティーを形成し、ノート達は限界すれすれで戦闘を継続していた。 

 

 そんな一切余裕のない戦闘の最中だった。


「ちょっと肩を貸して」  

 

「は!?」


「いいから(かが)んでちょうだい」


 有無を言わせない鎌鼬の鋭い口調の言葉。ノートの方に目をよこしもしないということはふざけているわけでもなんでもなく、大真面目ということであり余裕がないということでもある。

 ノートは色々といいたいことはあったが今言うべきではないと思いとりあえず屈む。するとためらうことなく鎌鼬はノートの頭を股に挟むようにして肩に飛び乗ってきた。


「肩車よろしくね」


「は!?あ、あぁ、やればいいんだろわかったよ!」


 思わずノートが上を見上げれば、こちらに目を向けることなく真剣な表情で狙撃を続行する端正な鎌鼬の顔。抵抗するのも面倒なのでそのままノートが肩車をしてやれば、鎌鼬はそのまま狙撃を続行する。それどころかその太ももでよりガッチリとノートの頭を挟んできた。


「高さの問題で射線が通らなかったのよ。回避はよろしく頼むわね」


「こんの、無茶苦茶言いやがって!」


 しかしこの状況ではそんな無茶をしなければならないことも理解できているので、ノートとしても強く言い返せない。ただ、高さを確保したいのなら他にも方法は色々あったわけで……というかそれは鎌鼬も理解していたはずであり……………ノートが再び上を見れば、一瞬だけノートに目を向けてパチッと鎌鼬はウィンクして見せた。


「ちょっとくらい、役得があってもいいわよね」


 まるでそれは自分に言い聞かせるような鎌鼬のつぶやき。ただし少々自分の欲望を優先させたとはいえ鎌鼬の処理能力は露骨に上がっていた。それを見て今はノートも口を噤むのだが、それはノートだけの話であって他二人は違う。


「あーーー!いたちゃんズルーーーーー!!」


「このッ!こんな状況でいちゃついてんじゃねえぞばかやろっーーーーーーー!!」


 四方が敵で囲まれていながらよく気づいたというべきか、スピリタスとトン2の反応は非常に素早かった。

 そのうえ敵を殴りつけ切りつけながらもこちらをしっかりと見ていた。


「今それどこじゃねえだろ!戦闘に集中しろ前衛コンビ!」


 すかさず二人に指示を出すノートだが、目線を敵には戻していても明らかにスピリタスとトン2の意識はこちらに向いていた。


「ずるいずるい!いたちゃんだけズルい!許すまじ!」


「鎌鼬、あとで面貸せよ!」


「あら怖い」

 

 しかしそんな二人に噛みつかれもてどこ吹く風。鎌鼬は涼しい顔してまた一つ蟻をヘッドショットで仕留める。その態度が余計に二人を煽るわけだが、今はノートも冷静に仲裁している暇がない。


「あー、もう!ここを完全に切り抜けたら二人には別個でなにか頼み事聞くから戦闘に集中しろ!」


「じゃあリアルで近いうちに会おうね!」

「だったらリアルで会えよっ!」


 そしてノートが現状を打破すべくそんなことを苦し紛れに思わず口にすれば、二人の目が言質を取ったといわんばかりにギラリと光った。


「「返事は!?」」


「…………わかったからひとまず切り抜けろ!話はそれからだ!!」


 ノートが2人の申請に消極的ながらもOKを出せば、如実に2人の動きにキレが増した。今までの戦闘のハードさを感じさせるどころか、今から戦闘を開始したような疲れを一切感じさせない凄まじい勢いだった。

 どれほどかといえば、一瞬集中力が乱れて後退しかけた前線を、あっという間に押し返すほどである。


 明確な目標ができたことで、二人のスイッチが完全に入ったのだ。


『二人がこの調子ならなんとか持ちそうだ』そう考えたところで、ノートはハッとして上を見上げる。



「一石二、いえ、三鳥かしら?貴方もわかっていたんでしょう?」


 ノートの視線を感じてか、微かに首肯する鎌鼬。その首肯はノートの考えを読んでの肯定であった。



 スピリタスとトン2は今まで一切手を抜いていなかった。しかしながらノートから見てもそのポテンシャルすべてを発揮しきれているようには見えなかった。

 彼女たちは22世紀に生きる人間でありながら、近接戦闘のプロフェッショナルでありなおかつバトルジャンキーである。ただし、その専門はどちらかというと対人戦なのだ。魔物は専門外である。

 さらに言えば、戦闘能力はあれどゲーム的センスで言えばユリンやヌコォの方がハッキリと勝る。


 そんな彼女たちはよき好敵手とタイマンで戦えたことで少々満足しておりいつもの闘争心が欠けていた。なおかつ自分たちの攻撃がなかなか通りづらい敵であることも彼女らの集中力を低下させる一因となっていた。


 ではいかにして彼女たちのやる気スイッチを入れるのか。


 気まぐれで一般人とは違う感覚を持つ天才肌をコントロールするなんて普通ならノートでも難しい。こんな戦況であれば猶更だ。しかしこの二人に限っては簡単な方法があることをノートは知っていた。


 その方法とは、ノート自身を交渉材料に差し出すことである。


 もしノートが、例えばそれこそリアルで会うことを確約すれば確実に彼女たちのやる気スイッチは入る。

 生粋の戦闘民族である彼女たちではあるが、そんな彼女たちが戦闘と同等以上に好んでいるのがノートである。

 感情が戦闘力に比例する彼女たちがそのような燃料を与えられればそのポテンシャルが完全に発揮できることはノートもわかってはいた。


 しかしノートにそれはできなかった。人の心を半分捨てたような利己主義的な男だが、それでも彼なりの人間としての最低限の節度というものがあった。そんな彼の感覚からすると、自分をダシにして彼女たちにやる気を出させるのはいささか傲慢すぎるように思えたのだ。


 癖は異常に強いものの、彼女たちにここまで好意を向けられればノートとて悪い気はしない。いや、はっきり言えばとても嬉しい。相手が嫌いならまだしも、皆憎からず想っている女性たちだ。嬉しくないわけがない。

 それは男として単純だとしても、綺麗で魅力的な女性に真っすぐな好意を向けられれば嬉しく感じるのは変ではないだろう。

  

 そうであっても、その好意に今は応える気がないのにも関わらず、自分をダシにしてやる気を出させるというの言うのは彼女たちの真っすぐな思いに対して失礼なように思えるし、徒に思わせぶりな行動をとることは双方にとってもよくないことだとノートは考えていた。

 それに依存して、彼女たちの好意に甘え続けることをノート自身が許せなかった。


 といってもそれはノートなりの理屈であって、スピリタスやトン2達はそんなこと気にしていない。勝手に遠慮して離れられたり避けられたりするよりは、もっと色々なことを話したいし近づきたい。

 たとえその気がノートに今はなくとも、そんなことは彼女たちにとってはあまり関係ないのだ。


 効率主義者のノートにとって、自分をダシにして状況の打破を優先しないことは主義に反することだ。かといって効率ばかりを大切にしていては大事な物も見失う。

 ノートは己を保つうえで人間としての最低限度の節度を自分から犯すことはできなかった。


 そんなノートのジレンマを見抜いていたのが鎌鼬。ノートとスピリタスとトン2の性格を読んで、そうせざるを得ない状況までノートを誘導したのだ。内心、ここまでうまくいくとは鎌鼬も思っていなかったのだが状況を見るに結果オーライという奴であろう。


 この動きによりノート達の生存確率は大きく跳ね上がることとなった。


  

(´・ω・`)というわけであまり皆が興味ないだろうリアルイベント話予告

(´・ω・`)蛇足だから隔離施設の方でいいかも考えている


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― 新着の感想 ―
[一言] >>ただ、高さを確保したいのなら他にも方法は色々あったわけで……というかそれは鎌鼬も理解していたはずであり……………ノートが再び上を見れば、一瞬だけノートに目を向けてパチッと鎌鼬はウィンクし…
[良い点] 肩車で挟まれたい人生だった… よく考えると、人を肩車してたら、相当視野狭くなって回避できなくなりそうw [一言] 後追いで申し訳ないですが、ちょこちょこ感想書いたり、誤字報告させてもらって…
[一言] >徒に思わせぶりな行動をとることは双方にとってもよくないことだとノートは考えていた。  この人、何度も頭撫でたり美人って褒めたりしてるよね? 女子全員に均等に好感度管理して、それは思わせ…
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