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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第1章

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95、父と子2

その日の夕食で父上が一連の説明をしてくれた。


「そういう訳でダキテーヌ家のパトリックを殺った。カースは奴の弟と同じ組だから気まずいかも知れんが、こちらに非はない。堂々としておけ。」


「うん、わかった。その時の父上って相当カッコよかったらしいね。見たかったよ。」


父親が同級生の兄を殺害した。

文字にしてみれば大事件だけど、こちらに非がないってのもすごいことだよな。

普通の貴族達って横車押し放題なんだろうな。だから勘違いしたままクタナツに来てあっさり殺される。

フランティアの他の街もこうなんだろうか。


「今日は疲れた。風呂に入るとしよう。オディロンも来い、背中を流せ。」


「いいよ。たまには親孝行しないとね。」




風呂場にて。


「ふー、上級貴族は面倒だよな。お前は大丈夫か? あの子がリーダーなんだろ?」


「うん、問題ないと思うよ。それより父上、あいつを斬ったのは僕にやらせたくなかったからだよね? 確かに後五秒あれば僕が殺ってたけど。」


「ふふ、我ながら親バカだな。あんなバカのためにお前の手の内がバレるのが気に入らなくてな。」


「あ、そっち? てっきり手を汚して欲しくないとかそんな感じかと思ったよ。

だったら血を乾かしたりしない方がよかったかな。」


「ふふ、一部ではお前の洗濯魔法は有名だからな。多少は問題ないさ。首を血が吹き出す前に乾燥させたのはまずかったかな。それより早く童貞を捨てておけよ。」


「ひどい親だな。息子に殺人を勧めるの?」


「さあな。どっちの童貞かは知らんぞ。

そうそう、ウリエンにも言ったことだがな、安い娼館には絶対行くな。行っていい店はクタナツだと『凰媧楼(おうかろう)』しかないな。」


「そもそも行く気はないけど、安い店はなぜだめなの?」


「簡単だ。ロクな女がいないからだ。運が悪ければ病気持ちもいる。まあお前の魔力なら感染(うつ)されることもないだろうが。」


「なるほど、そういうものなんだね。そういった経験を積むべきかどうか分からなくなってるんだよね。マリーしか興味はないんだけど、その経験はマリーのためになるのか、ならないのかがさ……」


「難しい話だな。考えてみろ、マリーは奴隷の身だ。つまりお前の想像を超える経験をしているだろう。だからお前も経験を積むのか、それとも積まないか。どちらでもいいさ。悩んでも分からんことは勘で決めてみな。」


「そうだね。金貨百枚貯まるまでまだまだかかりそうだし、じっくり悩んでみるよ。」



こうして父子の語らいは終わった。

この家族はいかがわしい話をする時はいつも風呂のようだ。

きっと実りある会話なのだろう。

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