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無事に帰ってきて

 


 目が覚めると、すぐに涙目のユリアが飛んできた。


「ルーシーお嬢様!ああ、良かった!今皆さんにお知らせしてきます!」


 すぐにお父様、お母様、マーカスが私の部屋に集まる。お母様は目が真っ赤だし、お父様もマーカスもすごく疲れた顔。皆に心配かけちゃったな……本当に、ごめんなさい。いつも以上に皆が優しくて、その優しさに無事に屋敷に戻ってこられたんだなと改めて思う……。その事実に今更自分の置かれていた危険な状況を実感して、少しゾッとしてしまったのは内緒だ。


「うにゃあーん」


 ついでに珍しくミミリンがスーパー甘えん坊モードだった!これは……労わりなの!?ご褒美なの!?ありがとうございます……!!

 ミミリンは私を慰めるかのように、ずっと側に寄り添ってくれていた。


 少し眠ったことですっかり元気になったけれど、体中が痛い……。攫われた時に体に負担がかかったのかも……と思ったけれど、お父様が手配してくれたお医者様は全く別のことを告げた。



「小さな傷や打ち身くらいで、他には異常はありませんね……しかしその症状。つかぬことをお聞きしますが、お嬢様、激しい運動などされませんでした?」

「えっ?」

「恐らくその全身の痛みは筋肉痛でしょう」

「えっ!?」


 確かに……めちゃくちゃ走ったわ……。引きずられるようにして……。

 怪我じゃなくて良かったけど……なんだかすごく情けない気分なんですけど。


 筋肉痛で体中が痛んでいる私が楽に体を起こせるように、ユリアがクッションを重ねて背もたれにしてくれる。



「お父様……アルフ様は?大丈夫だった?私のためにきっと無理してくれたの……お叱りを受けていないかな……」


 お医者様に診てもらっている間も、私がずっとそわそわと落ち着きがないことに気がついていたんだろう。お父様はその言葉を聞いてすごく優しく笑った。


「本人に聞いてごらん。アルフレッド君はルーシーが心配でずっとうちにいるよ」



 気を遣って皆が部屋を出ていくのと入れ替わる様にアルフ様が現れた。


「アルフ様……!」

「良かった、ルーシー嬢!あ、無理しないでください!どうぞそのままで……」


 背もたれにしたクッションから体を起き上がらせようとした私をアルフ様が止める。そのまま私のすぐ横に椅子を置き座った。



「ルーシー嬢……体がお辛いのですね。かわいそうに……具合はどうですか?」


 心配そうなアルフ様に少し罪悪感……なんたって辛いのは筋肉痛だからね!


「大丈夫です。アルフ様がすぐに来てくださったおかげで、どこも怪我していないんですよ」


 強いて言うなら髪を引っ張られた部分が少しひりひりと痛むくらいだ。

 それでもアルフ様は痛ましそうな顔で私を見つめる。


「あなたに悲しい思いはさせないと誓ったのに、怖い思いをさせてしまった。俺がもっと気を付けられたはずです。すみません」

「そんな!アルフ様のせいじゃありません!」

「いいえ、ブルーミス嬢が俺に妙な執着を見せていた以上、ルーシー嬢が危険にさらされる可能性はいくらでもあったんです……警戒していたつもりでしたが、それでも適当にあしらっていればいいのだと事態を甘く見ていました」


 ミリアさんの名前が出たことに、少し緊張を感じる。ブルーミス男爵に誘拐されたことへの恐怖ももちろんあるけれど、大事なことを思いだしたのだ。

 時戻りのことを、話すと決めたんだ……。



「アルフ様、そのことも含めて……あなたにお話したいことがあります。ずっと、秘密にしていたことがあって……」


 そもそも、もしもアルフ様が時戻りのことを知っていたら。ミリアさんに対する警戒心も少し違うものだったかもしれない。アルフ様のお父様だって、結果的に無事だったから良かったものの、今回のことに巻き込まれていた1人だ。アルフ様はある意味当事者。そして被害者でしかない。


 もうこれ以上、アルフ様に秘密を持っていたくない。本当ならミリアさんの口から聞かされる前に、私が話すべきだった。そう思うけれど、いざとなると……。ぐるぐると胸の内に不安が渦巻く。

 私の顔が強張っているのに気づいたアルフ様が、そっと私の手を握った。



「ルーシー嬢、大丈夫です。俺は何を聞いてもあなたを信じるし、何も怖がることはありません」



 ああ、また出た、アルフ様の「大丈夫」。ひょっとして私が話そうとしていることが何か、感付いているのかもしれない。あ、ダメだ、また泣きそう……!なんとかぐっとこらえて、1つ大きく息を吐いた。



「私、アルフ様とミリアさんが教室で話しているのを聞いてしまったんです。盗み聞きの様になってしまってごめんなさい……アルフ様、ミリアさんに時戻りの話をされていましたよね?私と殿下とミリアさん、3人で時を戻ったのだと」


 アルフ様は一瞬驚いたような顔をしたけれど、じっと私の目を見つめたままゆっくり頷いた。


 思わず握られた手を強く握り返す。まるで宥めるようにアルフ様も少し手に力を込めて応えてくれた。それでほんの少しだけ気持ちが落ち着く。

 大丈夫、アルフ様はちゃんと聞いてくれる。大丈夫……。




「あの話は、本当です。私は2人と一緒に時を戻り、2回目の時間をやり直しています。提案は殿下から。1度目、私と殿下は婚約解消をすることなく、明日には結婚式という夜でした――」



 そして、私はアルフ様にゆっくりと秘密を打ち明けた――。




登場人物一覧がほしいとのお声を頂いたので、今日明日くらいに作ってアップします(*^▽^*)

ありがとうございます^^

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 登場人物一覧が楽しみです! そのなかにはどうかミミリンも加えてくださいw 好きな食べ物とか毛並みとか毛の長さとか鳴き声の高さとかも気になります。
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