連日の……。
狼をすべてポイントに交換してもらって、先に進む。
頬を膨らませるクロエは、髪をなでて慰めておいた。
「角の先に1メートルくらいの青いカエルがいる」
「断定は出来ないけど、ブルーフロッグの可能性が高いね。
メインの攻撃は、体の3倍くらいある舌を伸ばすこと。あとは、体当たりくらいだね。
狼より弱い相手だと記憶しているよ」
「なるほど。確かに狼よりは弱そうに見えるな。
クロエ、出来るか?」
「うん、大丈夫。任せといて」
コクリとうなずいたクロエが、壁に張り付くようにゆっくりと獲物に近づいていった。
「えい」
曲がり角で一気に駆け出し、大きく飛び上がる。
落下する力をと共に、2本のナイフを突き刺した。
(すげーな……)
あまりにも華麗な動きに感心していると、片方のナイフだけを引き抜いたクロエが、カエルから距離を取った。
全員が固唾をのんで見守るものの、カエルにうごきはない。
どうやら、一撃で仕留めることが出来たらしい。
「ん? 次が来たぞ。今度は歩くキノコだな」
「はいはーい。任せといてー」
洞窟の奥から現れた大きなキノコは、一瞬にしてナイフの餌食になった。
青いカエルと、大きなキノコが地面に横たわる。
「クロエ、ポイントに出来ないのか?」
「えっとね、距離が遠いからダメなんだって」
ダンションの入り口から、徒歩で5分くらい。
獲物は、お持ち帰りをする必要があるらしい。
「アリス。キノコとカエル、どっちを持ちたい?」
「そうね。このキノコでいいわ。カエルはダーリンに任せてあげるわよ」
そういうことになった。
両手でカエルの胴体を掴む。
ぶよぶよ、ぬるぬるしている感じを想像していたのだが、予想は大きくはずれた。
厚いゴムの板が巻かれた、肉の塊を持っているような感じだ。
「よし、一旦帰るか。それでいいよな?」
「うん」
「了解したよ」
「ええ、そうね。ってちょっと待ちなさいよ!! サラ姉も運ぶの、手伝いなさいよね!!」
カラスを先頭に、今来た道を引き返した。
代わる代わる獲物を運べば、不意にクロエが立ち止まる。
「ん? コアちゃん、どうしたの? え? そこでいい? はいはーい」
どうやらダンジョンの圏内に入ったようだ。
「皮? カエルの皮って美味しいの?
食べれないのならいいや。お肉にして、お肉!!」
交渉が成立したのか、成果物が一瞬にして肉と魔玉に分けられた。
お肉がよくわからない大きな葉っぱで包まれているのは、ダンジョンコアの優しさだろうか?
ハルキ達はカエルを倒した。▼
カエルは生肉と魔玉を落としていった。▼
そんな文字が流れるよな雰囲気だった。
ホッと一息入れたのもつかの間、クロエの楽しそうな声が洞窟内に響く。
「それじゃぁ、どんどん行くよー」
2匹も倒したんだから十分だろ? そう思ったが、口には出せなかった。
「そうだね。この調子で狩りを続けようか」
「次はアリスに任せなさい。土魔法の神髄を見せてあげるわ」
お姫様たちも乗り気らしい。
もう良いんじゃない? そんな言葉を飲み込んで、再び洞窟の奥へと歩き出した。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
歩く、狩る、歩く、狩る。
無心で獲物を運び続けること、5回。
「それじゃ、お昼にしよー。
サラお姉ちゃん、火、よろしくね」
やっとの思いでお昼休憩になった。
午前の結果は、生肉4つ、カエル肉3つ、きのこが4つ。
「これだけあれば足りるよね」
肉の山を眺めて、クロエが美しい笑みを見せた。
クロエの指示で、アリス特製のホットプレートに火が入る。
お昼も焼肉なのだろう。
「んー、お肉おいしー。きのこも肉厚でジューシーだね。しあわせー」
うん、そうだね。おいしいんだけどね。
まぁ、きのこが増えた分、朝よりはヘルシーか……。
「美味しいものを食べて力も湧いたことだし、午後からもがんばろー」
「え? まだやるの!?」
「うん!! だって夜ごはんも食べなくちゃいけないでしょ??」
「あ、はい」
午後もクロエのお腹がすくまで狩りを続けた。
50センチほどのこうもりや、1メートルほどのトカゲ、スコップのような腕を持つ50センチの蟻など、洞窟の奥には様々な巨大生物がいた。
「歩き疲れた……」
そのほとんどをクロエが1人で倒してくれたので、俺の役目は荷物持ちだけだった。
蟻は食べれるところがないらしく、それを知ったクロエのテンションが急落するというハプニングがあったものの、それ以外はすべてが順調。
ポイントも1日で600ポイントを稼いだ。
本日狩った魔物達は平均で50ポイントくらいらしい。
ちなみにだが、夜ご飯も焼肉だったとだけ記載しておく。……うぷ。
さぁ、お待ちかねのダンジョン改築をしよう。




