表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルをよみ解く転生者〜文字化けスキルは日本語でした〜  作者: よつ葉あき
クリスディアへの道程

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/349

72.帰ってきたあの、人?


評価、ブクマ、いいね、ありがとうございます!


「首が……スースーして、違和感を感じます」


ウノさんは落ち着かない様子ながらも、どこか嬉しそうに首元を撫でていた。

その隣では、エルアさんも同意するように、こくんと頷いている。


これも、なんとか取れないかしら?


そう思って、ウノさんの隷属の証──顔の印を見つめていると……


「ジルティアーナ様」


その声に振り向くと、少し怒ったような表情のリズが立っていた。


「どうして勝手に、奴隷の首輪を外してしまうんですか!?」


「え、だって……二人を奴隷として扱うつもりはないもの。

こんな物、もういらないでしょ?」


私は、二人の首から外した首輪を手にしながらそう言うと、リズは困ったように眉間にシワを寄せ、こめかみに手を当てた。


「貴女が奴隷制度を嫌がっているのは分かっていますし、いずれ首輪を外すだろうとは思っていました。

ですが! 以前言いましたよね。

『奴隷なら、ジルティアーナ様と関わったことで知り得た情報を“話してはいけない”と命じれば、それだけで契約になります』って。

命じてから首輪を外せば、わざわざ契約書を作らずとも守ってもらえるんです!」


……そういえば、そんなことも言ってたわね。

エルアさんの言葉や、首輪の不快さに気を取られて、すっかり忘れてた……。


「ご、ごめんね?」


私は素直に謝った。





「では、私はこれで失礼いたします。

また何かご入り用があれば、フェラール商会へお越しください」


「ギルベルト様、いろいろとありがとうございました」


そう言って、ギルベルトさんは帰って行った。

彼を見送り、ドアを閉めたリズが私たちを見て言う。


「もうこんな時間ですね。

宿の方に夕食をお願いしてきます」


その言葉で、昨日の夕食のことを思い出す。


不味い! とまでは言わないけれど、美味しくもなかった、あの微妙な食事……。


私の顔に出てしまっていたのか、リズが苦笑いを浮かべた。


「オリバーさんの料理のおかげで、普通の食事が微妙に感じてしまいますよね」


「本当に……。

うぅ……オリバーさんのご飯が食べたーい!」


「飯なら、もらってきたぞ!!」


無理だと思いつつ叫んだ私の願望に、まさかの返答が返ってきた。


「オブシディアン!?」


その声に驚いて振り向くと、窓からひょいっと入ってくるオブシディアンの姿があった。


「おかえりなさい! どこ行ってたの?」


「オブシディアン様……窓から入ってこないでください」


彼に駆け寄る私と、また笑顔で怒るリズ。


「ウノさん、この方はとても怪しいですが、不審者ではないのでご安心を」


リズの声にウノさんを見ると、警戒するように背でエルアさんを庇いながら、手を獣の姿に変化させていた。


「ほう……。また面白い者を連れてきたな」


オブシディアンはウノさんを見て、ニヤリと笑った。


「ねぇねぇ、食事をもらってきたって、どういうこと?」


「この宿の食事は、微妙だっただろう?

私はそんな食事、我慢できぬ!

だから、ひとっ飛びしてルセルまで行って、オリバーに大量に料理を作らせてきたのだ!!」


えええええ!!! 食いしん坊すごっ!!

確かに私も、この宿の食事はイマイチだとは思ったけど、まさかルセルの街まで戻ったなんて……。


オブシディアンの翼なら速く飛べるとはいえ、

なんか……お金持ちが「ちょっと海鮮が食べたい」とか言って、プライベートジェットで北海道に行くみたいな感じ??


と、呆れていると──


「夕食はまだか?

お前たちの分ももらってきたから、食べるがよい」


「!?」


ちゃんとお土産を持ってきてくれてたらしい。

ありがとうございます、オブシディアン様!!





ウノさんたちの部屋では、みんなで食事をするには手狭とのことで、私たちの部屋に戻ってきた。


テーブルには、オブシディアンから受け取った料理が、リズの手で丁寧に並べられている。

そして、テーブルの中央に置かれた料理に、私は目を奪われた。


「お肉……? お肉だ──!!」


テーブルの真ん中には、ポークソテーと豚しゃぶのサラダまであった。


お肉だっ!

ヴィリスアーズ家では嫌いになりかけていたけど、オリバーさんの料理なら食べてみたいって思ってたお肉~!


脂はあるけど、あのギトギトじゃない!

しかもさっぱりとした豚しゃぶサラダまで……。さすがはオリバーさん!


「感謝するがいい!

ルセルに行く途中で見つけたのだ。捕まえて、オリバーに渡したのだ!!」


ドヤ顔で語るオブシディアン。

オブシディアンえらい! 豚を捕まえるなんて、さすがは食いしん坊!!


でも……例の“平民が肉や魚を食べちゃダメ”な、あのアホみたいな決まりは大丈夫なの?


少し不安になったけど、オリバーさんがクリスディアに同行することを了承した時点で、リズが貴族の専属料理人として登録申請を出してくれていたらしい。

だから、問題ないとのこと。


さすが、リズ!


私は、美味しそうな夕食にわくわくしながら、テーブルについた。




サブタイトルの「あの、人?」は、オブシディアンを人と呼んでいいか微妙だからです。

彼が出てくると私の書こうとしてた予定をハチャメチャにしがちなので、この先が心配⋯⋯

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ