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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第147話 俺、舞い戻る

 エスカの身体に付着した雪を払いのける作業をしながら俺達を乗せたバギーはチョッパーに乗ったビーディと並走を続けている。


『ねぇ、あのさぁ』

「ん、なに?」

『さっきからそれ何やってんの?』

「付いた雪を払ってんだよ。見りゃわかんだろ」

『それ意味あんの?』

「気になるだろうが。それにこいつが風邪引いたらどうすんだよ」

『良かったねぇ出会えて。ゲーム中全然出会えなくてずっと文句言ってたもんねぇ』

「ほんとだよ。全くこいつ作るのに3ヶ月もかかったんだぞ」

『あれ? 5年位じゃなかったっけ?』

「ペーパープランを建てるのに5年かけたんだよ。作成自体にかかったのが3ヶ月だ」

『そこまで入念に計画したのにおっぱいと体力の数値ミスっちゃったのか』

「項目のユーザーインターフェースがクソなんだよ! 文字小さすぎて読めねぇっつーの! 間違えたくて間違えたんじゃねぇよ! それにな重要なのはエルフで在ることなんだよ。謂わば、あとの要素はおまけみたいなもんだ」


 最重要なのはエルフである事だ。割とガチったつもりだが不眠不休でプレイする(かたわ)ら7千超にも及ぶ項目に数値を黙々と入力する作業には実に骨が折れた。


 出来上がって、超でかい胸が2つ付いてた時の焦燥感は筆舌に尽くしがたい。


『もっと適当にやればよかったじゃん』

「は? お前ふざけんなよ。どんだけ項目あると思ってんだよ。それにお前俺の性格知ってんだろうが」

『無駄に凝る所変わってないねぇ。俺が言うのもなんだけど難儀な性格してるよね。ところでさ、あの人の形した真っ黒なオブジェなんだろう?』


 彼の指差し方向には、黒焦げた人の亡骸が雪に埋もれていた。


「あぁ、ありゃ俺がニライカナイで焼いた雑兵共だ」

『へぇ〜電子レンジ砲を人に向けて撃ったの? けんちゃんやるねぇ! 通りでねぇ! 楽しかった?』

「別に? 何とも思わん。帝国からドワーフの谷に進軍してきてよ。ドワーフ達に戦う術がないから助けてくれって半ば強制的に連れてこられてよ。まぁお前の反応もあったしついでにな」

『ふーん。あの国の兵士か。あれ多分人間じゃないよ』

「何? ちょっと止まれ」


 バギーとチョッパーはゆっくりと停止した。


「あれが人間じゃないってどういう事だ」

『こういう事だよ』


 ビーディが黒焦げの死体に手を(かざ)すと、死体から腕が離れ彼のところまで飛来しそのままキャッチ。そして皮を剥ぎ取り、現れたには機械化されたロボットのアームだった。


『ほらね、あれは俺のデータから作られた人間の皮を被ったロボットの成れの果てなんだよ』

「なん……だ……それ?」

『意味わかんないだろ? 俺が奴等にに鹵獲されて散々データ収集されてる間に聞いたんだけどさ、あのモンスターの成り損ない共の最終目的何か知ってる?』

「あいつらの最終目的?」

『人間に成り代わって国を持つ事なんだってさ! マジで意味分かんなくね!? アハハハ! ハァ〜笑える』

「国……? 人間に成り代わって? あのモンスターとロボットのニコイチ共がか?」

『そ、も〜死体っつーか壊れたふりしてずっと情報収集してたんだけど、流石に笑い堪えるの大変だったよ〜』


 意味がわからない。そんな事して何になるんだ? 人に成り代わるだと?


「狂ってやがる」

『だから言ったじゃん。生かす価値のないサイコパス野郎共だって』

「……まぁいい。ニコイチ共の事はそのうち叩き潰す。今は……お前の事だ」

『俺? 何か気になる事でも?』


 正直酷いとしか言いようがない。塗装は剥がれてるわ、関節部は長年の放置により錆ている。1番の問題は全身を侵食している謎の苔だ。個人的に非常に不愉快極まりない。


「お前さぁ……気にならねぇのかよそのボディの汚れ……つーか苔? あと塗装も剥がれまくってるじゃんか。サビサビだしさぁ。折角のメタリックカラーが台無しじゃんか」

『えー別に気にならないよ』

「俺が気にするんだよ! クリーンで綺麗にしろよ!」

『これさぁクリーン使っても落ちないんだよねぇ。何か菌類かわかんないけど、ボディのあちこちに付いててさぁ』

「あーもう出発! 全速力であの蒸気噴出させてる建物に迎え!」

『始まったよ。1回でも気にするといつもこうなんだから。けんちゃんは』

「うるせぇオラァ! 徹底的にオーバーホールしてやるから覚悟しとけ」

『いーよこんなのは適当で〜』

「良い訳あるかぁ! ロボットとしての矜持を少しは持てぇ!」

『いや、俺は銃が使いたいからロボットを選んでる訳で別にボディとかそういうのは別に――』


 俺はインベントリからデザートイーグルを取り出し(アホ)の頭に銃弾を接射。

 頭の上半分がバラバラに吹っ飛び、パーツが雪の上に舞った。


『ちょっとーッ! 顔面半分が消え去ったんだけど!』

「消してない。ふっ飛ばしただけだ」

『一緒でしょう!?』

「一緒じゃない。早く発進しろたわけ」

『もー! 自分の思い通りにならないとすぐ癇癪(かんしゃく)起こすんだから! 幼稚園の頃はもっと可愛くて素直だったのに……』

「いつの話してんだよ! おら行けー!」

『わかったよ!』


 再び2台は走りだし、やがて蒸気都市の出入り口前までやってきた。


『こっからどうやって中に入る訳?』

「静かにしてろ」


 俺はバギーを降り、助手席まで周り未だ眠っている彼女を抱きかかえ、出入り口に更に近づくと目の目が付いたプラグの様なものが現れ、俺とエスカとビーディをしげしげと観察する。


「あんれ、あんたさんは!!。エルフと……横にいる変なのは何だっぺか? 種族アンノウンって出てんだけんど?」

「こいつは俺の友達だ。別に怪しい奴じゃないんだ。通してくれないか」

「――いいっぺよ。あんた神様なんだってなぁ。聞いたんだけんど、おらの谷救ってくれたって仲間のドワーフから言ってたッペ。神様が言うんだったら、なんだって中にいれてやるっぺ。入ってくんろ」


 こいつもドワーフだったのか。半ば強制だったけど救いっといてよかった〜って思う訳。


 せり上がった階段を上がり、俺は再びこの景気の悪い曇り空の下、スチームパンク全開の都市へ舞い戻る事ができたのだった。

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