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おくすり 2

「それは、あれか? …………そういうことを、する、ってことでいいのか?」


「そ! ……そうよ…………。ダーリンって、意外に筋肉あるのね」


 彼女の指が俺のわき腹に直接触れる。


 どうやら本当に、そういうことのようだ。


 敵を魔物だとごまかした上で戦い、死にかけた。

 それからは毎日のようにうなされた。


 だが、俺は勇者であって、みんなの代表だ。


 動揺していることを知られるわけにはいかなかった。


 できる限りバレないようにしていたのだが、まぁ、俺の演技力なんてそんなもんか……。


「……アリス。…………いいのか?」


「…………任せなさいよね」


 今回の戦いでは、みんながそれぞれに人を殺している。


 それはアリスも同様だった。


 それなのに、俺がなぐさめられている。


 だがその一方で、元気になることが1番の恩返しかなとも思う。


「……痛いかも知れないが、いいのか?」


「当たり前じゃない。アリスはダーリンの嫁なのよ。す、……すきに、つかい、なさい」


 使え、か……。


 ここで拒否するのは、彼女の覚悟に対する冒涜だな。


「……わかった。ありがとう」


 覚悟が決まった俺は、両手を彼女の背中に回し、強く、ぎゅっと抱きしめる。


「……んっ、……」


 アリスの口からは、艶めかしい声が漏れ、俺の興奮を高めてくれた。


 腕の中にすっぽりと納まったアリスは、身動きすることなく、俺にその身を預けてくれる。


 そのことがすごく幸せで、彼女を抱きしめていると、本当に心が洗われるようだ。


「…………」


「…………」


 生きたまま捕獲するだけでよかったのではないか、他にやりかたがあったんじゃないか。


 そんな考えが、ずっと頭の中をぐるぐると回っていたのが嘘の様に、穏やかな気持ちが心の底から湧きあがってくる。


「…………」


「…………」


 安心したら、なんだか眠たくなってきたな。

 なんだか、考えることが出来なくなってきた。


 少しだけ、寝るとしようか…………。


「…………」  


「…………ねぇ、ダーリン。

 ………………これで終わり?」


「ん? なにがだ?」


「……はぁー、まったくもぉ。

 ほんと、ダーリンってば、ダーリンなんだから……」


 なぜか、アリスさんは怒っているらしい。どちらかと言えば呆れているようにも見える。


 とりあえず話を聞こうと思い、アリスの背中に回していた腕を外す。

 すると、突然、アリスの顔が迫ってきた。


「なにが、どうし――」


 そして、その柔らかい唇が、俺の言葉をふさいだ。


「……んっ。ダーリン。アンタ、ど、どう……、経験、ないでしょ?」


「んぐ!!」


 おぉう。どーしてばれた?


「はぁ、やっぱり……。

 ダーリンに期待したアリスがバカだったわね……。

 ダーリンはそのまま寝てていいわ。あとはアリスに任せなさい」


 状況は見えないが、とりあえず俺は何もしなくていいらしい。 


 徐にアリスの手が俺の方に伸ばされ、服の裾を掴んだかと思うと、一気に脱がされた。


 おかげで俺は上半身裸だ。


(……え? まじで?? 本気か!??)


 なんて思っていると、その場で立ち上がったアリスが、スカートのホックを外した。


 スルリと滑らかな布が滑り落ち、青いストライプの布地があらわれる。


(し、しまぱん。青と白の縞パン)


 思わず視線を奪われてしまった俺を尻目に、アリスは自分の服の裾に手をかけ、ゆっくりと脱いでいった。


 薄手の白いキャミソールに包まれた綺麗な体。


 ブラジャーは身に着けていなようにみえる。


(そっか、この服、妄想したのおれか!! いやー、いい仕事したな)


 高鳴る心臓をごまかすように視線をそらせば、アリスの体が密着した。


 肌と肌の間にあるのは、上も下も布1枚。


 柔らかさと暖かさが伝わってくる。


「あ、アリスの体。……存分に、……たのしみなさい」


 アリスの腕が腰を回り、その細い腕に力が込められる。


 柔らかなアリスの体に包み込まれる感覚にどきどきしながら、アリスの方に目をやる。


「気持ちいいかしら……」


「あっ、あぁ……」


 そっと視線を下げれば、真っ赤に染まったアリスの首筋がみえる。


「……ダーリンってば、もう我慢、出来ない、わよね?

 アリスが、……もっと、きもちよく、してあげるわ」


 どうやら、次に進むらしい。


 背中に回されていた腕が外され、上半身を這うようにゆっくりと下へと降りていく。


 そしてその手が、ベルトの金具に触れた。


 カチャカチャと金属音を鳴らし、その縛めを解き放つ。


 ズボンが脱がされ、軟らかい布の方へとその手がかかった。


「…………も、もう。こんなに、しちゃってるじゃない。

 アリスが、……すぐに、……しあわせに、して、あげ――」


「お楽しみの所、誠に申し訳ないのだが、すこしだけ、ボクの話を聞いて貰えないかな? 緊急事態なんだ」


 そして、アリスが最後の砦を破壊しようとした瞬間、俺達の耳がサラの声を拾った。

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