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No.91 ノート探検隊~秘境・深霊禁山の真実を暴け!~⑤.5

(´・ω・`)はっきり言っておく。この話は仕様の説明しかないから設定大好きな人じゃないと苦痛でしかない。

(´・ω・`)しかも読まなくてもあまり支障がない


(´・ω・`)ということで後書きに要点纏めておきますので、そちらをみるだけでもOKです!

【残留組】



「やることはわかってるな?グレゴリがくるまで、絶対に死ぬなよ」


「つまりユリンさんたちが脱出するまでの耐久戦よね」


「こういうの~久しぶりだね~~!!わくわくしてきた!」


「いいぜ、そういうの。面白そうじゃねぇかッ!」


『Grrrrrrrrrrr!!!!!』



 グレゴリは『死命護』という能力を持つ。この能力はゴヴニュのギフトが元になっている能力で、この能力を行使した相手はHPとMPを大きく消費する代わりにデスペナを大きく軽減される。

 ALLFOのデスペナは多岐にわたるが、最も嫌がられるのが『所持しているアイテムの品質劣化』である。

 

 ゲームによくあるステータスの一時低下はあくまで一時的だが、品質は劣化すればそれは半永久的に戻ることはない(戻せなくはないがそのアイテムを新規に入手するよりはるかに手間がかかる)。

 品質が低下すればそれを用いて作られるアイテムの質も下がってしまうし、あるいはペナルティがつくことさえある。


 無論、『アイテム』は魔物からのドロップ品のみにとどまらない。装備品のスペアも回復薬などももちろんアイテムの範疇に入るわけで、これが劣化してしまうとそのアイテムが持つ効果が薄れてしまう。


 そんなALLFOに於いてグレゴリのデスペナの軽減能力は非常にありがたい能力だ。

 一度能力を行使した場合一定時間に死なないと逆にデスペナ以上のペナルティを被るという厄介な制約はあれど、ほかのPLからすれば喉から手が出るほど欲しい能力だろう。



 本来であれば、まず『残留組』にグレゴリの『死命護』の能力を行使してもらい『撤退組』に逃げてもらうのが正しい。そうすれば『残留組』は囮になって死んでもデスペナは軽減されるのでアイテムの劣化を抑えることができる。


 しかし、ノートは敢えてそのような指示をすることはなかった。あくまで最後の最後まであがくつもりだった。


 タイムリミットはユリンたちがこのエリアを完全に脱出するまで。

 グレゴリを連れたユリンたち『撤退組』が逃げ切ることができれば、グレゴリは『影渡り』の能力で一瞬でノートの元に戻り『死命護』の能力を使えばいい。それまでにノート達はここで戦闘を行うことで魔物たちからできるだけ多くのドロップ品を得ることができる。


 このプランを聞いて、二兎を追う者は一兎をも得ず、と思うかもしれない。

 ただ、ノートは単純に最大の利益を求めて危ない橋を渡るこのプランを計画したわけではない。


 考えても欲しい。『死命護』というグレゴリの能力は非常に便利、を通り越して便利すぎるのだ。

 オンラインゲームにおいてそのデスペナをピンポイントで軽減できる能力があれば、戦略性は大いに上昇する。その能力の恩恵にあずかれない周りのプレイヤーに対してあまりに大きなアドバンテージを獲得できしまうのだ。

 よって、『死命護』の能力行使自体にも実は、というより当然ながら数々のペナルティが課せられている。 

 

 まずスタンダードな物として再使用までのクールタイム。これは能力の熟練度の兼ね合いもあるが、一度この能力をグレゴリが使用すれば再使用できるまでリアルの時間で2週間もかかる。

 ただしこの能力は少し特殊で、能力の対象のHPとMPの大半だけでなく、グレゴリが幾つかの代償を支払うとともに、能力を行使される側も更なる生贄を捧げることでそのクールタイムを大幅に短縮できるという性質を持っていた。


 例えば、安直な物で所持しているアイテム。そのアイテムのレアリティが高ければ高いほどクールタイムは短くなる。あるいはMON。ただの通貨のはずだが、これを支払うことでもクールタイムを短縮できる。

 特殊な物でスキルや魔法の熟練度。事前にグレゴリと契約を結んでおくことで、能力を行使した際にそのスキルや魔法の熟練度をリセットしクールタイムを大幅に縮めることができる。

 因みに対価としての質が高いのはスキルや魔法の熟練値、次点で一定以上のレアリティ、つまり自分たちのランク帯より高いランクのアイテム類、そしてMONという順になっている。


 ただしグレゴリは少し特殊で、ノートと強く結びついているためにノートが持つ魂のストックを消費することでもクールタイムを短縮できる。この場合の生贄の捧げ方は少し複雑なので割愛するが、本来支払うべき追加の代償をノートが干渉することで減らすことができる。


 そんな裏技じみたことをしてなお、グレゴリが一度にギリギリ黒字の範囲で『死命護』の能力を行使できる人数は3人。

 今後『死命護』の能力が成長することで生贄が軽減される可能性はあるが、いろいろとノートやヌコォがどんなに頭をひねっても今は3人が限界だった。


 だからこそノートは今回のメンバーを3対4で分けた。

 『撤退組』にグレゴリを付けたのは万が一の時のため。今回、撤退組が死なずに脱出できればそれが一番のベスト。次点でグレゴリが『死命護』を発動しユリンたちのデスペナを大きく軽減して獲得したアイテムを上質な状態で持ち帰れる。


 先にグレゴリが『残留組』に『死命護』の能力を行使してしまうと、もしイレギュラーが発生して『撤退組』が壊滅した時にデスペナの軽減ができていないので本末転倒となってしまう。

 だからこそ、【死命護】を使わせずにグレゴリを『撤退組』に合流させた。


 いくらノートがユリンたちの能力を信頼していても、この世界はゲームでありいくらでもイレギュラーは起こりえる。

 人間が雷に打たれたら死ぬように、無理な物を気合と根性だけで乗り越えることはできない。それができるのは物語の人物だけだ。

 

 だからこそ、信じていてなおグレゴリという保険をユリンたちに賭けた。再三繰り返すが、ユリンたちを侮っているわけではない。

 むしろ保険があることでユリンたちも大胆に動くことができるようになるし、保険をかけられることでより意地になってユリンたちが突破しようと努力することを的確に見抜いての事だ。

 

 そんなわけで、ユリンたちが無事に突破できることを信じたうえでノート達は残った。


 因みに、『死命護』が一度に行使できるのは3人まで、と聞いて『残留組』で一人あぶれることに気づいた人がいるかもしれないが、これも実は事前の契約でこのような事態に陥った場合に誰を切り捨てるかは決まっている。

 

 その切り捨てられる人物とはノートだ。


 ノートが『死命護』の対象として優先度合いが『祭り拍子』で最も低いのには理由がある。もちろん、それはグレゴリとの最終契約決定権を持つのがノートであり、なおかつノート自身が申し出たというのも大きな理由だ。

 しかしノートは自己犠牲の精神で申し出たわけではない。それが『祭り拍子』にとって一番ベストな回答だからだ。


 ノートが自分を切り捨てることをベストと考えたのには2つの理由がある。

 一つ目の理由がノートの装備だ。

 ノートのメイン装備は主に2つ。一つはノートの力の象徴であるぶっ壊れチート武器『ネクロノミコン』。ネクロノミコンは触媒として幾度も利用されているように武器でありながら耐久値という概念がない。この性能のおかげでノートは死んでも自らの能力の最も重要な部分を損なうことがない。


 そしてノートのチート装備はそれだけではない。

 ノートのメイン防具である『カースドアンドカースブラッド/ギフト・バルバリッチャ』。これはバルバリッチャが進化をした際にノートにギフトとして授与したものだ。この装備の機能は多岐に渡るが、その中でも重要なのが『吸命活性』の能力だ。

 この『吸命活性』はバルバリッチャのヴァンパイアとしての性質に基づいたもので、【生命殺害時装備耐久値自動回復。耐久値0の時破損せず機能を失う。再び殺害を繰り返すことで耐久値の回復ができる】という効果を持つ。


 本来、ALLFOの装備品は耐久値が0になった時点で装備品は破損する。しかしこの装備はその限りではなく、【吸命活性】以外の効果が封印されるだけで済む。そのうえ、敵を殺害することで自動でHPをドレインしその耐久量を回復してくれる。

 つまりデスペナで装備の耐久値が減少しても、ノートの場合は装備の効果が劣化することなく簡単に耐久値を回復させることができるのだ。

 勿論、それ以外にもノートが装備している物はあれど、この2つが強すぎて周りが少々霞む。なので『祭り拍子』全体からみれば最も損失が少ないのがノートなのだ。


 そしてもう一つの理由が『ノート』の攻撃方法に由来する。

 ノートの主職業は【黒魔導士】と【死霊術師・特】。黒魔導士は魔術師の中でも闇と呪い、つまり妨害系の魔法に特化している。

 

 ノートは使用している魔法の兼ね合いで単体で攻撃性を持った闇魔法を習得しているが、その使用頻度は多くない。

 黒魔導士としての能力は保険であり、やはりノートの本業は【死霊術師・特】による死霊召喚(ネクロマンス)。様々な死霊を状況に合わせて召喚する敵に回れば厄介極まりない力だ。


 死霊召喚に重要なのは『MP』と『魂』。他の基本的な魔法やスキルは熟練度の上昇で色々な能力の向上が見込めるが、死霊召喚は『魂』に対するウェイトが大きいので実は熟練度がそこまで重要ではない。

 

 簡単な話、熟練度が上がろうとも召喚する死霊自体は変化しないし、魔法単体の熟練度が蓄積しても別のスキルや魔法に派生もしない。熟練度が上がってもせいぜい召喚に必要なMPが若干軽減される程度。

 ある意味死霊術師は伸びしろというものがなく、その成長性が『魂』など外部に大きく依存する。

 なのでノートは死んだところでペナルティが周りのプレイヤーに比べたら痛くはない。


 これだけ聞くと死霊術師はいよいよ強く感じるが、成長性がないといういうのはメリットになり得ない。自分を強くするにはとにかく色々な魔物を狩るしかないのだ。そのうえアンデッド系の敵を定期的に狩る必要もある。(因みにノートは種族特性的に食事を必要としていないが、反面食事から得られるバフが減少するというデメリットも併せ持っている。この特性はアンデッドの特性に近しい性質である。)



 では本召喚に依存すればいいのか、といえば、その本召喚で召喚した死霊もなにか特別なアイテムをささげていない限り成長性は皆無。進化させるほかない。その進化のためには大量の魂が必要で、それをストックしようと心がけていると簡易召喚がうかつにできず戦力が大幅に下がる。

 ならば進化をあきらめて本召喚の死霊を増やせば一人では決して扱うことはできない。さらに死霊は基本的に召喚主以外の指示に従うことはないので誰かほかの人に運用してもらうことも難しい。


 メギドを始めとしたノートの死霊たちがノート以外の指示を聞くのは、ノートへの忠誠心が異常に高く、そのノートから従うように指示されているからだ。

 そうでなければ死霊たちはノート以外の命令を聞くことはない。

 

 と言った感じで、死霊術師は往々にしてなかなか難しい職業なのだ。

 ノートだけを見ているとチート職業に見えるが、それはぶっ壊れ武器の『ネクロノミコン』とノートの堅実な運用、そして周りの全面協力があってこそである。


 そんなわけで、ノートの優先度は『祭り拍子』の中でも最低に位置しているわけである。


 よって『残留組』をノート含め4人としても問題はないのだが、それはそれこれはこれ。どのみちノート達は最低でも10分以上はまともなヒーラーがいない状態で戦闘をしなければならないのであった。


(´・ω・`)今回のまとめ


グレゴリのデスペナ軽減能力【死命護】について


❶強すぎるのでクールタイムは現実時間で2週間

❷ただしアイテムやMON、熟練値、魂などを代償にクールタイムを大幅に軽減可能。

❸収支が黒字の範囲で【死命護】が使えるのは現状一度に3人まで


(´・ω・`)自己満足の説明回になっちゃったのでお詫びにもう1話投稿します

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― 新着の感想 ―
[良い点] 2話更新ありがたや。設定話も楽しいですよ。 [気になる点] 死霊術のルビがネクロマンスになっていますが、一般的にはネクロマンシーが使われますね。 〜ロマンスでも間違いとは言えませんが、わざ…
[気になる点] そうすれば『撤退組』は囮になって死んでもデスペナは軽減されるのでアイテムの劣化を抑えることができる。撤退組じゃなくて、残留組だと思うのですが。
[良い点] 死霊術師はノートが使うとチートっぽく見えるけど、一番重要な「魂」を集めるのが大変だということ。 本召喚自体も特殊なアイテムがないと成長が進化のみになり、その進化も大量の「魂」が集めきれずに…
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