第101話:間話・混迷の予感
アウローラ総督府に、1つの知らせが届いた。
『ラーゼン、カルティアを完全征服』
そんな知らせは、誰よりも先に、総督の元へ届けられる。
「遂に来たか・・・」
総督ネグレドは、簡潔に書かれた書簡を手にそう呟いた。
これは、ネグレドが首都に置いておいた密偵から届いた速達の報告であり、元老院からの正式なものではない。だが、信憑性は確かだ。
――ここからが正念場・・・。
ネグレドは思う。
ラーゼンがカルティアから首都に向けて、軍団を解散させぬまま帰還したとき、果たして門閥派は耐えうるだろうか。
いや、否だ。
首都の常備軍は、元老院の管轄ではあるが、門閥派の管轄ではない。
常備軍の中枢を牛耳るのは、穏健派のクロイツ一門である。
クロイツ一門が動かぬ限り、首都の常備軍は動かない。
そして、そもそも門閥派は、「ラーゼンの上洛」という可能性を、最悪の事態としか捉えていない。
元老院命令で、ラーゼンをカルティア総督の任から解き、軍の解散を命じれば、それで解決だと思っている。
軍のないラーゼンならば、それで最悪の事態は避けられると、そう思っているのだ。
元老院の権力を信じているからこそ、そういう短絡的な思考になる。
だが、ラーゼンはそういう男ではない。
ネグレドはよくわかっている。
かつて――まだ若かりし頃のラーゼンは、当時世界で最も権力を持っていたと言っても過言ではない男の命令すら無視したのだ。
しかもその男――エドワードがいた当時と比べれば、現在の元老院――門閥派は文字通り役者が違う。
当時よりも何枚も劣る相手に、しかも自身はより力をつけた状態で、今度はあの男が逃げるはずがない。
そして―――。
あの男が、首都に攻め入ったとき―――どうせ常備軍など相手にならないだろう。
民衆がそれを望んでいる。
門閥派は、政治家だ。
軍人ではない。
ラーゼンやネグレドのように、政治家でありながら司令官すらできる人間など、今の首都にはいない。
そして、奴らに付き従う兵もいない。
攻め入ってきたラーゼンに対して、門閥派ができるのは、ヤヌスの逆にあり、しかも門閥派のネグレドが力を蓄えているこのアウローラに逃げることだけだ。
「つくづく、嫌な役回りじゃな・・・」
顎髭をさすりながら、ネグレドは呟く。
望んでもいないのに、ラーゼンの対抗馬に祭り上げられてしまうのだ。
とはいえ、最終的に勝つか負けるかで祭り上げられた意味も変わる。
今回の場合――ネグレドには負ける予感があった。
無論、彼とてここまで読んで何もしていなかったわけではない。
ラーゼンがカルティアを征服している間に、アウローラはさらなる発展を遂げた。
具体的には、小麦の生産量の底上げと、軍団の編成だ。
戦争において、兵糧というのは最も重要だ。
同じくらいの量の軍が対決したとき、命運を分けるのは兵糧の確保ができているかできていないかだ。
そういう意味では、アウローラは土地的に、小麦の生産高が伸びやすい。
既に首都付近の農業地帯など比べ物にならないほどの生産量を誇っている。
軍団も、充分な数が揃っている。
アウローラ地方のみで、5個軍団を編成した。
他の東方属州も含めれば総軍は10個軍団になる見積もりである。
更には、保険としてこの世で最も強い男を味方につけた。
一概に負けるとは思えないほどの、入念な準備である。
だが・・・・。
それでも、ネグレドには負ける予感があった。
それは、元老院による共和制を信じているネグレドだからこそ感じたものかもしれない。
――民主制を謳いながら民衆のついてこない国家など・・・きっと、それは時代の流れに逆らう行為なのだ。
もしかすると、最近家を出て行った聡明な孫娘も、カレン・ミロティック家の終焉を予感したのかもしれない。
家を出たいというので、拒否したら、問答無用で寝室を燃やされたのだ。
どうやら『摩天楼』の弟子として免許皆伝を貰ったらしい。
そんな戦力であるなら、なおさらネグレドとしては手放したくなかったが、本人にその気がないのだから仕方はない。
ため息をつきながらネグレドはミロティック家名簿からヒナの名前を抹消したものだが、対照的に、この話を聞いたジェミニは大笑いをしていたらしい。
なんとも、不思議な話である。
実際、ヒナが家を後にしたのは、戦争などそれほど関係のない理由であるのだが、ネグレドにはそんなことを知る由もないだろう。
とにかく、ネグレドは負ける気がしていた。
それでも、彼がこの舞台から降りないのは、彼なりの信念と、自負、そして責任があるからだ。
そう、責任だ。
多くの人間や兵が死ぬとしても、それを背負うべき将が必要なのだ。
ユピテルという、史上最大の共和制国家の消滅。
もしもそれが訪れるのならば、その幕引きは自分の手で―――。
「・・・この老体にもまだできることはある」
ネグレドはそう呟いた。
● ● ● ●
――カルティア征服が終わった。
その報を聞いて、首都は揺れていた。
緊急に開かれた元老院では、毎日のように会議が開かれる。
曰く、
「ラーゼンには野心がある! さっさと彼を解任し、軍団を取り上げなければならない!」
そう主張する門閥派と、
「彼は、長らくユピテルを苦しめてきた蛮族の国を討ち滅ぼしたのだ! 征服させてただちに総督解任など、聞いたことがない!」
そう反駁する民衆派の、泥沼のような言い争いである。
門閥派の不安は最もだ。
ラーゼンがいないおかげで、元老院内では門閥派が優勢だ。
だが、カルティアが征服されたおかげで、民衆はすでに熱狂的にラーゼンを支持している。
いくら門閥派が、「ラーゼンには専制君主制への野心があり、皇帝になろうとしている」と言っても、まるで効果はない。
むしろラーゼンの批判をすればするほど、民衆は門閥派を責めた。
酷いところでは、門閥派の議員が、元老院からの帰り道に襲われたなんて話も聞く。
これは、ひとえにラーゼンの不在中、首都の民衆の支持を取り付けることのできなかった門閥派の求心力不足が招いた問題だ。
――そんな中。
特に焦りをみせていたのは、1人の男だった。
年齢は中年を過ぎ、壮年に差し掛かるころだろうか、恰幅の良さが目立つ、いかにも貴族らしい男だった。
彼の名前はガストン・セルブ・ガルマーク。
ユピテル共和国において上級貴族に属するセルブ一門の当主にして、現在の執政官の片割れ――すなわち今年のユピテル共和国の行政の最高責任者を担う男である。
ガストンは焦っていた。
あまり体を動かすのは得意でないのに、急ぎ足で廊下を歩き、ある人物の元へ向かっている。
彼の思考にあるのはただ一つ。
『ラーゼンによるカルティア征服』という報せのことだ。
カルティア方面軍が出発して4年といったところか。
本来ならば10年近くかかると見込まれていたカルティアの征服が、たったの4年で終わってしまった。
ラーゼンが首都にいない間に、元老院を完全に掌握し、穏健派も取り込もうと画策していたわけだが、たった4年では目標の半分も事は成せていない。
―――クソッ。ギレオンは戻らないし・・・いったいなにがどうなっているんだ!?
ガストンの弟、ギレオンが、「ラーゼンを弱体化させるいい方法を思いついた」とか言って首都を出て行ったきり、戻ってこないのだ。
――あのマヌケめ・・・失敗して捕らえられていたらシャレにならんぞ・・・。
ギレオン自体の生死は別にいい。
ガストンからしてあの弟は精々商人がお似合いの取り得のない男だ。
大方、危ない仕事に手を出してへまをやらかしたのだろう。
だが、もしも過去に――ガストンが事を急ぐあまり「ラーゼンの身内に手を出した事実」が漏れた場合、間違いなくそれは門閥派の隙になる。
正直、ガストンからすればこの1年間は生きた心地がしなかったと言っていい。
そして、そこにきて『カルティア征服』の報せだ。
ガストンでなくとも焦らぬわけはない。
ラーゼンという男がこの後何をどうするのか。
ラーゼンがどこまで知っているのか。
彼に対する何もかもが、ガストンには図り切れなかった。
―――なんとしても奴を失脚させなければ・・・。
そんな思惑のなか、ガストンはある人物の元を訪れた。
「――これは由々しき事態ですぞ」
巨大な屋敷の奥まった一室で、ガストンはその人物と対面していた。
ガストンが敬語を使わなければならない相手は、元老院でも数は少ない。
年齢も、政治家として油の乗った時期である上、セルブ一門という上級貴族であり、地位は執政官。肩書としてはこの国のトップの一角だ。
だが、そんな彼の地位も、現在対面する相手には及ばない。
「そうだな・・・」
そう言って、相槌を打つのは、紫色の髪の、顎髭を蓄えた男――バシャック・ダンス・インザダーク。
四大貴族家ともいわれる、ダンス・インザダーク家――この世で最も金を持っているといわれる家門の当主にして、現在ガストンと共に執政官を務める正真正銘の門閥派のトップだ。
「しかし、おかしい話ではないか? 前に聞いた話では、『鷲』を失い、兵士の士気が落ちているとのことだったが・・・」
「・・・・」
ガストンは自身の相方の言葉に内心舌打ちをした。
バシャックという男は、ガストンからすれば金と家の力でその座に収まったに過ぎないただのお飾り当主だ。
政治家としてはよくて三流であり、家柄から門閥派のトップと祭り上げられているが、金を出す以外彼にできることなどない。
フラッグシップの『鷲』の紛失により士気が落ちるなど、どうせラーゼンによる口から出まかせの一種であり―――それに、情報としては古すぎる。
いくらカルティアとヤヌスに距離があるとはいえ、1年近く状況が変化しないなどとは、ありえない。
政治家にとって情報というのは命綱だ。
どれほど新しい情報を仕入れるか、どの情報を信じるか――それは政治家として――貴族として生き抜くための資質を問われるようなものである。
そういう意味で、かつてバルビッツという護衛隊長がもたらした1年も前の情報よりも、最近噂で流れてきた『烈空』アルトリウスという若い魔導士とその部隊の情報の方が、ガストンからすれば重要である。
既にカルティアは落ちたのだ。
昔のことに構っている暇はない。
その程度のこともわからないのであれば、やはりバシャックという男の底は知れるのだろう。
「インザダーク卿。今はそのようなことを考えている場合ではありません。ラーゼンは危険です。戦果による民衆の支持と軍隊を引っ提げてきて返ってきた彼に、我々門閥派は対抗することができませんぞ」
「ふむ・・・かといって、どうすればいいのだ?」
バシャックは髭を撫でながら答える。
いかにも自信なさげな表情だ。
「・・・とにかく、問題は奴の持つ軍です。ラーゼンの司令官の地位さえ失くせば、奴は軍団を率いる資格がなくなります。軍がなければ、いくら人気があろうとも、最悪の事態にはならないのではないかと」
今最も恐ろしいのは、ラーゼンが精強な軍隊を持っているというところだ。
もしもその軍をもって上洛してきた場合、首都の常備軍だけで対応できるかは怪しい。
それに、そもそも穏健派が簡単に元老院の指示に従うかも如何とも言えない部分である。
「しかし、ラーゼンの軍団指揮権の任期はまだ切れないじゃないか」
「―――『元老院最終勧告』を使うしかないでしょう」
「!?」
ガストンの言葉に、バシャックの顔色が変わった。
『元老院最終勧告』は、どんな事態においても優先される最終決定である。
滅多に出されるものでもなければ、採択も容易ではない。
「国家の危機」とされるときにのみ採択が可能となる緊急事態宣言だが・・・・にこれに従わない場合は、国家の逆賊と認定される。
「そ、そこまでする必要があるのか? 彼は派閥は違うとはいえ、同じユピテル人だ。戦功もあるのだぞ?」
戸惑うバシャックだったが、ガストンからしてもここは引けない。
これを機に、なんとしてでもラーゼンを無力化しなければ、自分の身が危ないかもしれないのだ。
「なにも殺そうというわけではありません。軍団指揮権を失くし、軍団を解散させるだけです。なにせカルティア遠征は終わったわけですから、軍隊など必要ありますまい」
「それは・・・そうかもしれないが・・・」
実際は、属州の統治には多少なりとも軍隊は必要だ。
領地の防衛と、属州の秩序を保つためである。
ネグレドがアウローラで募兵をできているのも、名目は領地の防衛力の強化のためである。
「今なら――執政官2人が門閥派――我々である今ならば、『元老院最終勧告』を出せます。どうか、ご協力を。門閥派の―――いえ、共和国の未来のために」
「・・・・・」
バシャックは数秒考え、短く頷いた。
次の日。
執政官バシャックの招集により開かれた元老院会議で、『元老院最終勧告』が提出された。
内容は、
・ラーゼンのカルティア方面軍司令官の任を解くこと。
・ラーゼンはただちに軍を解散すること。
この2点だ。
もしもこれらが行われない場合、ラーゼンは元老院の名の元に、国家の逆賊とみなされる。
当然、民衆派の議員は猛反発するも、数ではすでに大きく門閥派に劣る。
門閥派の中でも穏健な議員はいたが、その誰もが、ガストンの説得によって賛成に回った。
曰く、
「ラーゼンが、戦おうというのなら、それは軍隊ではなく、弁論によってなされるべきだ。そういう意味で、彼が軍を持っているというのは甚だ遺憾なことであり、逆に軍ではなく、弁でもって対決に望むのならば、我々も歓迎できよう。彼が民衆の人気と、民衆派の力によって元老院を席巻するのは構わない。しかし、武力によって我らが誉れ高き共和主義が屈するわけにはいかないのだ」
『元老院最終勧告』は、執政官2人の賛成と、3分の2以上の議員の賛成によって、『元老院最終勧告』は可決された。
だが――。
彼らは甘く見ていた。
いや、信じすぎていたといった方がいい。
元老院という、国政の最高機関。
ユピテル共和国をここまで発展させてきた強力な機構。
それらに逆らうことなど絶対にできない。
そう思っていたのだ。
もはや、形骸化した―――それこそなんの力も伴わない機構のみに過ぎないというのに・・・。
そして、彼ら門閥派にとってはもう一つ予想外なことが起こった。
「―――執政官、緊急でお伝えしたいことがあります!」
『元老院最終勧告』を出し、すっかり安心しきったガストンの元に、ある知らせが届いた。
「―――クロイツ一門が・・・多くの穏健派を引き連れ、亡命致しましたっ!」
「・・・なに?」
クロイツ一門。
ユピテル共和国の軍に多くの権力を持つ、四大貴族一門の一つ。
多くが穏健派として、中立を保っていたはずだが・・・。
「行先は・・・?」
「王国・・・ユースティティア王国と思われます!」
ユピテルの崩壊の日は、近い。
● ● ● ●
ここは、遥か遠い場所―――。
生物の存在するとは思えない島があった。
草木もなく、動物もおらず、大地は枯れ、空ですら濁った色に見える。
そんな島に、唯一人工物と思われるものがポツリと建っていた。
それは白一色で作られた城だった。
様の中心にそびえ立つ縦長の城。
明らかに人工物であるのに、人の手の物とは思えないその城に、使用人はいない。
にも関わらず、その城は朽ちもしないし、汚れもしない。
そんな不朽の城の最上階に、これまた真っ白な円卓が置かれていた。
そこに座るのは3人の少年だ。
いずれも、まだ10歳かその程度にしか見えない子供の見た目だったが、しかしそれでも、その空間が異様なものに見えるのは、彼らがどうしてもただの子供には見えなかったからだろう。
「――それで、リード。結局失敗したらしいじゃないか」
少しの間、黙っていた3人だったが、唐突にそのうちの1人――黄緑色の髪に、緑色のローブを羽織る少年が口を開いた。
「そうだね・・・八傑といっても、やっぱり片割れじゃ、そこらへんの二つ名と変わらなかったのかな」
答えるのは、リードと呼ばれた少年。
オレンジ色の髪に、赤いローブを羽織る少年だ。
双刃乱舞ギャンブランは2人で1人の八傑だ。
2人揃えばともかく、1人でならば、他の八傑に比べればやや劣る。
「――問題はギャンブランじゃない。急激な成長を見せたアルトリウスだよ」
難しい顔をして話に割り込んだのは、2人の間に座る――水色の髪に青いローブを羽織った少年、ラトニーだ。
ラトニーはそのまま続ける。
「異常――ありえない成長速度だ。ついこの間まで、精々そこら辺の二つ名と大差なかったのに・・・どう考えてもおかしい。間違いなく『特異点』だろう」
あの時点で、少なくともアルトリウスとギャンブランには絶対的な差があった。
それは、運が良かったとか、多少腕が上がったとか、そういう次元をとうに超えている。
「・・・そうだね。既に彼のせいで、いくつも『歴史』に違いが現れている。最初から完成されていたオルフェウスやジェミニとは別のタイプの特異点だね」
ラトニーの言葉に、緑色のローブの少年がため息をつく。
「リード、君の『運命視』だと、あと何回ほどチャンスがある?」
「うーん、2回か――3回かな・・・残念ながら僕に彼は見えないから、他の人からの推察だけど」
リードが答える。
「そうか・・・とにかく、奴は危険だ。アレを使ってでも・・・」
「エンヴ待ってくれ、アレは最終手段だろう? まだ様子を見るべきだ」
黄緑色の髪の少年――エンヴの言葉に、ラトニーが反駁する。
彼らのいう「アレ」は強力だが、それは本当にいざという時にしか使ってはいけない。
タイミングを間違えればこちらの計画にも支障が出るのだ。
「それに・・・僕たちが何かしなくても、もしかしたら次の戦いで何かが変わるかもしれない」
ラトニーがにやりと笑う。
「そうか! 『特異点』同士が勝手にかち合う事になるのか・・・」
気づいたように相槌を打つのはリードだ。
「そうだ。この時代にはジェミニとアルトリウス――2人の『特異点』が揃っている」
「どっちが倒れても、僕らからしたら美味しい結果ってことか」
ジェミニとアルトリウス。
いずれも彼らの力が及ばない強力な魂を持つ者だ。
2人が殺しあうというならばどちらが死んでも都合はいい。
「だけど、そんなに上手くいくかな? 今回の件、既に僕らのシナリオとは大きく異なっているよ」
「さあ、そればかりは何とも言えないね。特異点は読めない。どうしようもないさ。一応、その後にならいくつか介入できる余地もある」
「・・・せめてかラースかスロウがいればなぁ。もっと色々と手の打ちようはあるんだけど」
少し間が空いたところで誰となく言った。
その言葉に残りの2人も少し俯くが、すぐに顔を上げた。
「・・・無い物ねだりをしても仕方がないだろう。もう残っているのは僕らだけだ。これは・・・彼らを取り戻すための計画でもあるんだ」
「そうだね。僕らが消えないために・・・そして再び繁栄するために」
「うん・・・」
3人は目を合わせた。
「――運命の調停を」
「――信仰と寵愛を」
「――世界を・・・この手に」
その言葉を最後に、不朽の白城から気配は消えた。
読んで下さりありがとうございました。




