第112話:間話・炎姫の旅路
ヒナ視点の話です。
ユースティティア王国。
この世界において、最大級の軍事力を持ち、唯一、ユピテル共和国に武力を持って対抗できるとされている大国である。
クレスタ大陸の南西部は概ねユースティティア王国の領土か、もしくは傘下に入っている国ばかりだ。
とはいえ、王国といえど、中心部―――王都『ティアグラード』から遠い国境沿いなどは、あまりその支配は行き届いていない。
一応は王国の領土と認められているものの、端に行けば行くほど貧しい街や村は増えていく。
さて、そんなユースティティア王国であるが、大陸におけるもう一方の大国――ユピテル共和国とは、正式な国交があるわけではない。
しかし全く交流がないかと言われれば、そういうわけでもない。
お互いの国民の入国を制限していることもなければ、出国も自由である。
2国は友好な関係とはいいがたいが、少なくとも今まで戦争はしたことはない。
それでも正式な国交が結ばれないのは、誰もが自由に行き来できるほど、2国の立地は優れていないからだ。
ユースティティア王国と、ユピテル共和国の間には、広大な『北方山脈』と、『ブレア大森林』という険しい自然の要害が出来上がっており、その中を行き来するには、案内人に伝手のあるような商人や、屈強な護衛を雇うことのできる富豪。はたまた実力のある旅人などに限られてしまうのだ。
そんな要害の一つ―――ユースティティア王国でもブレア大森林から最も近い街『ルミンスク』に、一風変わった2人の人影が見えた。
1人は、未だに成人年齢に達したかどうかというところの小柄な赤毛の少女だ。
どこか自信に溢れたたたずまいに、メラメラと炎のように燃える深紅の瞳は、彼女が只者でないことを印象付けるのにふさわしい。
彼女が好む色なのだろうか、瞳の色と同じように、赤く染められたローブ姿は、この『ルミンスク』では異様に目立つ。
もう1人は、長い銀髪を棚引かせた女性だ。
美しい銀髪に見劣ることのない魅力的な顔立ちに、ローブの上からでもわかる抜群なプロポーションは、すれ違う誰もが二度見するに違いない。
赤毛の少女と2人で歩いていれば、彼女たちが街で目立つのも当然であった。
「・・・イリティア先生、思っていたよりも寂れていますね」
ルミンスクに入るなり、そのうちの片方赤毛の少女―――ヒナが口を開いた。
少女は物珍しそうに、あたりの街並みや、人通りを眺めている。
ヒナの質問に、隣の銀髪の美女―――イリティアが答えた。
「そうですね・・・でも、王都からの距離を考えると『ルミンスク』はまだ栄えている方ですよ」
『ルミンスク』はユースティティア王国の中では辺境に位置する街だ。
一応、街自体は外壁で囲まれており、入る際には簡単な検閲もあったが、あってないようなおざなりなものだった。
「ユピテルから来た」と言ったら、物珍しそうには見られたが、それは国が違うからというよりも、若い女がたった2人ということに驚いていたからかもしれない。
実際、ブレア大森林を通ってユピテル共和国から人が来るのは珍しくはない。
『ルミンスク』はブレア大森林最寄りの街と言ってもおかしくはなく、どこの国の人間かに関わらず、ブレア大森林に用がある人間は、『ルミンスク』に立ち寄ることが多いのだ。
もっとも、異国からの訪問者など、多くは大手の貿易商や、大規模な商人旅団だが。
そう言った理由もあり、『ルミンスク』は辺境ながら、王国の窓口としてはそれなりに栄えている街ではある。
「でも・・・道は舗装していないし―――路地裏は如何にも治安が悪そうだし・・・物価も安いように思うんですが」
「ヒナはヤヌスとアウローラしか知りませんからそうかもしれませんけど・・・実際ユピテルでも辺境はこんなものですよ」
「確かに・・・少し期待しすぎていましたね」
何とも期待外れのような顔をするヒナに、イリティアが苦笑しながら教えると、ヒナも納得するようにうなずいた。
ヒナがその人生の大半を過ごした『ヤヌス』と、ここ数年暮らした『アウローラ』は、その周辺都市も含めて、世界有数の先進地域である。
たとえ王国だとしても、ヤヌスやアウローラほど発展した土地は、王都周辺以外にはないだろう。
「まあ、ここは交易が盛んな街です。ヤヌスほどではありませんが、宿屋の質もそれなりですし、ここまでの旅の疲れを癒すにはうってつけですよ」
「そうですね・・・流石に私も疲れました」
「ヒナは旅は初めてなのですから当然ですよ」
イリティアが微笑んだ。
ヒナからすれば、初めての旅は確かに疲れたが、新しいことの連続で、とても新鮮なものだった。
旅路の内容を思い出しながら、2人は宿屋を探して足を進めた。
● ● ● ●
3か月ほど前―――。
ユリシーズから免許皆伝を貰い、ヒナは旅に出ることになった。
というより、そう自分で決めた。
自分の最終的な目標は、アルトリウスと一緒になることだが、そのアルトリウスはまだカルティアで戦争―――つまりはお仕事の真っ最中である。
自分から押しかけて邪魔をするのも嫌だ。
カルティア遠征は最長10年かかるとも言われている大がかりな遠征であり、おそらくまだしばらくはかかるだろう。
その間に自分にできることは何か・・・。
考えた末、一度ユピテルの外に出てみることにした。
アルトリウスも遠征という形で国外にいるのだ。きっと国の中にいては学べない様々なことを身に着けてくるのだろう。
それに―――ユースティティア王国はユピテル共和国と違って重婚の認められている国だ。
エトナとヒナ――少なくとも現時点で2人と将来を約束したアルトリウスにとって、後ろ指を指されずに暮らしていける国でもある。
そして、なんとなく、ユピテルの未来は薄暗いとも感じていた。
民衆派と門閥派。
二つの派閥が大手を振って争う中、国としての成長は止まっている。
このままいくと、まるで内乱に突入するかのようだ。
もしもそうなった場合、カルティアから帰ってきたアルトリウスが巻き込まれないよう、外の国に伝手を作るのは早いうちにやっておいた方がいい事でもある。
別にアルトリウスの行くところならば妾だろうと第二夫人だろうとどこにでも付いて行くつもりだが・・・そう言ったことも踏まえて、一度王国に行ってみるのは悪い話ではないように思えた。
当初は1人で行く予定だったのだが、その旨をイリティアに話すと、彼女も同行すると言い出した。
イリティアはアウローラの学院で教師という職についている。
いつも楽しそうに教鞭をとっているし、何よりも彼女の教えを生徒たちが受けれなくなるというのは大きな損失に思えたので、断ったのだが、
「ヒナを1人で行かせるなど、アルに怒られてしまいます!」
と言って、その日のうちに休職願を出してしまった。
実際はヒナも王国への行き方などはちんぷんかんぷんであったので、彼女の同行の提案は心強いことであった。
「それにしても・・・家では大分無茶をしたらしいですね」
アウローラを発つとき、イリティアが笑いながら言った。
「あれは・・・仕方がないですよ。思ったよりも祖父が頑固だったので・・・」
ヒナも少し苦い顔をする。
『摩天楼』ユリシーズから免許皆伝を貰った時点で、既に家に左右されないという当初の目標は達成されていた。
優秀な魔法使いなど、どこへ行っても重宝される。
家とは関係のない場所で生きていくのに困りはしない。
そんな努力の成果を引っ提げて、ヒナはカレン・ミロティック家の家長――祖父のネグレドの元を訪れた。
ヒナがネグレドに求めたのは、自由。
仕事も、生き方も、恋愛も―――ヒナの自由に選択していいという許可を求めたのだ。
だが、ネグレドはそれらを許可しなかった。
ヒナは詳しく知っているわけではなかったが、ネグレドからすれば、内戦がいつ始まるかもわからない情勢下で、未婚の血族などは『婚姻による同盟』の強力なカードである。
それが優秀な魔法使いとなれば、なおさら手放し難くなるのも当然であった。
当初は穏便に済ませようとしていた交渉だったが、何を言ってもネグレドは首を縦に振らない。
口論は次第にエスカレートしていき、遂には、
「ふん、学院で誰と色恋をしたかは知らんが、そんなちんけな髪留めしか贈れないような男、たかが知れておるわ!」
ネグレドは特に意図したわけではないが、結果的にこの発言がヒナを完全に怒らせた。
「――この家とはもう金輪際、縁を切らせてもらうわ!」
気づくと、無詠唱で炎魔法を発動させていた。
右手から放たれた大火球は、石の壁すら貫通し、ネグレドの寝室を無残な姿に変えた。
もしもこの魔法がネグレド本人に放たれていた場合、この先の歴史は大きく変わっていただろう。
「止められるものなら止めてみなさい!」
そう叫んで、ヒナは怒りの形相で屋敷を出て行った。
あとから思えば完全にやり過ぎたことであるが、後悔はしていない。
ヒナ自身はともかく、アルトリウスをバカにされるのは、何よりも許せないことだった。
一応、去り際に消火の水魔法はかけておいたし、怪我人もいないはずだ。
いずれにせよ祖父はヒナの自由を認めなかったのであろうし、どこかでヒナの決意と実力は見せておく必要はあったのかもしれない。
ともかく、余計な家のしがらみはこれで断ち切った。
カレン・ミロティック家に未練はない。
両親は、祖父などまだマシであるほど冷めた関係であった。
少しだけ仲の良くなった姉とちゃんとしたお別れをできなかったのは残念だが、姉はまだ若い。
長い人生のどこかでまた会う事はあるだろう。
やけにさっぱりした心境で、ヒナはイリティアと共にアウローラを後にした。
目的地は、ユースティティア王国。
アウローラからは概ね真っすぐ北上する形になる。
ユピテルから王国に行くには、北方山脈を通るか、ブレア大森林を抜ける必要があるが、アウローラからはブレア大森林のほうが近い。
幸い、イリティアは、ブレア大森林を通って王国に行ったことがあるようだ。
彼女の指示に従い、いくつかの街を経由しつつ、時には野宿もしながら北上していく。
途中、同じくブレア大森林を抜けるつもりだという『商人旅団』と出会った。
「――ひえ、まさかあの『銀薔薇』殿にお会いできるとは思っていませんでしたぜ」
商人旅団の人たちは、イリティアの名前を聞いた瞬間、飛び上がって驚いた。
特に東方では、イリティアの名前は有名であるらしい。
「もしもそちらが良ければ、旅団の護衛として雇われてくれませんかね」
商人旅団の長と思しき男からそう提案された。
ブレア大森林は、広大な森林であり―――当然、そこを通ろうとする旅人を襲う盗賊やならず者が存在する。
そのため、こちらのルートを抜ける場合はそれなりの数の護衛を揃えるのが一般的であるようだ。
それなりの報酬を、しかも王国の貨幣で払ってくれるというので、イリティアと相談して引き受けることになった。
道すがら、商人旅団の人たちからは、色々な話を聞いた。
商人というのは情報通なのだ。
もっぱら話のネタは、カルティア遠征の話だ。
カルティアでは最高司令官ラーゼンの率いるユピテル軍は連勝に連勝を重ねており、予想よりも早く遠征が終わるのではないかという話や、その立役者として、『烈空』という若い魔導士が活躍したという話。
「その『烈空』ってのは、剣も凄まじいのはもちろん、見たことのない魔法を放ったり、挙句の果てには空を飛ぶらしいですぜ」
「なんでもあの天剣シルヴァディ秘蔵の弟子だとか」
―――私の知らないアルトリウスの話・・・。
感心したように商人たちがアルトリウスの話をするたびに、ヒナの胸の中はなんとも言えない懐かしい気持ちになった。
「――アルは飛行魔法を理論上は完成させたと手紙に書いていましたが・・・実用化まで漕ぎつけていたのですね」
後から、イリティアが感心したように教えてくれた。
飛行魔法なんてものは、ヒナの師――ユリシーズでも使うことのできない、魔法士永遠の夢の魔法。
本当だとしたら、アルトリウスはそれだけで歴史に名を残す偉業を達成したことになる。
―――やっぱり、すごいなぁ。
きっとアルトリウスは、ヒナが最後に会った時以上に成長しているのだ。
他にも、商人たちからは様々な話を聞いた。
例えば、最近の王国の内情について。
なんでも王国内では謎の宗教組織が台頭しているとのこと。
「宗教組織?」
「ああ、もちろん噂なんだが・・・『神』を信じ、敬えば救われる―――みたいなことを広めて、信徒を増やしているらしい」
宗教という概念はあまりユピテルでは一般的ではない。
信仰という認識が薄いのだ。
ユピテル人が信じるのは、自分自身と、ユピテルという国家そのものである。
「とにかく、今の王国は、その宗教組織と――あとはクーデターがあったとかいう西の公国の後処理に手を焼いているらしいぜ」
とりあえず、今の王国はあまりいい状態ではないようだ。
聞いていた通り、ブレア大森林は、広大な森林だった。
生えている木々がどれも太く、伐採に苦労することもあって、道が少ない。
そして、言わずもがな大森林を根城とする盗賊や、ならず者が多く存在する。
森林の中は日中でも視界が悪く、暗闇に乗じて襲うのに適しているからだ。
無論、ヒナたちも何度か襲われたが、毎回イリティアがすぐに襲撃に気づく。
「ヒナ!」
「わかってます! ようやく実戦ですね!」
と、ヒナも息まいたものだが、所詮盗賊など、二つ名を持つ魔法使い2人にとっては大した敵ではない。
イリティアが前衛で何人かを相手している間に、ヒナの広範囲殲滅魔法で残りの盗賊も消し炭になっていた。
結局大森林を抜けるまで、5回ほど襲撃にあったがどれもそのように一瞬で片が付いてしまった。
ヒナとしては物足りなさを感じたものだが、
「いやぁ、銀薔薇殿だけでなく、お嬢さんもかなりの使い手だったとは・・・恐れ入ったよ」
商人たちからはそう驚かれると同時に、感謝もされた。
「彼女はこう見えて、『炎姫』の二つ名を贈られた一流の魔法士です。『摩天楼』ユリシーズの免許皆伝を受けているんですよ」
「あの『摩天楼』の!?」
イリティアの説明に、商人たちはヒナを二度見する。
確かに客観的に見れば、まだほんの少女であるヒナが一流の魔法士であると言われてもピンとくることはないだろう。
「こんなにちんまいのに・・・」
誰かがつぶやいた。
「せ、成長期よ!」
思わず声を震わせながら反論したものだが、言いながらヒナは自分の体を見下ろす。
あるのは小柄な体躯に、相変わらず厚みのない胸元・・・。
―――成長期、よね?
自問自答するも、もちろん、その答えを知る者はいない。
● ● ● ●
そのように色々と経験しながら、2人は王国に到着した。
旅路は楽なものではなかったが、イリティアがいるおかげか気持ち的には比較的余裕のある行程だっただろう。
同行してきた商人旅団は、『ルミンスク』には用が無いらしく、次の都市を目指すらしい。
ヒナたちはルミンスクで一泊し、その翌日――イリティアの古い友人がこの街に滞在しているということでその人物と会うことになった。
「やあ、王国へようこそ! 僕はジモン。しがない商人さ」
宿屋からそう遠くない飯屋で、快活そうに笑う青年が言った。
水色の短髪に、眼鏡をした細身の青年だ。
多分、イリティアと同年代だ。
「初めまして、ヒナと言います」
もうカレン・ミロティックではないので、そう名乗る。
将来的にはヒナ・ウイン・バリアシオンだろうか。
悪くない響きだ。
「うんうん、聞いていた通り利発そうな子だね。流石は銀薔薇の弟子といったところか」
「ジモン、この子は私の弟子ではありません。『摩天楼』ユリシーズの弟子です」
ヒナをイリティアの弟子と勘違いしたジモンを、イリティアが訂正する。
ジモンは目を見開いた。
先日の商人たちと同じような反応だ。
「まさか直弟子かい?」
「それどころか免許皆伝ですよ」
「・・・天才っているんだね」
ヒナからすれば、アルトリウスという存在に比べれば、今のヒナもようやく及第点といったところだが・・・やはり一般的には『摩天楼』の免許皆伝というだけでそれなりに驚かれるものであるらしい。
「いや、失礼。イリティアからはいつか弟子を連れて王国に来ると聞いていたものだから、てっきりね」
「いえ・・・イリティア先生も師の1人ですので、間違ってはいません」
ヒナはイリティアから、近距離での魔法士の心得を学んだ。
学院では教師であったのだし、師と言っても間違いではない。
詳しくは聞かなかったが、ジモンはイリティアの古い知り合いのようだ。
イリティアが傭兵として大陸を駆け回っていた時期に不思議と行った先々で出会った行商人らしい。
「この人は見た目はヘラヘラしてますが、商人とは思えないくらい腕は立ちますよ」
「はっはっは、護身くらいはできないと、旅なんてできないさ」
軽く笑っているが、彼がそれなりに武術の心得があることはヒナにもわかった。
物腰がイリティアと似たような・・・戦士の佇まいなのだ。
自己紹介もそこそこに、食事を食べつつ、話が始まった。
今日彼に会ったのは、現在の王国の状況を教えて貰うためだ。
ヒナは一応王都を目指しているが、彼の話をもとに、どのように向かうかを決めるつもりである。
「しかし・・・二人とも変な時期に王国に来たものだよ。いや、ある意味正しいことなのかもしれないが」
最近の王国の近況について、ジモンは難しそうな顔をした。
「変な時期?」
「ああ、どこかで聞いたかもしれないけど、今の王国は少し混乱している」
「・・・そういえば、変な宗教組織が台頭してるって聞きました。あとは、西の公国のクーデターにも手を焼いたとか」
ブレア大森林を共に抜けてきた旅団から、そんな話を聞いた。
「そう、それもあるんだが・・・ここのところ『人攫い』が多発していてね」
「人攫い・・・ですか。それほど珍しいことではないと思いますが」
イリティアが言った。
王国でもユピテルでも、人攫いは珍しいことではない。
確かに治安が行き届いている都心部ではあまり見られないが辺境の土地では、そういったことを生業とする奴隷商などいくらでもいる。
「それが・・・貧民だけでなく、それなりに身分のある貴族や、護身の心得のある兵士まで攫われているんだよ。しかも王都周辺だ」
「王都ですか・・・」
王都『ティアグラード』。
ユピテル共和国でいう首都『ヤヌス』と似たようなものだろう。
ヒナとしてはヤヌスでも、エドモンの一件で人攫いには関わっている。
あながち珍しいものとも思えないが・・・。
「それで、ある意味正しいというのは?」
そんな情勢下であるのに、王国に来たのが正しいというのは少し矛盾している。
「そうか、アウローラから来た君たちはまだ知らないのか・・・と言ってもこっちでも知っている人は少ないけど」
そんな前置きをして、ジモンが言った。
「―――カルティア戦役が終わったらしい。僕の予想だとこれからユピテルは・・・荒れるね」
「―――!」
カルティア戦役の終わり。
それはつまり・・・・。
―――アルトリウスが帰ってくる。
ヒナとイリティアは思わず顔を見合わせた。
読んで下さりありがとうございました。




