最終話
今日は結婚式前日、地方の領地に住む貴族達や、互いの親族、久しぶりに会う友人などが明日のために王都に出てきてくれた。
隣国からマリエ様も駆けつけてくれたし、アリシア様やダイアン様、ルッツ様ももちろん来てくれている。
明日が本番なのであまり遅くまでは無理だけど、せっかくだからと前祝の会ということでバルフォア家のお屋敷でちょっとしたパーティーを開いていたのだけど……。
「ルーシー?どうしたの?」
夜、明日の主役だからと早めに退出した私とアルフ様。私の様子に彼が心配そうに顔を覗き込んでくる。が、私はそれを無視してぷいっと顔を背けた。
「えっ!?なんで!?本当にどうしたの……?」
どうしたのじゃないし……!
明日は結婚式。やっとアルフ様と一緒になれる人生最上の日。分かっている、こんなのただの我儘だって。でもイライラする……!!!
ふん!アルフ様が目いっぱい私を甘やかしたからこんなに我儘になっちゃったんだから、これも全部アルフ様のせいだからね!!!
子供っぽい振る舞いだということは分かっているけど、イライラモヤモヤとした気持ちが大きくて素直になれない。にっこり笑って「明日、楽しみだね」って、そうやって楽しく話して仲良くした方が幸せだって分かってるけど!
私の冷たい態度にアルフ様はもちろん、私の身の回りの世話のために今も側についてくれているユリアもちょっと戸惑っているのが分かる。
多分、これがユリアじゃなかったら私も他の人の目を気にしてもう少し堪えたと思う。要は甘えなのだ。アルフ様ならこんな我儘も聞いてくれるって言う甘えと、ユリアにならこんな姿を見られてもいいやって言う甘え。
アルフ様は少し焦ったように私の手を取り、ソファに並んで座らせる。ユリアはそれを見ながらそっと部屋の外に出た。
目も合わさない私を腕の中に抱き込んで、頬や瞼にキスをする。その様子があんまり優しいから、意地を張っているのがほんの少し申し訳なくなってきた。
そのまま私の額に自分の額をくっつけてきて。すっごく近くでその目が私を見つめている。
「ねえ、ルーシー?俺何かした?ごめんね、ちょっと分かんないから何かあるなら教えて?」
まるで子供をあやすような優しい優しい声。イライラもモヤモヤもすーっとなくなっていくのを感じる。同時にもっと甘えた気分になった。
「……今日、遠方から来てたバリーオン伯爵令嬢と随分仲良く話してた」
「えっ?」
ぱっと顔を上げ私の顔をまじまじと見つめるアルフ様。
「すっごく距離が近かったわ。にこにこ優しく笑っちゃって。いつも他のご令嬢にあんな風に笑わないのに……」
やっぱり思い出してもモヤモヤする!
「バリーオン家は俺の親戚にあたる家で、あの子は昔から知っている妹みたいなものだよ……?」
「でも彼女はそうは思っていないかも」
「まさか」
「だってアルフ様がいない間に言われたわ?『実は私とアルフレッドはちょっと色々あって……あ!でもきっとルーシー様のことをちゃんと大事にしてあげるように言っておきますから!』だってさ」
「は!?あの女、俺のルーシーにそんなことを!?明日が終わったら2度とバルフォア家に近寄らせない……!!ルーシー!分かってるとは思うけど俺とあの女は何にもないから!」
アルフ様が悪いわけじゃないって分かってる。あの子が言ったことがどうせでたらめだってことも。でも嫌だった。アルフ様にどうしてほしいってわけじゃないけど、多分こうやってただ一緒に怒ってほしかったんだと思う。
慌てたように私に言いつのるアルフ様がものすごく愛おしくなってきて、ぎゅっとその胸に抱き着いた。
「うん……ごめんね、アルフ様。モヤモヤしたからちょっと八つ当たりしちゃっただけ……」
アルフ様は何も言わない。
……え?何か言ってよ?
そっと顔を上げて覗き見ると、ものすごく緩んだ笑顔と目が合った。
…………ええ?
「ルーシー……それって焼きもち妬いたってこと?」
「えっ?うっ……ま、まあそうね、すごく嫌だった」
「……あー!ダメだ!すごく可愛い!やっぱりルーシーは可愛い!――でも!」
アルフ様はさっと素早い動きで私を横抱きにすると、そのまま勢いよく立ち上がった!
「――はっ!?」
ずんずん部屋の奥へ歩いていく!
「可愛い可愛いルーシー!焼きもち妬いてくれるなんて俺は本当に幸せだ!でも、不安にさせちゃってごめんね?今からそんな不安全部吹っ飛ばしてあげるから!」
満面の笑みで私の顔中にキスの雨を降らせながら扉に手をかける。もはや何が何だか分からない。止める間もないんですけど!何のスイッチが入っちゃったの??
なんて、悠長に思っていたけど。
……ちょっと待って!?!?そっち、寝室なんですけど!?!?
「アルフ様!?嘘でしょ?何するつもりなの……!?」
「大丈夫、明日に支障が出るような無理はさせないから!」
「いやいやいや!絶対ダメ……!明日結婚するとはいえ、そんなことっ……」
抱きかかえられた腕の中でジタバタするも、さらに体の引き締まったアルフ様は私のそんな抵抗をものともしない。
そんなことをしているうちに、ついにベッドまでたどり着いてしまった。
アルフ様はまるで宝物を箱にしまうかのように優しくベッドの上に私を下ろす。そしてそのまま覆いかぶさるような体勢で私の顔を覗き込んだ……!
「大丈夫、怖くないよ?結婚初夜にするようなことはしないし」
にこにこと笑顔で私の髪を撫でる。――そういう問題じゃなくない!?
「アルフ様!」
「ん?」
ん?じゃない!私達、
明日、結婚式なんですけど――!?!?
……そんな私の心の叫びは、アルフ様に優しいキスをされて声にならずに消えていったのだった――。
ま、まあ、幸せだから、いっか…………???
《FIN》
これにて今作、「明日、結婚式なんですけど!?~婚約者は愛する恋人と結婚したいらしい。「だから過去に戻ってこの婚約を取りやめにしないか?」~」は完結となります!
ここまでお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました(*´ω`*)!
感想欄やTwitterなどで続編や番外編を見たいと大変ありがたい言葉も頂いていますので(嬉しくて泣きそうです…!)、予定していた「登場人物一覧(Rev.3)」の更新の後、いくつか番外編を書きたいと思っています^^♪
なのでもしよければブクマそのままでこの後もお付き合いいただけたら幸いです><
詳しくは後ほど活動報告の更新もしますので、是非のぞいてもらえればありがたいです(*^▽^*)
たくさんのブクマ・評価ポイント・感想などいただけて本当に嬉しかったです!
ものすごく執筆の励みになりました…!(ノД`)・゜・。
またこの後ももしよければ評価や感想などいただけましたらすごく嬉しいです(*´ω`*)!♪
出来れば今年中に新作も書いて更新始められたらいいな…!と思っているので、その時はまたお付き合いいただければ…(*´ω`)
本当にありがとうございました^^




