表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルをよみ解く転生者〜文字化けスキルは日本語でした〜  作者: よつ葉あき
海の街、クリスディア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/349

124.ERROR


家庭用ゲームソフト『錬金術師になろう』で、アイテム作成時に流れるBGMじゃん!!


思わぬ展開に唖然とする。

でも、このアイテム完成時に流れる『上手にできましたー♪』という印象的なフレーズボイス──これは間違いなく『錬金術師になろう』のBGMだ。


「本に書いてある通り、水色に変わりましたね! 成功でしょうか?」


嬉しそうに鍋を除くエレーネさん。


「……うん。『上手にできましたー』らしいよ」

「……え?」


不自然な言い回しだったのか、リズが不思議そうに私を見てきた。でも、今はそれどころじゃない。


私の頭に、ある仮説が浮かぶ。

──この世界の【錬金術】って、もしかして『錬金術師になろう』と同じ......?


だとしたら、ゲームの知識がそのまま活かせる可能性がある。

でもなぁ......『錬金術師になろう』をやったのはだいぶ前だし、レシピはアイテムを選ぶだけで材料が自動表示されてたから、ほとんど覚えてない……。



「ステータス」



私はまた半透明なウィンドウを呼び出した。

改めて見る。




----------------------------------------------------------------------



【錬金術】


・アイテム調合、アイテム品質強化や変化を行う。


(備考)

・覚えたレシピによる調合、オリジナルな調合、アイテム強化ができる。



----------------------------------------------------------------------



「............あ」


私は気付いた。『覚えたレシピによる調合』その中の『レシピ』の文字を長押しした。


目の前に新たなウィンドウが現れた。


それは見覚えがある──『錬金術師になろう』のレシピ選択画面だった。


だが、そう思ったのは一瞬だった。



ビーッ! ビーッ! ビーッ!


耳をつんざくような、嫌な警報音が響いた。

目の前にある、レシピ選択画面が乱れる。


私は息をのんだ。

どうにかしたい。そう思うのに──ただ、画面の異変を見つめるしかできない。


ジジジ……...バチンッ!


一瞬の暗転。

その後また新たれたレシピ選択画面は異常な物へと変化していた。


まさに──文字化けだ。

先ほどまで『錬金術師になろう』のアイテム名がたくさん並んでいた画面の多くが……文字化けして、読めなくなってしまった。




そして──新たなポップアップが現れる。




---------------------------------------------------------------------



ERROR


壊れたデータがあります。

システムを守る為には、壊れたデータを消去する必要があります。


YES/NO



---------------------------------------------------------------------



これは……?


背筋が寒くなる。『YES』を押したくはない。でも、『YES』を選ぶしか──。


と、考えていると……


「待ってっ!!」


コントローラーで選択肢を選ぶように『NO』にあったカーソルが『YES』へ移動し



カチッ


────決定されてしまった。



レシピ選択画面のウィンドウが、みるみるうちに薄くなる。


「だめ……消えないで……っ!」


祈るように手を伸ばした。

だが無情にもウィンドウ画面はノイズとともに──消えた。



「…………え?」



消えたはずだったが、またすぐにレシピ選択画面が現れた。


あまりにも予想外すぎて、拍子抜けする。


……どういうこと?

私の涙を返せ。いや、泣いてはないけど。


再び現れたレシピ選択画面は変化していた。書かれていた文字の多くが、消えてる──?


まるで黒塗りされた公文書のように、所々……特にアイテム名があったであろう箇所の多くが抜けてしまっていた。



「ティアナ様!」


突然呼ばれた自分の名前にビクリとする。声の方へ視線をやると、心配そうに私を見るリズとエレーネさんが居た。


「ステータスに、何かあったのですか?」


リズの問いかけにハッとする。

そうか。ステータスを開示状態にしなければ、自分以外に見えない。


私がステータスを確認したら突然叫んだり、動揺する姿をみて心配させてしまったのであろう事に気付いた。


「──今の警告音も聞こえなかった?」


リズは眉をひそめる。


「いいえ、何も......」

「私も、聞こえませんでした」


私の唐突な問いに、ふたりは困惑してるようだ。



(やっぱり……BGMも警告音も、私にしか聞こえないんだ)


──私は改めて、レシピ選択画面を見た。


消えてしまった箇所は多いが、残ってるアイテム名もある。今作ったばかりの、下級ポーション。



……あれ? 違和感を感じた。下級......?


かつては毎日のように見てた『錬金術師になろう』のゲーム画面。錬金術レベルを上げるためにポーションを何度も作った……。


そうだ。私がゲームで作ったのは『ポーション』だ。

下級なんかじゃない、『錬金術師になろう』では下級・中級・上級じゃなく、『ポーション』か『ハイポーション』だった。


──下級ポーションは存在しないっ!



そう思うと同時に『下級ポーション』をタップした。

作りたいアイテム名を選択すれば、それに必要な材料が出てくる。何回もやったことだ。

でも、そこに出てきた材料は──

井戸水、セージ……そして、アルカ草。


『錬金術師になろう』には、あるはずがないアルカ草の名前が、そこにはあった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ