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第76話:迅王との問答

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 次の日、シルヴァディとの稽古を終え、駐屯地に戻った後、隊員の様子を観察した。

 シルヴァディとはあれ以来、シンシアの話はしていない。

 またあのシルヴァディの落ち込んだ姿をみるのも嫌だしな。

 やっぱり師匠には傲岸不遜がお似合いだ。


 隊員たちだが、食料の配給の時以外は、基本的には各個人での訓練を指示してある。

 班の作成はシンシアに任せたので、俺にできることはぶっちゃけ今はない。


 なので、せめて隊員の顔を覚えようと、駐屯地を回っているのだ。

 俺が隊員で覚えているのは副隊長に任命したシンシアと、よくみかけるフランツくらいか。


「あ、隊長殿!」


 噂をすればフランツだ。

 駐屯地に来た俺に気づいたようだ。

 小走りに駆け寄ってきてビシッと敬礼をする。

 真面目な軍人である。


「あーフランツ・・・だったかな」


「はい! フランツ・ツェペリです!」


 俺よりはやけに明るい茶髪の青年がはきはきと名乗る。

 まあ名簿で見たから知っている。

 フランツは確か22歳ということだが・・・この隊だと年齢は上の方だ。

 

「フランツは何をしていたんだ?」


「私は、隊長の指示通り、自己鍛錬に努めておりました」


「自己鍛錬ね」


 フランツを見やると、首筋に滴る汗が見えた。

 腰に差しているのも真剣ではなく木剣であることからして、剣の鍛錬をしていたのだろう。


「それは邪魔して済まなかったな。まだ指示はない。隊員たちの様子を見て回っているだけだからいつも通りにしていてくれ」


「はっ!」


 フランツはきびきびとした敬礼をして去っていった。

 何人かで集まって剣を振っているようだ。

 他の者も遠目でこちらに敬礼していたので、俺も敬礼を返しておいた。




 駐屯地を練り歩くと、自己鍛錬とはいえ、様々に解釈する人がいるようだ。

 例えば、先ほどのフランツ達のように何人かで集まって剣を振っている者たちや、1人で魔法書を読んでいる者。

 魔剣士が多いこともあって、多くが剣を振っているが、魔法書も読んでいる者も、腰には剣を下げていたりするのが印象的だ。

 

 少なくない数の女性の隊員もいたが、概ね女性は女性で固まっているようだ。

 まあ多くが女性というよりはまだ女子と言っていい年齢だが・・・この世界だと15歳で成人なので彼女らも立派なレディなのだろう。


「あ、隊長。おはようございます!」


 俺に唐突に声をかけてきたのも、そんな女子の一団だった。


「ああ、おはよう」


 見るからに剣士と分かる3人組だった。

 巻き毛の黒髪の長身少女に、紺色の三つ編み少女、赤毛の眼鏡少女の3人だ。

 いずれも腰に剣を、赤毛の子は盾も装備している。魔剣士だろう。

 いずれも15~20くらいの年齢に見える。


「わぁ、近くで見ると意外とかわいい・・・」


 真ん中の紺色三つ編み少女が敬礼しながら小声でそんな感想を漏らした。


「ちょっとアニー、失礼よ」


「あ、失礼しました!」


 すぐさま黒髪の長身少女が注意し、ビシッと敬礼をしてきた。

 

 もちろん俺は自分がこの隊で最も年下であるので、中にはナメた――もとい砕けた感じで接してくる人もいると思っていた。

 上官に対する態度としては不適切かもしれないが、俺としては堅苦しいよりはフレンドリーな方が楽ではある。シンシアもこれくらい言ってくれればいいんだけどな。


「別に構わないさ。まだ俺は隊長としては何もしてないからな。威厳が足りないことは自覚している」


 なのでそういったのだが、三人組はそろって首を振った。


「そ、そんなことないですよ!」


「そうですよ! シンシアちゃんに勝てる人なんて部隊にはいませんから。軍隊は実力主義ですよ!」


 俺の言い方のせいかもしれないが、どうやら隊長としては認めてもらっているようだ。

 やはりシンシアは相当強い部類であるらしい。


「やはりシンシアは実力者だったか・・・」


 そう呟くと、先ほど失言を漏らした紺色の三つ編みの子がノリノリで教えてくれた。


「剣でシンシアちゃんより強い人なんて軍でも数人ですよ!」


 部隊ではなく、軍の中でも相当強いらしい。

 まぁ魔剣士の時点で大分上のほうにはなると思うけどね。


 この子たちも俺の隊にいるということは、魔剣士ないし魔導士なのだろう。

 軍全体としてみればそれだけでなかなかの実力者ということになる。


 ・・・しかし、先ほどから「シンシアちゃん」とは、やけに親しい愛称だ。


「君らはシンシアと仲がいいみたいだな」


「はい! 同じテントなんですよ! いつも一緒に行動してるんです」


 三つ編み少女が答えた。


 同じテントか。

 駐屯地ではいくつものテントに分けて皆は寝泊まりしている。

 寝食を共にすれば芽生える友情もあるのだろう。

 

「今日は一緒じゃないのか?」


「あーはい。今日はゼノン副司令閣下のところに行っているみたいですね」


 答えたのは三つ編みの子ではなく、赤毛の眼鏡の子である。


「ゼノン副司令の?」


「はい。なんといってもシンシアちゃんは迅王ゼノン様の弟子ですから」


「あれ、弟子なのか」


 そういえば、シルヴァディがそんなことを言っていたような気もする。

 だが、弟子とは言っていなかったような・・・。

 ゼノンに懐いた、とかそういう言い回しだったはずだ。


「ちょっとエイドリアナ、嘘言っちゃダメよ。シンシアちゃんはそう言い張ってるだけで、ゼノン閣下は正式に弟子としているわけではないのよ」


 と思ったら、黒髪長身の少女が訂正を入れた。

 どうやら彼女が3人のまとめ役のようだ。

 確かにこの中だと一番年上に見えなくもない。


「でも指導してもらっているでしょ。似たようなもんじゃん」


「エイドリアナは師匠がいないからそう言えるのよ。師弟関係っていうのはそう単純じゃないの」


「ふーん」


 どうやら赤毛の眼鏡女子は師匠がいないようだ。

 盾を持っているからてっきり甲剣流の使い手かと思ったが、我流なのかもしれない。


 しかし、ゼノンか。

 弟子かそうでないかはともかく、そういう浅からぬ関係ならば、もしかしたらシルヴァディとシンシアの間に入ってうまく関係を取り持ってくれるかもしれないな。


 話を聞きに行くのはありかもしれない。


 2人の会話に移ったところで、再び紺色の三つ編み少女が口を開いた。


「あの! 隊長は天剣シルヴァディ様の弟子なんですよね!」 


「知っているのか」


 別に隠しているわけではないが、いったい皆どこから情報を仕入れてくるのやら・・・。

 俺はこちらに知り合いもいないし、新参だからあまりカルティア軍の情報を知らない。

 一応それなりの地位なはずなんだけどな・・・。


「はい。有名ですよ! シンシアちゃんなんて隊長が来てからずっと不機嫌で・・・」


「ちょっとアニー!」


「あ、いえ、その・・・」


 紺色の三つ編み少女は失言生産マシーンのようだ。

 別にシンシアが俺をよく思っていないことは知っている。

 ほんのちょっとだけ傷ついたけど、まあ俺はいいんだ。


「気にしないでくれ。嫌われていることに自覚はあるからさ」


「そうなんですか・・・」


 そういうと、3人とも少ししんみりした顔になってしまった。

 そろそろ退散どきか。


「じゃあ、俺はもう行くよ。鍛錬の邪魔をして悪かった」


 そう言って立ち去ろうとしたのだが、


「あの!」


 三つ編み少女に呼び止められた。


「?」


「その・・・シンシアちゃん、悪い子じゃないんです。きっと話せば仲良くしてくれると思いますから、どうか罰とかは・・・」


 どうやら俺がシンシアに嫌われているから何かするとでも思っているらしい。

 別にシンシア自身が悪い子でないということは知っている。

 風呂場の件で多少お茶目な部分を見ているからというのもあるが―――少なくとも俺自身は仲良くしたいと思っているからな。


「ああ、知ってるよ。安心してくれ、彼女に酷い罰など与えない。せっかく副隊長も任せたしな」


「――ありがとうございますっ!」


 俺が苦笑しながら答えると、少女たちは満面の笑みで礼をしてきた。

 

 シンシアはいい友達をもっているようだ。

 

 俺ともそれくらい仲良くしてくれたらいいんだけどな。



● ● ● ●




 次の日俺はシルヴァディとの稽古を終えると、参謀府に向かった。

 目的はゼノンだ。


 シルヴァディとシンシアのことを知っていて、かつシンシアからも慕われているゼノンなら、2人の仲を取り持てるのではないかと思ったのだ。

 別に変に期待はしていないが・・・今後の部隊運用について聞いておきたいこともあったからな。


「――副指令なら、参謀府にいませんよ。剣の稽古をしているみたいです」


「・・・どこに行ったかは?」


「いつも通りなら・・・多分、北の練兵場でしょうか」 


「そうか、ありがとう」


 参謀府の下っ端兵士君が教えてくれた。


 どうやらゼノンは剣の修練をしているようだ。

 聞いたところだとゼノン自身は相当強いというが・・・やはりどれほど強くなっても剣の稽古は欠かしてはいけないのだろう。


 北の練兵場は俺とシルヴァディが普段稽古している練兵場とは逆の位置にある広場だ。

 まだ日の光も薄い中、俺は参謀府を後にした。



 北の練兵場はすぐにたどり着いた。

 いつも俺がシルヴァディと使っている南の広場と同じで、ひとけはない。


 そして、広場の中心、1人の男がいた。

 

 風に棚引く黒い長髪に、長身。

 とても前線に出るとは思えないほどの薄手の黒いロングコート。

 迅王ゼノンだ。


「ゼ―――」


 俺は出かけた声を思わず呑み込む。


 ゼノンが剣を構えていたからだ。


 型は、神速流の基礎的な中段の居合。

 どこかで見たことのあるような・・・だがそれとは比べ物にならないほど、綺麗な―――いや、綺麗すぎるほどの構えに、思わず声を奪われたのだ。


 声をかけることすら躊躇い、その芸術的な姿を前に、俺は広場の入り口で立ち尽くしていた。


 そして―――。


 ヒュッ 


 ―――一閃。

 剣が振られた。


「―――ッ!」


 思わず息をのむ。


 音が遅れて聞こえたとはまさにこのことだろう。


 気がついたときには、既にゼノンは剣を振り切っていた。


 辛うじて、目で追えた。

 シルヴァディとの修練の賜物だというべきだろうか。

 だが目で追えたからと言って、もしも俺があの剣の対面にいたとしても、反応もできずに真っ二つに両断されているだろう。

 確実に、俺が見てきたどんな剣よりも速い剣閃だった。

 

 多分、イリティアや、シルヴァディよりも速い。


 だが、俺の目を奪ったのはそんな速さではない。


 そんな速さすらどうでもよくなるほど、ゼノンの剣は美しかった。


 基礎に忠実に―――。

 最短ルートを真っすぐと―――。


 何か武道をやっている人ならばわかるだろう。

 これが、「理想」の型なんだと。

 これが教科書に載るような動きなんだと。


 カチりとハマったように美しい剣閃は、まるで彼自体だけでなく、何でもない地面や草木までもを美しく感じさせる。


 あながち間違いでもあるまい。

 草木ですら、その剣の美しさには祝福の意を示すに違いないからだ。


 ―――強い。


 カルティアに来るまでに、何度もシルヴァディに言われた言葉だったが、実際に一振りを見ると、それはさらに確信に変わる。

 

 彼は間違いなくシルヴァディの域―――強者の域の人間だ。


 俺とは生物的に格が違う域だ。


「・・・なんだアルトリウス、のぞき見か?」


 気づくとゼノンがこちらを向いていた。

 見惚れるあまり呆けていたので、彼がこちらを向いていることに気づかなかったのだ。


「っ! 失礼しました! その・・・集中しているようでしたので」


「そうか」


 俺が慌てて敬礼をしながら言うと、ゼノンは表情を変えずに頷き、剣を鞘に納めた。


「それで、こんな時間に何の用だ? 特に呼び出しはしていないはずだが」


「・・・今日はゼノン副司令にお聞きしたいことがありまして」


「聞きたいこと?」


「はい」


 正直、今の剣閃のあまりの衝撃に、色々と頭が働いていなかったが、冷静に思考して本来の目的を思い出す。


「その・・・師匠シルヴァディと、シンシアのことです」


 そう告げると、ゼノンが眉をひそめた。


「・・・シルヴァディから聞いたのか?」


「はい」


 やはりゼノンは2人の仲について知っているようだ。


「・・・そうか、確かにお前は少しやりにくい立場かも知れないな。少し配慮の足りない配属だったか」


「あ、いえ。確かに嫌われてはいるみたいですが・・・僕は大丈夫ですよ。シンシア自身はいい人だと思うので」


「ふむ・・・では何だ?」


 少し怪訝な顔をするゼノン。

 さて、どう切り出そうか。


「えーと・・・副司令はシンシアに慕われていると聞きました」


「そうだな。5年ほど、請われてたまに剣の助言をしている」


 5年もこの男に剣を学んだというなら、シンシアの強さも納得だが・・・。


「助言・・・ということは師弟関係ではないので?」


「弟子にはしていない」


「・・・」


 そういえばイリティアの手紙にも、ゼノンは弟子を取らないと書いてあった気がする。


 助言をするくらいなら弟子にすればいいのに、とも思うが、シルヴァディの雰囲気をみるに、この世界での師匠と弟子というのは、俺のイメージよりは、重要な意味を持つらしい。


 ゼノンが弟子を取らないことについて俺がとやかく言うべきではないだろう。


 今日の用件は師弟関係ではなく、親子関係なのだ。

 俺は単刀直入に切り出した。


「ゼノン副司令は、2人の仲をどうにかしてやりたいとは思いませんか?」


 俺の言葉に、ゼノンの切れ長の目がさらに細まったような気がした。


「・・・それは2人の問題だ。シルヴァディは少し不憫だとは思うが、本人も知っているように自業自得だろう。他人が関与することではない」


 そして低い声でそう言った。

 2人の関係については本人たちでなんとかするべきと思っているようだ。


「でも・・・その、シンシアは、知っているんでしょうか、師匠が家を空けて剣を学んでいた理由について、とか」


「知らないはずはないだろう。私とシンシアがシルヴァディの話をすることはないが・・・調べればすぐにわかることだ」


 知っているのか。

 だとすると・・・それほどまでにシルヴァディを拒絶するのはどうしてだろう。


 ・・・やはりシンシアにも話を聞いてみないことにはわからないことは多すぎるか。


 思案している俺に、ゼノンが言葉を投げかけた。


「アルトリウス、価値観は人それぞれだ。特に親子関係なんてものは・・・そう簡単に割り切れるものではなかろう」


「・・・」


 その通りかもしれない。

 親子は仲よくした方がいいなんて、俺の価値観の押し付けだ。

 前世でも親との縁を切ったままという人の話は聞いたことがある。

 仲の悪い親子なんて世の中にはありえない話ではないのだ。

 他人がどうこうする問題ではないかもしれない。


 でも・・・それでも―――。


 俺は口を開いた。


「僕は師匠が・・・とても強いということを知っています。僕がどれだけ本気で剣を振っても、師匠はその何倍もの剣で返してきます。どんな強い敵にも、飄々として向かって行って、絶対に勝利します。天剣の弟子というだけで、多くの人から褒められ、尊敬されます。天剣シルヴァディとはそんな人なんです。それは、副司令の方がよく知っていると思います」


「・・・ああ」


 ゼノンが相槌を打つ。


「でも、そんな強い人が、娘のことを語るときはすごく弱々しい顔で、情けない声を出すんです。二つ名の剣士を3人相手にした時ですら全くひるまなかった人が、まるでこの世の全てに打ち据えられたかのように、悲痛な声を上げるんです」


「・・・・」


「そんなのが、そのままでいいはずがないんです」


 そうだ。

 そのままで放置できるほどの仲じゃない。


「だから、どうか2人の仲を取り持ってもらえないでしょうか?」


 そう締めくくった。


 ゼノンは特に表情を変えているようには思えない。

 というか、もともと彼の表情は読みにくい。

  

 間を置いて、ゼノンは答えた。


「・・・2人の問題だ。現在は戦時中だしな。2人に請われるならともかく、私が能動的に動くことはない」


「・・・そう、ですか」


「ああ。悪いな」


「いえ」


 ゼノンの言うことは正しい。

 今は戦時中だ。

 正直ここまでの旅路の方が過酷で、忘れがちなことではあるが、俺たちは今戦争をしているんだ。

 のんきに他人の人間関係に口を突っ込んでいる場合ではないのかもしれない。


 それに、もしかしたらゼノンも微妙な立場なのかもしれない。

 シルヴァディとは戦友だし、シンシアからは慕われている剣の先生。

 下手に動くと、関係が悪化すると考えているのかもしれない。

 どちらにせよ無理強いはできない。


 シルヴァディからゼノンに頼む・・・というのは少し無理だな。

 シルヴァディ自身がこの件に関しては消極的だ。


 少し間を置いて、ゼノンが気づいたように言った。


「―――すまないが、そろそろ私は参謀府に戻らなければならない。用件は以上か?」


「あー、はい。ないこともないですが、また今度にします」


「そうか」


 本当は今後の部隊の訓練について聞きたかったが、今度にしよう。

 元々こちらがアポもなしに話に来たんだ。

 鍛錬の時間を削ってまで話に付き合って貰ったのに、これ以上わがままを言うこともできまい。 


「・・・アルトリウス」


 去り際、ゼノンが振り返った。


「はい」


「明日、日が落ちるころ、また来い」


「えっと、ここにですか?」


 俺は地面を指さす。

 話をするなら練兵場ではなく、参謀府でも良いと思ったのだが、


「ここだ。剣を見てやる」


 予想外の言葉が飛んできた。


「剣・・・ですか?」


「ああ、シンシアも一緒だ」


「シンシアも・・・?」


 どういう意図だろうか。

 俺に、シンシアと関わる場を設けてくれたということだろうか。

 確かに、一緒に剣を学ぶというのは、彼女を打ち解けるいい機会かもしれないが・・・。


「えっと、その・・・僕はシルヴァディの弟子なので、師匠に言ってもしも快諾されれば、でもよろしいですか?」


 俺はシルヴァディの弟子になったんだ。

 貰いすぎなくらい彼には色々なことを教えてもらっているし、裏切るような真似はしたくない。

 ただでさえ既に娘がゼノンに懐いてメンタルブレイクしている節もあるし・・・。


 ただの承諾ではなく、快諾というのも、シルヴァディを気遣った結果だ。

 俺の主観で、ちょっとでもシルヴァディが嫌そうな顔をしたらやめる。


「ああ、そうしろ」


 ゼノンは案の定表情も変えずにそう言った。


「ありがとうござます」


「気にするな。・・・しかし奴はいい弟子を持ったな」


「はい?」


「いや、なんでもない。では、また明日だ」


「あ、はい」


 ゼノンは去っていった。


 表情は読めない人だけど、一応2人のことは気にかけてくれているっぽいな。

 能動的には動かないって言っていたけど・・・俺が動く分には構わないってことだろうか。


 なんにせよ、まずは一歩か。 


 ここ数話をスマホで読み返したところ、「―――」の表記について全角と環境依存の入り乱れるミスが目立っていました。私のパソコンだと違いが分かりにくいもので・・・。

 如何せんミス箇所が多いので、いつか余裕ができたときにまとめて直します。

 

 いつの間にか200Pを超えていました! 意外にも多くの方に読んで貰えて嬉しい限りです!

 相変わらず拙い文ではありますが、これからも読んで下されば幸いです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 命のやり取りが直ぐ目の前にあるからこそ、そういう問題早く解決すべきだろう なんなんだこの大人どもは。 そろいもそろって、臆病者で面倒くさがりで、俺には関係ないって、お前は自分でどうにかし…
[一言] 正直言って、この作品の沢山の大人どもの身勝手さは嫌いだ。どいつもこいつも、余り子供の事を考えていない。勿論主人公の両親みたいな比較的良い大人はいろけれど。 親子関係なんちゃらってそう簡単に…
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