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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第103話 俺、スゲー奴がパーティ入りする

 扉から出ると皆と目があった。


「おう、お疲れ」


 俺は扉を閉めながら片手を上げ、軽く挨拶した。


「お師匠様!? 中で一体あったんですか!? 何か謎の人物が笑いながら奥へと消えていったですが!?」

「え~、まぁかくかくしかじか色々あってだな……。つーか、お前ら平気なのか?」


 俺の真横にいる魔王は我関せずと言わんばかりに、宙に浮きながら本を読みふけっている。勿論、全裸で。


「いえ、この扉の前に立った時は凄く怖かったんですが、今は平気です」

「ふ~ん、そっかぁ。あの中は……にーちゃんが1人いただけだ。んで、他愛もない世間話をちょっとしただけ」

「そうなんですか! なんか凄く楽しそうでした!」

「あいつは……色んな意味でかわいそうな奴なんだ。放っておいてやれ」

「先輩、ちょっといいッスか? 」


 リンがアーサーの頭ワシャワシャと両手でイジりながら現れた。


「あぁ〜、いい匂い。おっとつい手が勝手に。先輩さっきの人見覚えありッス!! 何でチーフがここにいるんすか?」

「お前知り合いだったのかよ!?」

「GMのバイトやってた時の上司ッス!」

「へぇ~そうなの」


 そういえば初対面の時それっぽい事言ってな。


「紫ツインテール! いつまでアー君の髪触ってんだよ! アー君は私だけのアー君なんだぞ!」


 じゃじゃ馬聖女が急に声を張り上げ、彼女が俺とアーサーの間に無理やり割り込んで来たかと思うとアーサーの取り合いをおっ始めた。


「アーサーきゅんは皆の共有財産ッス! 独り占めはルール違反ッス!」

「ああ!? ぶっ殺すぞ! んな訳あるか! 寝言は寝て言えビッチ!」

「ビッチはそっちでしょうが! アーサーラブ勢筆頭の私を舐めてもらっちゃ困るッス!」

「ケンカはやめましょうよ〜」


 アーサーラブ勢筆頭って何だよ。長い事ハガセンやってるけど初耳だわ。

 俺は謎の派閥争いを行っている2人を無視し、エルの隣に行き軽く耳打ちする。


「協力頼むわ」

「……わかった」


 言い争うリンとセリーニアの躰が一瞬硬直した後、尻餅を2人同時に着いた。


「えっ? なに今足が勝手に……」


 俺とエルで喧嘩している2人の後ろに一瞬無詠唱のグラヴィティ・スタンプを発生させ、その影響で彼女等は強制的に尻餅を着くハメになった。


「もうここでやる事は終わった。喧嘩ならダンジョン出てからやれよ」


 2人が立ち上げるのを確認し、俺はポータルにタッチする。

 目の前の景色が一瞬歪んだかと思うとダンジョン入り口へと立っていた。


 ダンジョンから離れテントへ向かおうと歩もうと脚に力を入れた瞬間、俺を呼ぶ声が前から聞こえてくる。注視するとアルジャが手を振りながら小走りで近づいてきた。


「おい、ゲイン君! ちょっと待って。ハァ……ハァ……」

「アルジャ・岩本、まだ居たのか」

「いや〜ダンジョン適当に走り回ってたらゴーストに呪い殺されちゃってさー。ダンジョン入り口に戻されちゃった。っていうか死なない様に出来てるんだね。流石、規制解除版のアジュラスⅦ式。ダンジョン内では最狂の性能を誇る外格だねぇ。


「て……照れるのじゃ……」


 イザナミの青白い顔が薄ピンク色に染まる。


「イザナミが照れてる」

「そう? 事実を言ったまでなんだけど。それよりさ、聞いてくれよ。これ幸いとここを出ようと思ったんだけど、よく考えたら僕ってこの世界の事なーんにも知らないんだって事に気づいてさ。それ以前に誰も目すら合わせてくれないんだ。差し出がましいと重々承知しているが、君さえよければ僕を仲間にしてくれないか?」

「あー……俺は良いけど……」


 後ろには既にアーサー達が来ており、約1名を除き、アルジャを化物でも見るかの様な視線を送っている。


「チーフ! やっぱそうッスよね!? 私ッス! リンッスよ!」

「その後輩口調はリン君!! 君もこの世界に来ていたのか! いや久々だねぇ!」

「まさかッスよ! ちょっとビビったッス!」


 リンがアルジャに近づくと握手を互いに交わした。


「リンの後輩口調は素なのか……」

「大丈夫ッス皆! この人知り合いッス! 色々怪しい人だけど、怪しい人じゃないッス!」


 どっちだよ。


 リンの友人である事が皆に伝わった様で俺達の元へアーサー達が近づいてくる。


「え~っと、皆こちらアルジャ・岩本」

「うお~、アーサーとセリーニアが実際に生きているとは……」


 あ、この流れやべぇ。


「え? どこかでお会いしましたっけ?」

「私ずっと豚に監禁されてたのよ? こんな人知らないわ」


 修正しないと面倒な事になる。


「えっと、ほら! アーサーは王都の危機救ったし、聖女は予言で有名だから!」

「「あぁ〜」」

「ん? なんの事だい?」

「褐色のお兄さんちょっと2人でお話しよう!」


 俺はアルジャの服をつまみ、木の陰へ歩いていく。


「良いか? 今から言う事絶対厳守で頼む。アーサー達に俺達が転生してこの異世界へやってきた事は口が裂けても言わないでくれ」

「理由は?」

「件の話をこの世界の住人に言うと黒い球体の神にちょっかい出されるらしい。曰く友達を消されただの、顔の皮を持ってかれただの、夫を消すと脅されただの。冗談抜きでやべー事が起きるらしい」

「黒い球体の神だって? あいつ死んでないのか」

「知ってるのか!?」

「会った時言っただろ? 魔王が白と黒が入り交じった変な球体と戦ってたって。魔王が言うには不穏分子だから片付けたって話だった……かな?」

「その通りだ。あれは生かしておいてはならん」


 ずっと本を読んでいた魔王が俺達を鋭い眼光で睨んでいた。


「倒せなかったのか?」

「致命傷を与えた筈だが、どうやら浅かったようだ。粉々に砕け散ったと思っていたが、分裂して逃げおおせたとはな。奴め、人間を勝手に消しおって! 元は我のマナなのだぞ! 生きとし生けるものは例外なく最期の時、そのマナは我へと還元されるのだ! それを! 奴はマナそのものを排除してしまうのだ! これでは我の元へ還ってこぬ! 由々しき事態なのだ!」


 えっと、つまりこういう事? せっかく食べようと思っていたプリンを先に食われたから腹立ってるって事?


「食い意地張ってるだけかよ! 俺たちは冷蔵庫で眠るプリンかよ!」

「まぁ、そういう事になるね」

「お前何でそこ冷静なんだよ!」

「だって魔王だし。それに死んだ後の話だしねぇ」

「その通り、我は魔王である」


 何でドヤ顔しながら俺の方見てんだこいつ。ま○毛ぶち抜くぞ。


「もういい! 良いか? マジで注意してくれよ」

「肝に銘じとくよ」

「我は読書に戻るぞ」


 魔王は再び本を読み始めた。


「よし、魔王も静かになったし、皆の所へ戻ろう。エスカとエルにも挨拶してくれ」

「良いよ。あのビキニアーマー着た女性と、背の低い魔術師の女の子へ自己紹介すればいいんだね」


 俺が皆元へ戻ると、アルジャはエスカとエルに手を握って挨拶しだした。


「はじめまして。ダークエルフの騎士さん。アルジャ・岩本と言います。魔術師のお嬢さんもこれからよろしくお願いしますね」

「エスカだ。こちらこそよろしく頼む」

「エルメンテ……よろしく。長いからエルで……いい」

「よっしゃ! 自己紹介も終わった! 遂にこことは別の大陸へイクゾー!」

「ごめん、ちょっと水貰える? ここ砂ぼこり凄くて口に砂入った」

「せっかく気合い入れたのにー。ハイ水」


 俺はインベントリからコップを取り出し、次にクッキングクリエイトを起動させ水を生成。空中に緑色の魔法陣が形成され、そこから水がコップへ注がれていく。


「悪いね。んー! この水うっま!」

「まぁ、俺にかかればたかが水であろうと超激旨天然水に早変わりよ」

「なるほどね。草木や土の匂いもちゃんとするねー。やっぱ現実なんだなぁ」

()ってどうだったっけ?」

「匂いのエミュレートなんてやってらんないよ。できないこともないけど膨大な容量が掛かる。とてもじゃないが……砂……土か。ふん……」

「やろうと思えば出来たのかよ。それはそれですげぇな……。って何やってんだお前」

「いや、ちょっとね……。味も見ておこう」


 アルジャは(おもむろ)に地面の土を鷲掴みにしたかと思うと口へと運んだ。


 何だこいつ!? いきなり土食い始めた!?


「うーん。なるほどなるほど」


 絶対不味いだろあれ。何考えてんだ?


「っペ! まっず!」

「当たり前だよなぁ?」

「ですよねー! いや、やっぱちゃんとした土だわ。うん」

「頭が良いやつの考える事は俺にはわからんわ」

「匂いと来たら当然味も見るだろ。水もう一杯」

「これもうわかんねぇな。ほらよ」


 アルジャがコップを差し出してきたので、さっきと同じ要領で魔法陣から水が流れだしコップへと注がれる。

 それをアルジャは口に含みうがいをし、飲み込んだ。


「吐かねーのか……」

「あー、美味しかった。どうもね。じゃ、君のホーム見せて貰おっかな!」

「よっしゃ、今度こそイクゾー!」

「あ、ゴキブリちょっと待って」

「もー! 気合入れる前に言えや! おめーもかよ!」

「私を天使の所まで連れて行きなさい。今すぐよ」

「何だ? 忘れ物か?」

「そうね。ある意味ではそうと言えるかも」


 何時になく真剣な眼差しで俺を真っ直ぐ聖女は見つめる。


「てめぇ……何しに行く気だよ」

「落とし前つけに行くのよ。あの天使の元へ行くにはあんたの力がいる」

「俺の手を握れ」

「こう?」


 セリーニアが俺の手をしっかり握りしめたのを確認し、俺は彼女を抱くと背中と脚部のブースターを起動させる。躰が徐々に上空へと上がっていく。


「何か野暮用あるみたいだからちょっと行ってくるわ! アルジャこれやる!」


 俺はインベントリから鍵を取り出し、アルジャへ放り投げる。


「スペアキーだね。ありがとう! 気を付るんだよ!」


 俺はセリーニアを天使へ届ける為、飛行を開始するのだった。

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