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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第154話 俺、地獄の主になる

 玉座に座りボーッとしていると向こうから人が1人走って近づいてきた。サーカスで着るようなスーツではなく、無駄にカラフルな色をしたスーツを着込んでおり、赤と青の二股帽子を被っている。顔面白塗りで鼻に赤いペイント、左目に髑髏(どくろ)のペイントをしたピエロだ。


「新たなる魔王様! わ、私はクラウンと申します! お役に立ってみせます!」


 無駄に勢いある自己アピールしてくんなぁ。あぁそういや指人形野郎の隣にいた奴か。


「ふーん、で?」

「で、とは……」

「何ができるんだよ」

「はっハイ! お暇にならぬ様、玉乗りや下品極まりないブラックジョークができます!」


 猛烈にいらねぇ……。刺し身パックに付いてくる大根の千切り並の存在意義じゃん。


「ん~、じゃあとりあえずこの地獄にいるハイデーモン以上の悪魔全員、俺の前に連れてこい」

「は? 悪魔達を……ですか?」

「そうだよ。早く連れてこい」

「ハ、ハイ只今ぁ!」


 そう言ってピエロは走り去っていった。


 しばらくして城の中が凶悪な面構えの悪魔達で埋め尽くされた。


「おいおいおい! やべぇって! 処刑人なんて目じゃないクラスの悪魔共ばっかりだぞ!」

「うるせぇな、ちょっと黙ってろ。悪魔共よく聞け、只今をもって地獄の主になったゲインだ。よろしく」


 そう言うと1人の悪魔が俺に近づいてきた。


 筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)身の丈は恐らく3メートルを超すであろう血塗れの様な紅い躰。手にはゴツく紫の光を放つ如何にも闇属性ですと主張の激しい戦鎚(せんつい)が握られている。顔は羊の顔面を持つ実にわかりやすい悪魔らしい見た目をしている。


「我が名はデルモス! 冥府最強の豪腕を持つ戦士! 我は貴様を王とは認めぬ! 貴様ただの人間ではないか! ここを何処と心得る!!」

「あ? 人間が地獄の主になっちゃあいけない道理でもあんのか?」

「不埒なる人間死ねぇい!」


 牛が手に持った戦鎚を俺目掛けて振り下ろしてきた。


 めんどくせぇなぁ。


 中指を親指に引っ掛けハンマーにデコピンをかます。牛の両腕が一気に上に伸びそのまま後ろに倒れ込んだ。


「あぁそういやお前等これ知ってるか?」


 俺はいつか手に入れた球体をインベントリから取り出す。


 悪魔達の視線が紫に光る球体に注がれる。


「デ、デカラビアのコアだ!」

「では、あいつを消したのはこの人間だというのか?」


 城内が一気に騒がしくなる。


「おい! 静まれ!」


 俺の声で一瞬にして城内は静寂に包まれた。


「誰か教えてくれ。こいつは何なんだ? 何をそんなに驚いているんだ」


 奥から黒いローブに身を包んだゾンビが俺の前に来ると頭を垂れた。


「お初にお目にかかる。新たなる魔王よ。我が名はテュティクス。皆からは黒衣の賢者と呼ばれておる。で、その(ぎょく)の事じゃが、それはコアと呼ばれる所謂、我等の命が結晶化した物じゃ。我等は肉体的な死を迎えても地獄へ強制送還され永遠を生きる。しかし、たった1つだけ死を迎える方法。それがコアを取り出す事じゃよ。根源たる死を迎えられる。冥府で最も自信過剰じゃったデカラビアがこの中で誰よりも先に逝くとはのぉ」


 ん? ちょっと待てよ……。


「じゃあ何か? お前等は仮に普通に殺してもまたすぐ地獄で復活できるって事なのか」

「その通りですじゃ。ですか躰を構築し直すのに大量のマナが必要になりますじゃ」


 なんて事だ。ではアーサーが課せられている悪魔の討伐なんて事実上不可能ってことじゃないか。


「えっと……ちょっと待ってくれ。じゃあお前は良いとして、後ろのお前等はどうなんだ? 持ってる武器や防具はなんの為にあるんだ?」

「わしは違いますが、大半の者は悪事を働くか戦闘で亡くなった者がほとんどですからな……。元々血気盛んなのですじゃ。冥府へ落ちた亡者に罰を与えるか、ひたすら互いを殺し合って時間を潰す位しかやる事がないのじゃよ。所で、魔王の隣にいる天使とも悪魔とも言えぬそなたは何者じゃ?」


 あぁ、ルシファーを知らないのか。……いい事思い付いちゃった。俺マジでジーニアス

 。

「ピエロ、こっち来い」

「ハイ、すぐに」


 俺はやってきたピエロの首根っこを掴み、ルシファーを作った時の様に魔力を流し込んだ。


 手を話すと眩い光を放ち、それが収まると見た目が大きく変わる。羊の様な白いモコモコとした毛に頭には小さな角が2本生えている。ふわふと浮いた台座の様な物に座ったまま何故か枕に顔をうずめている。


 うごかんな……。


「もしも~し?」


 さらに顔を近づけるとどうやら寝息をたてているのがわかった。


「おい起きろ〜」


 未だに寝息をたてたまま微動だにしない。


「起きろって言ってんだろ!」

「や〜あぁ〜」

「やーじゃねぇこの……」


 角を掴み頭を上げ現れた顔はものすごく見覚えのある顔をしていた。

 似てるとかいうレベルじゃないんだけど。えっ何これは。


「エル……?」

「ベルフェゴ〜ル。眠い〜離して〜エルじゃない〜」

「こっこれは一体!? 魔王よ! クラウンはどうなったのですじゃ!?」

「うるせぇ! ちょっと黙れ!」


 そう言えばルシファーもアーサーにむちゃくちゃ似てるんだよな……。ヤダ何これ怖い。


「――まさか」


 俺はインベントリからエルから貰っておいたチョコを一欠片ベルフェゴールへ近づける。


「甘い匂い! 甘いもの頂戴! 欲しい!」


「……」


 足を伸ばし、手……と言うか前足をブンブン振り回し口からよだれを垂らしている。

 チョコを彼女の口目掛けて放ってやる。


 血走った目のままチョコを味わうその姿に見覚えあり過ぎぃ!


 間違いないよぉ。まじりっ気なし果汁100パー並に羊のコスプレしたエルだよこの娘ぉ。


「美味しかった〜」


 どうやらチョコを食べて完全に起きた様だ。


「もっと頂戴〜!」

「もうないよ」

「うぇ〜ケチだ〜」


 ケチて。


「お前は一体何者じゃ!?」

「ベルフェゴール〜。前のあいつは消えた。もういない〜」

「何故かは知らんが、お前等魔族に俺のマナを与えると勝手に進化……いや突然変異する様だ」

「なんと……」

「所で蒸気都市にいる悪魔ここにいるか? ちょっと用があるんだが」


 特に周りにはいない様だ。つーことはハイデーモン以下と言う事が確定した。


 これは困るなぁ。

 仕方ない代わりを募るかぁ。


 俺は外格のモノアイを押すとニコニコした笑顔が眩しいアーサーの立体映像が作成された。


「いいか? こいつと戦ったら王座を譲ってやってもいい。生死は問わん」

「この少年は何者ですじゃ?」

「勇者アーサー。俺の弟子だ。こいつを殺す自信があるものはいないか?」

「我が行こう」


 後ろの方から戦鎚を持った牛が現れた。


「ほう、俺を認めないんじゃないのか?」

「いや、貴方様こそ真の魔王に相違ない。王よ、頼みがあります」

「何だ?」

「勇者と戦った折りには、私にも貴方様の魔力を頂きたい」

「構わんよ。しかし良いのか? 魔力を流したらお前は消えるらしいぞ?」

「望むところ」

「良いだろう。しかし今ではない。俺がここぞという時に現われろ。じゃ、合図を決めるか、俺が後頭部を3回掻いたら現れろ。俺はお前等と違って忙しい。わかったか」

「我が主! 我がここに残り、此奴に伝えましょう!」

「おっルシファーまじか。んじゃあそうすっか。あっそうだ。もう1度言うが俺は忙しい。と言うことで留守番係を置いとくな。おいロンメルお前、俺の代わりにここに座っとけ」

「いいのかぁ!? こんな立派な玉座にずっと座ってても!?」

「お……おう……」


 やっぱりこいつ玉座フェチの変態だったのか。


 椅子から腰を上げると、ロンメルがシュバッって来た。満面の笑みで座り心地を確かめている。


「生きてて良かった……」


 いや、お前もう死んでるだろ……。


「おい王冠もやる」


 王冠を蹴り上げ、飛んだ王冠は彼の頭にすっぽりと収まった。


「俺がこの一国一城の主だぁ! ギャハハ!」


 やっぱやめとこうかな……。


「良いかお前等、こいつはただのベンチウォーマーだから言うこと聞かなくていいゾ」


 ここにいる全悪魔が一斉に頷いた。


「じゃ俺やる事終わったから帰るから。あぁそうだ。ルシファー、蒸気都市の悪魔の所在を調べて見つけたら、俺に知らせろ」

「承知しました我が主! サモン! ヘルズゲート!」


 この地獄へ来た時と同じ門が現れ、扉が開かれた。

 歩を進んで門を潜ろうとした時、ケルベロスの3つの舌に思いっきり舐められ、生暖かい感触を覚えた瞬間、俺は鋼鉄の管だらけの場所に出た。どうやら現世に戻ってこれたようだ。

 俺はエスカの元に戻る為に来た道を戻るのだった。

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