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スキルをよみ解く転生者〜文字化けスキルは日本語でした〜  作者: よつ葉あき
クリスディアへの道程

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74.白菜とオーク肉のスープ


コメント、評価、ブクマ、いいね、ありがとうございます!


「豚さーーーんっ!」


自分の悲痛な叫びに、ハッとする。

驚いた顔で私を見る、みんなの視線が痛い。


「……豚さん?」


リズが代表して問いかけてくる。

私は笑ってごまかす。……いや、ごまかせてなさそうだけど。


「えっと……今、オブシディアンに“オーク”っていう生き物がどんなのか見せてもらったの。

そしたら、私の世界の“豚”って動物に似てたから……つい」


「……そうだったんですね。

オークは、この国では一般的な食用肉なんですが……

もしかしてティアナさんの国では、その“豚”っていう動物は食用ではなかったのですか?」


「ううん、食用だよ。豚はちゃんと育てられてて、ほぼ毎日食べてたくらい。

でも、この世界のオークが思ったより可愛くて……それに、オブシディアンが捕まえる様子が衝撃的すぎて……」


苦笑しながら、私は再びフォークを手に取った。


そう、日本では当たり前のように豚も牛も鳥も食べてた。

でも、スーパーで買うのが普通で、生き物から“命”をいただいてるって意識、ちゃんと持ってなかった気がする。


マイカちゃんに、

『“いただきます”っていうのは、料理を作ってくれた人や命をくれた食材に感謝する言葉なんだよ』

なんて偉そうに説明したくせに、私こそ何も分かってなかった。


心の中で、豚さん……じゃなくて、オークに感謝と謝罪をする。


可愛いオークさん、ごめんなさい!

でもおいしく、いただきますっ!!


パクリ。もぐもぐ……ごくん。


「~~っ!!」


私はガクリと項垂れた。

その様子に、オブシディアン以外の全員がビクッとした。


「……う、うまーーい!!」


おいしい~~! さすが、オリバーさん!

さわやかなレモニでさっぱりしてて、すっごく美味しい!!


美味しい料理に笑顔になって、私は次々にレモニドレッシングの冷しゃぶサラダを口に運んだ。

それを見て、リズがホッとしたように微笑む。


「さっぱりしたお肉……っ! おいしくて、幸せ~!

オブシディアン!!

オークのこともだけど、ルセルまで行ってくれてありがとう!」


「サラダだけじゃなく、これも美味いぞ?

このスープにもオークの肉が使われているらしい」


そう言って、オブシディアンが食べていた器を指さす。それは……


「白菜とオーク肉のスープ!?」


スープにもお肉が入ってたの!?

スープも美味しそう~~!!


すると、リズが私の前にもスープを置いてくれた。

湯気が立っていて、いい香り……!


透明に近いスープをスプーンですくい、一口飲む。

塩味ベースだけど、オーク肉やキノコの出汁が効いていて、この世界にありがちなボヤけた味じゃなく、しっかり美味しい。


はぁ……あったまる~。


ふと隣を見ると、ウノさんとエルアさん兄妹がまだ食事に手をつけていないことに気づいた。


……そういえば最初、リズも私と一緒に食べてくれなかったっけ。


そう思って、声をかける。


「もし、体調が悪くて食べたくないなら、無理に食べなくても大丈夫。

でも、食べられそうならぜひ食べてね。

特にこのスープなら、病み上がりにも良さそうでオススメだよ?」


「で、でも……御主人様と一緒に食べるなんて……」


やっぱり、そうなるよね……。

私は心の中でため息をついた。そして、思いついた。


「ねぇ? だったら、私から一つ指示してもいい?」


「は、はい」


「エルアさんの一番の仕事は、たくさん食べること!

貴女、ちょっと痩せすぎだよ。さっき体力つけるって言ってたでしょ?」


「ですが、お肉なんて……っ!!

イリーガル商会の会長でさえ、こんな良いお肉は食べていませんでした。

お肉って……お貴族様の食べ物ですよね?

平民でさえない、私が……っ」


と、震えながらエルアさんが言う。


すると、リズが二人の前に、白菜とオーク肉のスープをそっと置いた。

ただし、エルアさんの分はお肉少なめだった。


「確かに、平民が許可なく肉や魚を食べると罰せられます。

ですが、これは貴族であるジルティアーナ様の命令ですから、大丈夫ですよ。

それに……貴女はもう奴隷ではなく、立派な“平民”です。

しかも、上級貴族・ジルティアーナ様付きの平民ですよ?」


エルアさんは、思いもよらぬ発言に目を見開いてリズを見つめる。

そして、そっと自分の首筋――首輪があった場所に触れた。


「病み上がりなので、エルアさんのスープのお肉は少なめにしましたが、足りなければおかわりしてもいいですし、無理に食べる必要もありませんよ」


リズの言葉を聞き、瞳を揺らしながらも迷いの表情を浮かべるエルアさん。

遠慮がちに私を見て、目が合った。


私は彼女を安心させるように、笑顔でしっかりと頷いたのだった。




「私の世界の豚って動物」という、また迂闊な感じの発言ですが、この兄妹には自分の事を話そうと思ってるので、今回はうっかりではなく言っております。

リズもその事に気付いたので、「ティアナさんの国では~」とか普通に返しました。

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