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城に戻ってすぐ、私たちは他の王族が揃ったという連絡をもらって移動した。
今回も着替えるかどうか確認があったけど断ったら引き下がってくれたので、フォルカスたちが根回ししてくれたのかもしれない。
女王様の方かも? まあ、どちらにせよありがたい話だよね!
フォルカスは先に行かず、私たちと一緒に家族が待つ部屋に向かってくれた。
「お兄様!」
そして部屋に入るなりフォルカスめがけて一直線、うん、説明されるまでもなくこの子がマリエッタで確定だな!
フォルカスとは違って鮮やかな青緑色の瞳に、綺麗な黒髪だ。
女王様も黒髪だったし、アレッサンドロくんも黒髪だし、おそらくフェザレニアの王族は黒色の髪をしているんだろう。
魔力のせいで色味が違うフォルカスは、それは目立ったろうなあ。
「お兄様、会いたかった!!」
「マリエッタ、客人の前ではしたない。淑女として弁えろ」
「んもう! 久しぶりに会えたのにそんなことを仰るなんて、冷たいんだから……でもそこが素敵!!」
フォルカスが抱きつかれるのを拒んで冷静に注意するけれど、どこ吹く風だ。
ああ、これは手を焼くタイプだろうなあ。
できれば私としては関わり合いになりたくないタイプだ。
「マリエッタ、フォルカスの言うとおりです。席に着きなさい」
「……はぁい」
「返事は短くはっきりと。たとえこの場が非公式の場であろうと、お前もまたフェザレニアの王族。それに見合った振る舞いをしなさい」
女王様が苦笑しながらも、優しい声で厳しくそう告げればさすがに従わないわけにはいかないんだろう。
マリエッタさんが優雅な所作で、女王様に向かってお辞儀をした。
「申し訳ございませんでした、お母様」
「お客様方にも謝罪を……と言いたいところだけれど、時間も惜しい。とにかく、まずはお座りなさい」
「はい」
「みなさんも申し訳ありません、娘の不始末は親であるわたくしの謝罪でどうか」
非公式の場とはいえ、王族として振る舞え。
そう言った女王が頭を下げる、それは親であろうと女王としての立場ってものがあるから本来はあまりお勧めできる行為じゃない。
それがわからない女王様じゃないけれど、そうしたことにはきっと意味があるんだろう。
でも、問題はそれを誰が受け取るかって話で……。
(私とイザベラだけなら、私が応えるべきだろうけど……)
今回、私たちはパーティーを組んでいるわけでもないし、代表者は誰だ? って話になるとそこはちょっと難しい。
とはいえ、ここで誰も何も言わないのも不自然だから思わず視線でお互い〝お前がやれよ〟ってディルムッドと交わしたところで横から父さんが一歩前に出た。
「女王陛下よりのお言葉、誠に恐悦でございます。我ら一同、気にしておりませぬゆえどうぞ頭をお上げください」
「ありがとう、オリアクス殿」
にこりと微笑んだ女王様と、私の方を向いてパチンとウィンクしてくる父さん。
やだー、かっこいいー!
「姉様、お父様、かっこいいですわね!」
「ね。さすが私たちの父さんじゃない?」
思わず姉妹揃って小声で言い合ってしまったのは、仕方ないよね!




