説得ゲーム:ケイティvs錬金王(コトビ票)
ちょっと短いです。
————————————
ケイティ=コトビからコトビの長に送られた手紙
————————————
(前半省略)
錬金王におかれましては日々、研究に明け暮れていらっしゃることと存じます。わたくしもまた非才ながら錬金王の背中を思い浮かべて研究を続ける日々でございます。
そうそう、先日、わたくしの研究領域において目覚ましい成果がございました。いずれ錬金王へご報告できることもあるかもしれませんが、今はわたくしの小さな脳に収めておこうかと存じます。
錬金王のますますの研究成果を祈念してペンを擱きます。
忠実なる研究のしもべ ケイティ=コトビ
————————————
コトビの長からケイティ=コトビに送られた手紙
————————————
(前半省略)
君からもらった手紙に気になる記述があった。君の研究領域において進歩があったとはいかなることか。君はつまびらかにする責を負う。また研究領域とはどのことを指すのかも次の書簡に明記さることを望む。
君を国立学術研究院に入れたのは君の研究が学院であればこそ進展があり得るからである。君はつまびらかにする責を負う。
さもなくば学院講師の職を辞してコトビに戻ることが望ましい。こちらには君のポストをいくらでも用意する準備がある。
だがまずは研究領域における進歩について報せること。君はつまびらかにする責を負う。
錬金王
————————————
ケイティ=コトビからコトビの長に送られた手紙
————————————
(前半省略)
先の書簡よりまさか3日で返信をちょうだいできるとは思いもよらず、錬金王の多大なる関心とお優しき配慮にただただひたすら心が震える思いです。浅学非才なる身なれば、なかなか錬金王のお眼鏡にかなう研究成果を上げることもできず、日々を無為に過ごしておりました。
しかし、今回の研究進展によって、わたくしにとって長年の憂慮が取り払われるようです。この内容を錬金王にご報告できる日が来るのが楽しみでなりません。学院の講義は冬の入りまで行われますため、初雪が降りしのち、帰郷の準備を整えようかと考えております。
錬金王におかれましてはわたくしの想像もつかぬほど壮大なる研究をされていることと存じます。後日、その叡智の一端を拝見できれば幸甚です。
忠実なる研究のしもべ ケイティ=コトビ
————————————
コトビの長からケイティ=コトビに送られた手紙
————————————
(前半省略)
君はなぜ余の指示した内容を守らないのであるか。まず先の余の書簡より返信が5日後ということが気になる。研究に夢中であることは理解できるが、それを後援している余や、ひいてはコトビのことも考え、すぐに返信をしたためること。
もう一度書く。いかなる研究領域において、君の研究が進歩したのか。その概要を次の書簡にて記すこと。君はつまびらかにする責を負う。
錬金王
————————————
ケイティ=コトビからコトビの長に送られた手紙
————————————
(前半省略)
まさか早馬によって、翌日に返信をちょうだいできるとは、望外の喜びでございます。これほどの栄誉を前にして、わたくしはどのように研究成果を披露すればよろしいのでしょうか? 今より、冬の帰郷が恐ろしくもあり、楽しみでもございます。きっと錬金王にお喜びいただけるのではと存じます。
錬金王におかれましては日々のご政務の合間を縫っての研究であるかと愚考いたします。にもかかわらず毎年の研究成果の膨大さに、わたくしは畏怖と尊敬の念をますます深めております。
忠実なる研究のしもべ ケイティ=コトビ
————————————
コトビの長からケイティ=コトビに送られた手紙
————————————
・いかなる研究領域の進歩か書きなさい。
・進歩の内容について書きなさい。
・返信はすぐにすること。(3日でも遅い。早馬を使いなさい)
錬金王
————————————
ケイティ=コトビからコトビの長に送られた手紙
————————————
(前半省略)
よもやこれほど錬金王から矢継ぎ早の書簡をちょうだいできるとは、この小さな身では受け止めきれない栄光でございます。しかしながらわたくしが愚考いたしますに、錬金王はお美しい奥方を4人もお持ちでいらっしゃいます。わたくしなど醜女の極みですが、生物学上の性別は女でございますため、あまり多くの書簡を送られないほうがよろしいかと、恐れながら申し上げます。
錬金王におかれましては羞月閉花たる奥方々と才気煥発なるご子息方を手に入れた、幸福を体現するコトビの綺羅星。帰郷の際にお目通りがかないますことを心より祈る次第でございます。
忠実なる研究のしもべ ケイティ=コトビ
————————————
コトビの長からケイティ=コトビへ魔導通信を通じて送られたメッセージ
————————————
もういい。今よりそちらに向かう。逃げるなよ。 錬金王
* *
「ん? ケイティ先生が僕を?」
震えながらヒカルに声をかけてきたのは事務棟の事務員だった。前回、クロードを呼び出すときに対応してくれたぷるぷる震えている若い女子事務員である。
「ひぃっ! ヒカルさんを探して今すぐ研究室に来るように、と……」
「わかった。ありがとう」
「ひぃっ!」
女子事務員は逃げるように去っていった。
ヒカルは、フォレスザードでマルケド女王——というかゾフィーラ筆頭大臣の説得をすでに終えていた。
このタイミングでケイティがヒカルを呼ぶと言うことは、コトビの賛成票についてだろう。
「ケイティ先生。ヒカルです」
「ああ、入って——」
「来たかァ! すぐ入れ!! これ以上俺様をじらすんじゃァねェぞ!」
研究室の中から、やたらとがらっぱちな言葉が聞こえてきた。
イヤな予感がしたが入らざるを得なかった。
中には——ちっこくて、偉そうで、めちゃくちゃ興奮しているオッサンがいた。
その人物がコトビの長であり、「錬金王」の異名を持つことを知り、そして——ヒカルが研究協力をする代わりに「賛成票を投じてやらァ!」と発言するまでに掛かった時間は、わずか3分だった。
フットワークの軽い錬金王でした。
「コトビ王」と名乗ると「各国は王をいただかない」と連合国盟約に反するので、「錬金王」という形を取っているのがコトビです。





