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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第100話 ダンジョン攻略組vsオーディーン

「とりあえずダンジョン攻略へ乗り出すぞー。アーサー、悪いんだが皆をエントランスへ集めてくれ」

「わかりました!」


 アーサーが元気よく返事すると順々に皆の部屋へ行き、エントランスにエスカ達が集った。


「ちょっといい加減降ろしなさいよ! このゴキブリチンカス野郎!」

「うっせぇな。わかったわかった」


 おれは聖女を下ろすとエスカの方に向き直る。


「エスカ、どんな姿でどの程度戦ってどんなふうに負けたのか、適当でいいから教えてくれ」

「はい、相手は冷気をまとった剣にくすんだ王冠を被った老齢の剣士でした。

 動き自体は余り速くありませんが、徐々にフィールドが氷で埋め尽くされていきこちらの動きを阻害され、

 油断した所に一撃を貰い既に5回は入り口に戻されました」

「オーディーンッスか? あれって確か……」

「5回ねぇ。ユニークモンスターであるオーディーン、フルネームを氷晶の北欧神オーディーンを倒すのは骨が折れる。

 だが、不可能じゃない。世の中には縛りプレイつって、あえてハンデを抱えながらモンスターを倒すのが楽しみって輩もいる。

 良いか? ユニークモンスターは強い。強いが無敵じゃあない。あいつ等にはな、明確な弱点があるんだよ」

「弱点! 思い出したッス! 確かアイツは左眼が潰れてるんスよ!」

「な、何! そ、そういえば一度だけ私の攻撃が入ったことがあった! その時左から攻撃を仕掛けました!」

「リンの言う通りだ。あいつは左眼が見えない。だから左側面からの対応に遅れが生じるんだ」

「ハ、ハイ! ちょっと良いでしょうか!」


 アーサーが手を上げてアピールしている。


「確かにあの時エスカさんの放った剣撃が入ったのを見ました。

 でも、入ったのはあの時の一撃だけで他の左側面からの攻撃は全て防がれていたんですが……」

「おぉ、良い所に気がついたな。件の入った時と防がれた時には明確な違いがある。それを思い出せ」


 エスカ達がまぶたを閉じ押し黙っていると、エルが目を見開き手を上げた。


「ハイ……あの時焦った私が……ライトニングボルトじゃなくて火……属性魔法のフレイムショットを敵にぶつけたの。

 その時……敵の両隣にあった氷柱が溶けた。あれが溶けたことでエスカ……の攻撃が入った?」

「よくそこに気づけたな、素晴らしいぞ」


 エスカとアーサーが俺の方へ向き直る。


「では!」

「あいつはなフィールドに出来上がった氷柱等を鏡代わりにして左目の補佐してやがるのさ。

 更にあいつは水と土の属性を併せ持つ性質を持ってる。もっと言えば両隣以外にある氷柱は氷ではない。ありゃ冷気を纏ったクリスタルなんだ」

「ク、クリスタル!? なるほど! フィールドに出来上がったクリスタルで私達の位置を把握していたのか!」

「左右にある氷柱がそのクリスタルを生み出すファクターになってんのさ。わかったか?

 最後のアドバイス、あいつは人となりは変わらんし喋りもするが、モンスターである事に変わりはない。気負わずぶち殺せ。以上だ」

「ちょ、ちょっと待ちなさい! 私はどうすればいいのよ! 私ヒーラーだけどまともな回復呪文覚えてないわよ!?」

「あっそっかぁ、まぁ問題ない。お前は後方でそのメイス持って後方に突っ立っとけ。回復は俺がやる」

「ハァ!?」

「ハイ! ハイハイハイハイ!」


 リンが手を左右に振りながら大声を上げている。


「先生あたしは何やるんか!? やっぱ前衛っすよねー! 任せて下さいッス! オーディーンは攻略方法知ってるんでフルボッコ余裕ッス!

 ぶっちゃけユニークモンスターの中でもあんま強いと感じないんスよね~。おんなじ神系のユニークなら阿修羅の方が――」


 リンが手を左右に振りながら大声を上げている。


「誰が先生だ。おっとごめん、お前はおやすみね。お前が参戦しちゃうと経験値配分少なくなっちゃうから」


 俺がそう言うとリンの目からブワッと涙が吹き出した。


「どぼじでぞんなごどいうんずが~。ぜっがくのヒーローの見せ場だのに~」


 一瞬で鼻水と涙でぐしゃぐしゃになった顔のままリンが俺に近付いてくる。


「うわああああああ! 顔を近づけるな! 外格に付くだろうがああああああ!」

「せめでもの復讐にマフラーで拭きらせでもらうっず~。覚悟~」

「てめぇリン! それやったら割とマジで怒るぞ! ああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 リンは俺の忠告を無視しマフラーに顔を押し付けると両手で思いっきり顔を拭き出した。


「――ふぃ、しょうがないッスね! 今回だけは席を譲ってあげるッス!」

「うっわ……マジで拭きやがったこいつ。信じられんマジかこいつ……」

「さぁ! そうとなれば時は金なり! いざ、ユニークモンスターへ! イクッスヨー!」

「お前が仕切るんじゃあねぇ! 行くぞオラァン!」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! もおおおおお! 何なのこいつら!」


 俺達はエントランスの扉から出るとダンジョン入口へ歩を進める。


「よっしゃ、じゃお三方はオーディーンがいる間の前で待機してるように」

「ハイ! わかりました」


 アーサーがいつもの如く元気な返事をし、3人はポータルの中へと入っていった。


「私達はどうするのよ? 追うの?」

「んな訳ねぇだろ。ちょっと待て準備する」

「準備?」

「チェインジ! アジュラスⅦ式!」

「では、ゲイン様。しばしのお別れです」

「うむ、ネメシスもご苦労」


 外格が独りでに外れ組み上がっていき、お辞儀をすると同時に消え、軽い衝撃が体に起こり換装が完了する。


「暫くじゃのお前様。白い奴は倒したのかえ?」

「その件は保留だ。今はダンジョン攻略へ矛先を向けることにした」

「そうか、お前様がしたいならイザナミは全く構わぬぞ? おや? こやつがネメシスの嬢が言っておったヒーラーかえ?

 何やら口を開けてイザナミの方を見ているが?」

「な、ななな、何よその姿!? さっきのネメシスさんや真っ黒な甲冑は何処にいったの!? あんた何者よ!?」

「俺ジョブは状況によって姿形やスキルやらパッシブスキルが変わるっていう変わったジョブなんだよ。今喋ったのはイザナミだ」

「よろしく頼むぞ。よ、妖精のイザナミなのじゃ。ネメシスの嬢が言っておったが、確かにこれ恥ずかしいのじゃ……」


 脳裏に浮かぶイザナミの病的なまでに青白い顔がほんのりピンクに染まり、袖で口元を隠している。

 見れるの俺だけなんだし、別に恥ずかしがる必要性はないんじゃなかろうか。

 まぁ良いか、こういうAI達の可愛い仕草を独り占め出来るのもフルメタラーならではだな。


「そ、そんなジョブ聞いたことすら――」

「だろうな。もうロストテクノロジーらしいから」

「あたしのジョブもそんな感じッスよね」

「だな。どっかのイケメンマスク魔術師がいらん事したお陰でな。うっし、お前らダンジョンロビーにある赤い絨毯の所まで行くぞ。付いてこい」


 2人を連れてロビーのある一角まで案内した。俺が座っていた絨毯はそのまま残されていた。荒らされた形式等も無いようである。


「一人ずつその絨毯に座れ。まずは聖女」

「何よ? この絨毯に座ってどうなるってのよ?」

「良いから座れ」

「チッ、座りゃ良いんだろ。一々うっせぇな、わかったわよ。これでいい?」

「ああ、動くなよ? あぶねぇから」

「危ない?」


 聖女が座ると後ろの壁が消え、暗い奥の空間から1人掛けの黒いソファーが現れ、聖女が聖女が尻餅をつく形で椅子へと座った。


「なになになになにー!?」


 困惑する聖女はそのまま暗闇へ消えていった。


「はい次」

「おじゃましまーッス」


 同じようにリンも絨毯へ座ると椅子が現れ、そのまま座ると暗闇へ消えていく。


「よし」


 俺も全く同じプロセスを得てモニター類がある空間へと到着する。


「何よ何なのよあんたはー!?」

「うるせぇ! ギャアギャア喚くな! イザナミ、今アーサー達は何回層にいるんだ?」

「うむ、今500階層の扉の前におるの。どうやら終点のようじゃ」

「お~、この短期間で500階層まで拡張されたのか。いい傾向だ。きっと他の大陸でもダンジョンが出現してることだろう。よし、座標Yの4900へ合わせろ」

「うむ、完了した」

「よし、では行くぞ」


 3つの椅子が同時に動き出し一点の光指す空間へ移動を開始する。

 みるみる光は大きくなっていき、視界全体が光りに包まれたかと思うと目の前にはアーサー達の姿があった。


「お師匠様! セリーニア! リンさん! いつの間に!?」

「今来たところだ」

「こ、怖かった……」

「アーサーきゅーん!」

「では、今からこのダンジョンの主であるユニークモンスター、黄昏の北欧神オーディーンを打倒する! 各員の健闘を祈る!」

「ねぇ……ゲイン、ちょっと考えたんだ……けど」

「どうしたエル?」

「フレイムショットよりフレイムタワーをあいつの……左右に配置して一気に氷柱を破壊しようと思う。どう?」

「良いんじゃないか? 確かになら上手く魔法陣を配置できれば1つずつ破壊する手間を省くことが出来るな。

 でも、俺がお前だったらフレイムタワーよりボルカニック・シザーにするな。

 それをお前がさっき言った要領で左右に配置すれば氷柱が生成されるのを阻止できる確率が上がる」


「ボルカニック・シザー? 確かに覚……えてるけどあれは魔力の消費が激し……過ぎる。

 フィールドの延焼効果で確かに防げる時間は上がるのかも……だけど」

「騙されたと思ってやってみ? いい感じになるから」

「ん? うん、わ……かった」


 正面にある巨大な赤い扉を開けると広いフィールドへ出た。

 目の先には王冠を被り、剣を携え白髪を生やした老齢の剣士が立っている。


「また性懲りもなく来おったのか、愚かな。貴様らではわしには勝てぬ。立ち去るが良い」

「行け! アドバイス通りにやれば必ず勝てる! アーサーとエスカはとにかく攻撃しまくれ!

 重要なのは後衛のエルにヘイトを向けさせない事だ! リンはエルと聖女を守ってやれ!」

「何だ、あたしにも役割あるんじゃないっすかぁ! 水臭いっすよ~」

「悪いわね。何だかよくわからないけど」


 リンが聖女とエルの前へ陣取り、前衛であるアーサーとエスカが左右に別れ、オーディーンへと突撃していく。


「作戦通りに往くぞアーサー! ハァアアアアアア!!」

「ハイ! エスカさん!」


「エルはボルカニック・シザーだ!」

「わかった、これ……!? どういう!?」

「気付いたか? これはあの聖女が持つメイスのパッシブスキルによるものだ。さぁ、あのしみったれた爺に一泡吹かせてやれ!」

「ボルカニック・シザー!!」

「私? このメイスが何?」


 エルが詠唱するとオーディーンの左右にある氷柱の隣に紅い魔法陣が現れ巨大な火柱が顕現する。

 左右に現れた巨大な火柱は互いを求め合うかのようにして斜めにしなり交差したか思うと、氷柱を巻き込みながら激しく燃え盛り爆発を起こした。


「彼奴ら感づきおったか!?」

「ハァ!」


 アーサーの刺突をオーディーンは容易く右手で持った剣で右へといなす。


「そのような遅い突きで届くと思うなぁ! 突き返してくれる! 死ねぇい!!」

「!?」


 オーディーンは口を開けると口内から銀色に光る槍を繰り出してきた。


「トライデント!」


 アーサーに槍が突き刺さろうとした瞬間、アーサーの腹部に金色の盾が出現し致命傷は防がれた。


「うぐッ!?」


 盾が消えると間髪をいれず、金の三叉槍さんさそうがアーサー腹部辺りから現れ、オーディーンの腹部に深く突き刺さった。


「小僧! わしの十八番であるグングニルの真似事をしおったか!? ハッ! 馬鹿めが! まだまだ青いわ! 至近距離貰ったぁ!」

「僕は注意を反らしただけです」


 オーディーンが右手に持った剣をそのまま左へ横薙ぎしようとした瞬間、左から腹部にかけてエスカのニーベリングスレイヤが深々と突き刺さった。


「何ィ!? わしに気を逸らすためにわざと捨て身に出たというのか! フッハハハハハハハハ!! 天晴あっぱれじゃ! 気に入ったぞ!」

「クッ!? こいつ!? 私のニーベルングスレイヤをものともしないのか!?」

「退けい! もうお主等と争う気はない。我が主への面会を許そうぞ!」

「どういう事だ? お前がこのダンジョンの終点なんじゃねぇのか?」

「お主がこの集いの長か。いや違う、わしはただの門番に過ぎん。久々に良い戦いであった!」


 オーディーンは立っていたその場から半歩横へずれる。奥には更に扉が存在していた。


「イザナミに察知出来ぬ扉だと!? データ上ではこのような扉は一切確認されておらぬのじゃ!?」


 腹に突き刺さっていたエスカの剣を引き抜きその場に放ると、オーディーンは扉へと手をやる。


「往くがよい。貴様らにはその資格がある」

「お前何故死なない? エスカのニーベルングスレイヤはなまくらじゃねぇ。どうなってやがる」

「わしは死なぬようにできておる。我が主の友人が施してくれた奇天烈な魔法による作用よ」

「お前様!? こやつの体力の値を見るのじゃ!」

「何……だと?」


 表示された体力の数値は数字ではなく無限を意味する記号、メビウスの輪が表示されていた。

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