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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第96話 俺、アーサーに例え話をする

 俺は腰にタオルを巻き、温泉の湯船に浸かり一息ついていた。

 アーサーはいつも温泉ではバタ足で湯船の中を泳ぎ回るのだが、この日は俺の隣で大人しくしていた。


「あ、あのお師匠様……」

「どうした? いつもみたいに泳がないのか?」

「聞きたいことがあってですね……」

「何だ? まだお前の幼馴染が言ったこと真に受けてんのか?」

「で、でもセリーニアが言ったことは必ず当たるんです! 僕も小さい頃に何度も目にしてます!」


 アーサーは俺の肩を掴むと前後に揺らして抗議してくる。


「オッケー、一端落ち着こうか。君は幼馴染のじゃじゃ馬聖女の言う通り、俺がこの世を滅ぼさんとする破壊神になるやも知れないと思っている訳ですね?」

「そ、そこまで言っていません~」

「ま、ともかく俺が世界を滅ぼすと。今から1つお話をするゾ~?

 とある旅人が新たなる新天地を求めて旅に出て、聞いたこともない村、もしくは街にたどり着きました。

 旅人が入口に立つと側に立ってたお爺さんが『ようこそ、ここは○○の村です』と言った瞬間、旅人はニヤリと微笑みながら剣を抜き、お爺さんを切り捨てました。

 お爺さんの首筋から腹にかけて鋭い刃が通り、赤い鮮血が噴水の如く吹き出し辺りは――」

「ちょ、ちょっと待って下さい! そんな非道な! 一体何のために!? 何故初対面のお爺さんを殺す必要があるんです!?」

「必要なんてないよ。あえて言うなら、その旅人がしたかったから」

「何の意味もないじゃないですか!」

「ん? ん? ん? 今なんて言った? もう一回言ってみ?」

「ですから、意味が――」

「その通り! 意味がない! もっと言い方を変えるなら、そういう行動に移るメリットがない! 俺はこれを言いたかったの!

 そもそも俺がね? ヒールめいたプレイをするなら、初めてお前と対峙したあの時に、俺はお前を殺してるよ」


 アーサーは俺の肩から手を離し隣へ移動した。


「大丈夫……なんですよね? お師匠様はお師匠様のままでいてくれるんですよね?」

「心配症だな~、大丈夫だって安心しろよ~。あっ、そうだ! とっておきの情報をお前だけに教えてやろう!」

「僕だけに!?」

「そう! ずばり俺のジョブであるフルメタラーの唯一最大の弱点を!」

「あるんですか!?」

「弱点はありまぁす! 耳を拝借」


 俺はアーサーに弱点を耳打ちした。


「へ? それだけなんですか?」

「うん、冗談抜きでこれだけ。だから、仮に俺が狂ってお前らの前に敵として現れても死ぬほど頑張れば倒せる……かも?」

「僕、誰にも言いません! 安心して下さい!」

「おう頼むぞ。そういえばあの聖女様ってさお前はどう思ってるわけ?」

「どうとは?」

「いや、だからさ? 男女のそういう仲とか色々」

「セリーニアは子供の頃よく一緒に遊びました。家が近所だったんです。今も友達でいてくれて嬉しいです!」

「あっ……ふ~ん」


 アーサーが湯船から上がると、壁に備え付けてあるシャワーへと向かった。


「シャワー使わせて貰いますね!」

「どうぞ、ご自由に、足元気をつけてな。知ってると思うけど、ピンクの容器が体洗うやつで白い容器が頭洗うやつな」

「僕の家にある容器と全く一緒なので知ってます」

「あ、そっかぁ。そうだよな、うん」


 俺はこれからの事を湯の中に潜りながら考えた。

 数十秒思考を巡らせ、体が勝手に浮き上がるのを感じ、頭を湯から出すとアーサーが使っている筈のシャワーの辺りから話し声が聞こえてくるのがわかった。


「リ、リンさんまずいですよ……! 背中を洗ってくれるは嬉しいのですが、何故ピッタリくっ付く必要があるんでしょうか?」

「デュフフフフフ、アーサーきゅんの肌を間近で感じたいからッスよ」

「あ、あの……それにここは男風呂ですよ」

「あたしとアーサーきゅんの間に男女の隔たりなんてないも同然ッス。さぁあたしに全てを委ねるッス」


 俺は湯船から早急に上がり、アーサーに粘着しているリンの後ろをとり、バスタオルを巻いた彼女の腰に腕を回したまま後方に反り投げてブリッジした。

 そう、ジャーマンスープレックスである。


「ごめん、手が滑ったー」

「イッター!! 何なんスか! いきなり! 石畳にジャーマンスープレックスとか殺す気満々じゃないっすか!?」

「あのさぁ……男湯入ってきて堂々とセクハラしてる君こそ何なん? つーか、どうやって入ってきた?」

「フッ……甘いっすね。あたしはヒーローを極めた女ッスよ? こんな竹で出来た壁位なら余裕で飛び越えれるッス」


 この温泉の右の壁には竹で出来た大きな壁があり、言わずもがな壁の向こうは女風呂である。

 彼女はこの壁を飛び越えてきたという。


「あっそ、そりゃ凄い。じゃあ、とっとと男風呂から出ていけぇ!」

「あぁん、ひどぅい……! 何の問題ッスか?」

「何の問題? 何の為に男女分けてると思ってんだオラァン!?」

「昔の常識に囚われてるなんて古いッス。あたしは常に先を行く女ッス! さぁアーサーきゅん! 一緒にお風呂に入ってラブラブベロベロタイムッス!」

「駄目だこいつ……。早くなんとかしないと! アーサー! 風呂から出て自室に鍵を掛けるんだ!」

「え! 今からですか!?」

「この淫獣に捕まったら何をされるかわかったもんじゃないぞ!」

「わ、わかりました!」

「誰が淫獣ッスか! もう怒ったッス! 先輩!」

「何だ!」


 リンが勢い良く右手の人差し指を俺に向けてきた。


「勝負ッス! アーサーきゅんを賭けたデュエルを申し込むッス!」

「デュエルだぁ? 通しで一戦交えるって事か? お前俺に勝てると思ってんのか? 俺はロボットとヒーローを骨の髄までしゃぶり尽くした男だぞ?」

「そんなの関係ないっす! あたしは愛に生きるんス! さぁ、いざ尋常に勝負!」

「ここで!? お互い布一枚なんだけど!?」

「流石にそれはちょっと」

「地下にコロッセオあるからそこでやろう」

「あぁ~良いっすね~。じゃ、そこで」

「おう、わかった。ついてこい」

「あっ、もうちょっと待ってもらっていいすか?」

「まだあんの? さっきまでの空気感台無しなんだけど」

「髪整えたいんでちょっと時間下さいッス」

「俺もう先行ってるから、どう行くかはメイドか他のやつに聞いてくれ」

「了解ッス」


 俺はリンを置いて脱衣所に向かい、服を着てコロッセオへと向かった。

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