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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第27話 俺、喫茶店で休憩する

 ルギームの中は人混みで溢れていた。魔法大国という名は伊達ではないらしい。意外や意外ご多分に洩れず酒場、武器屋、アクセサリーショップなどが立ち並んでいた。道行く人々も流石に魔術師が圧倒的に多いが、その他のジョブの者や獣人の姿を見る事ができる。


「なんだ、中は思っていたより普通なんだな。もっとこう荒んでるのかと」

「一定の魔法……さえ使えれば……ルギームには入れるし、魔法という概念そのものに……敬意を払……ってるから、魔法を行使する……人に対しては……とても良い街だ……と思う」

「ふーん、魔術師にとっては、かなり住みやすい国ってこったか。あれ? そういや、アーサーどこ行った?」


 周りの人混みのせいで、どうやらアーサーと逸れてしまった様だ。俺は同じ過ちを犯さぬよう、エルの手を握りアーサーを見つける為大声を出す。


「アーサー! 何処だ!?」

「お師匠様~、助けて下さい~」


 アーサーの助けを耳にし、俺は人をかき分けながら声のした方へと歩を進める。アーサーは屋台の主人にキャッチされていた。


「いきなり呼び止められて、ちょっと見ただけなのに買え買えって言うです~。僕お金なんて1ローゼスも持ってないのに~」

「ハァ~、焦って損したぞ。アーサー」

「何だ。本当にスカンピンだったのかい? 困るな冷やかしは。じゃあ、そっちの……魔術師? 騎士?  まぁ、どっちでも良いや。あんちゃんどうだい? 大賢者様の、聖典に記されてた速身(そくしん)ってスキルを写したスクロールだ。ここでしか手に入らない限定ものだよ」


 俺は主人からスクロールを受け取る。


「で? これをどうすれば覚えられるんだ?」

「あんちゃん、もしかして田舎者かい? 良いか、文字が書いてあるだろ? それを指でなぞれば良いだけさ。」

「ふーん、わかった。1枚幾らだ?」

「あんちゃん達、一応魔術師みたいだからまけてあげるよ。2000ローゼスね」


 俺は主人に2000ローゼス渡す。


「まいどあり!」


 俺は主人の声を無視しアーサーの手を掴み、屋台が見えなくなった所で頭の中に(もや)がかかった様な感覚を覚える。


 こんなゴミが2000ローゼスだと? おまけに『魔術師だからまけとく』的な事言ってたな。魔術師じゃなかったら余計にボラれるとこだったのか? 速身は剣士がレベル10程度で覚えられる素早さを上げるだけのバフだぞ?


「エルちょっと聞きたいんだが、これがこの国じゃ普通なのか?」


 エルは俺の質問にコクッと頷く。


「ハハッ、ソッスカ」


 あまりの酷さに頭を抱えたくなった。

 前世の感覚で例えるならコンビニで買える100円のガムを当たり付だからと、2000円で買わされる様なものだからだ。


「ちょっと休憩しようか。何故か凄く疲れた」

「えっと……もうちょっと先に行くと喫茶店……あるから……そこに」


 俺2人とはぐれないよう手を繋ぐ。暫く歩きエルが知っているという喫茶店の前へとやってきた。見た目は大きめのログハウスの様なデザインをしていおり、看板に【リーメルの喫茶店】と書かれていた。


「へぇ、綺麗な喫茶店だな」

「私の……友達が経営してるの」


 俺は喫茶店の扉の前に立つと、アーサーとエルの手を離しヘッドの真ん中を押す。すると、ヘッドがふたつに割れ、首の後ろ辺りに収納され顔がさらけ出された。


「エル、お前が扉押してくれ」

「う、う…ん、わかった」


 エルが扉を押すとカランカランと小気味よい音がなる。


「いらっしゃいま……エル!? エルなの !? 久しぶりー! いつルギームに?」

「うん、リーメル。今……戻ってきたとこ」

「そう! 立ち話もなんだから空いてる席に座って!」


 リーメルは茶髪のポニーテールに、黒いエプロンが似合う女の子だ。性格は、エルと正反対の元気っ娘の様な印象を受ける。俺達は、リーメルの後をついて行き、薦められた椅子へ着席する。


「一応、喫茶店だからさ。何か頼んでよ」

「じゃ、コーヒー3つ貰おうか。俺はブラックね」

「僕はミルク頼んでも良いですか?」

「私はミルクと……砂糖お願い」

「オッケー! ちょっと、待っててね」


 リーメルが早歩きでカウンターへ戻っていき、プレートにコーヒーカップを3つにミルクの入った小瓶と、砂糖の入った小瓶を乗せ器用に早歩きでこちらへ近づき、サッとプレートを机に置いた。この時一切音はなっていない。プロの仕事である。


「ハイ! おまちどー! でさぁ、やっぱあれに参加する為に戻ってきたの?」

「あ……れ?」

「ヤダ。忘れちゃったの? 魔術大会よ。あと2週間ちょっとではじまるわよ? だから戻ってきたんでしょ?」

「魔術大会? そんなものがあるのか?」

「やっぱりあなたこの国の人間じゃなかったのね。そんな目立つ格好、私が忘れるわけないもの。エルがお世話になってるみたいだから、お礼に教えてあげるわ。5年に1度、この国で大賢者様の次に強い魔術師達を決めるお祭があるの。それが魔術大会よ。2人1組みのチームで行われるわ。1番になれれば、何でも1つだけ願いが叶えられるの。参加条件はただひとつ、大会期間3週間以内にこの国にいる事。この国の入り口凄い人だったでしょ? 全員、魔術大会に参加する為来るのよね。元々人の出入り激しい国なんだけど、この時期はいつもの倍以上人が来るからもうこっちとしてはウハウハよ」

「お前、仕事に戻らなくていいのか?」

「良いのよ。あたし店長兼オーナーだもん」

「そうか。教えてくれてありがとう。ん? ちょっと待った。大会で優勝できたら、本当に何でも願いを叶えてくれるのか?」

「ええ、規則らしいから。相当に無理難題でなければイケるんじゃないかしら?」

「じゃあ、俺大賢者様とやらに会いたいんだけど、それも叶えて貰えるんだよな?」


 俺がこう切り出すとコーヒーを飲んでいたエルが思いっきりブーッ! っと吹き出し、騒がしかった周りが一瞬で静かになった。


「ば! 馬鹿ッ! なんてこと言うの!? 冗談でもそんな事言っちゃダメよ!」


 どうやら虎の尾を踏んづけてしまったらしく、この場にいる全員が俺を見ていた。


「ゲフンゲフン、じょ、冗談です冗談。なぁに、ちょっとその……なんだ……腕試しをしたくってね?」


 俺は周りの皆に聞こえるようにわざと大きめの声で喋る。すると、何事もなかったかのようにまた皆喋り始めた。いや、何人かは俺の方をチラチラ見ながらヒソヒソ話をしている。


 やべー。大賢者ってのはこの国のピラミッドの頂点だったのか。今度から気をつけよう。確か爺だとエルは言っていたな。きっと美人の魔女達を側においてハーレムライフを謳歌してるに違いない。


 そろそろ出るか。これ以上俺にさっきからずっと注がれ続けている視線に耐えられる自信がない。


「ゆ、有益な情報ありがとう。そろそろお暇するよ」

「そう、わかったわ。エルの事お願いね」


 俺達は料金を払いリーメルの喫茶店を出た。

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