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悪役令嬢、拾いました!~しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います~  作者: 玉響なつめ
最終章

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 まあ、当然のことだけど行かないよね!

 来なくてもイイってあっちも言ってるんだし、自分から面倒事に顔を突っ込む必要はない訳よ。


(でもまあ気になるのが)


 私への伝言がメインだったとしても、割と行動が雑すぎない?

 カイゼルが私と接触したことが後々の布石だったんなら、こんなあっという間に捕まっておしまいだなんて随分手の込んだことしておきながら勿体ないことするなって思うわけですよ。


 私ならもうちょい……もうちょい、うん、なんかこう、いいように使うよ!

 まあそもそもそんな手の込んだことしないからすぐに具体案でないけど、多分。きっと。


「……『今度こそ』ってなんだろうなあ」


 最初はエミリアさんがイザベラに取って代わって聖女になる……というのを私が介在したことについて文句を言っているのかと思ったけど、それも違うんだろう。

 私の知る物語の大筋と変わんないもんね。

 イザベラは追放されて、あの国をいなくなるわけでしょ?


(いや、待てよ……追放先であの時襲っていた連中、あれがそもそもイザベラの兄の……何だっけ、名前忘れちゃったな)


 少しばかり薄情かな、私。

 同じ転生者だっていうイザベラの兄のこと、つい今の今まで忘れてたわ。

 まあ彼は彼でヤンデレ拗らせて寝たきりになった上、幽閉だからこれから長い時間を孤独に過ごすっていう罰を受けているんで私がどうこうってものはないんだけど。

 とりあえず、イザベラが追放された時ヤンデレ兄が野盗に襲われたって形で誘拐する予定だったんだよね?


 でもそれが、例の教団員だったら?

 本当はそこでイザベラを誘拐して、ヤンデレ兄の元じゃなく〝始まりの聖女〟のところへ連れて行くんだったら?


「それなら辻褄が合うかなあ」


 でもそれならそれで、わざわざ私にそれを伝える必要はあるのか?

 しかもご丁寧に『来なくてもいい』ときたもんだ。


 どちらを選んだとしても、イザベラについては父さんもしっかり守ってくれているから大丈夫だと思うけど……それでも相手は〝始まりの聖女〟関連だと思えば警戒するにこしたことはない。


 今夜の不寝番は私にやらせてもらうことにして、父さんにはイザベラの周囲にだけ気をつけて貰っているけど、さてさてどうなることやら。


(まさか私が囮になるなんてなあ)


 当初の予定ではイザベラを〝始まりの聖女〟の器にしたい連中をおびき寄せる予定だったのに、まさかの目的が私にシフトチェンジしてるとかそんなこと誰が予想した?


(いやまあ、マリエッタ王女に言わせりゃ私が異端(イレギュラー)なのか。彼女が知っている宝石級冒険者の中に、私の名前がなかったっていうしなあ)


 現在存在するメンバーは、確かにマリエッタ王女が知るメンバー。

 だけどそこに、私という異分子がある。そのせいで物語の行方が歪んでしまったのではないかということだった。

 まあ、彼女が言いたいのはフォルカスが私を選んだことが一番おかしなことらしいんだけどね!!


 いいじゃない、相思相愛。

 うちは家族仲も良くて、恋人とも上手くやっているんだから世の中で考えたらかなり羨ましい部類だぞう?


 そんなことを考えながら焚き火に枯れ枝をくべる。

 炎が揺らめく向こう側、そこに人の姿を認めて私は笑顔を浮かべた。


「いらっしゃい、エミリアさん。……それとも〝始まりの聖女〟様って呼んだ方が嬉しい?」


「どちらでもいいわ。貴女に親しく呼ばれるなんて、どちらにせよ鳥肌が立ってしまうもの」

 

 おおっと、大物がまさかあちらからやってくるとは思わなかったけど……なんでまたそこまで毛嫌いされてんだ? 私。

 そこは意外すぎて思わず瞬きしてしまったが、焚き火を挟んだ向こう側に腰を下ろしたエミリア……中身はもう全く違う別人と化した〝始まりの聖女〟が優美に微笑む。


「お久しぶりね、悪役令嬢さん!」


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