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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第3章

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153、殺しの美学

ポイントが10000に到達しました!

これもお読みいただいてる皆様のおかげです!

ありがとうございます!

これからもダラダラと続く異世界金融をご贔屓にお願いいたします!

クタナツを出て再び領都へ戻る。昨日からバタバタしてるな。本当なら今日にでもフェアウェル村に行く予定だったのだが、この件が片付くまで動けそうにないな。カムイを連れてきておいてよかった。きっと我が家の警備は万全だ。


ただいまカムイ。「ガウガウ」


「おかえりなさいませ坊ちゃん! 聞きましたよ! 勲章をいただいたそうで、おめでとうございます!」


「ただいま。王都が無事でよかったよ。」


いや、そこまで無事ではないのか?


「ラグナさんから聞きましたわ。ダミアン様が危ないそうで。」


「そうなんだ。だからここも危ないかも知れないからさ。マーリンも注意してね。」


ラグナめ、きっちりマーリンに挨拶を済ませたようだな。


「お食事にされますか?」


「ああ、頼むよ。今夜は僕一人だし、マーリン達も一緒に食べない?」


「ええ、ぜひとも。」

「私は遠慮いたします。」


リリスはつれないな。


「マーリンはお酒飲むんだったっけ?」


「ええ、安酒を嗜む程度ですが。」


ならばこれを振舞ってみよう。ラウート・フェスタイバル。アルコール度数も高くないし、甘口で飲みやすいからな。




私はマーリン、そしてコーちゃんとワイワイ酒や料理を楽しんでいる。カムイは酒は飲まない。ヒュドラの肉をもっと寄越せと吠えている。

そこにラグナが帰ってきた。何だこいつ? 小綺麗な格好しやがって。ダンスパーティー帰りか?


「ああボス。帰ってたんだねぇ。マーリンさんただいま。」


「おう、いいカッコしてるな。何やってたんだ?」

「おかえりなさい。お疲れでしたね。」


「ダミアンに会ってきたよぉ。情報のすり合わせにねぇ。それよりアタシの分はあるのかぃ?」


「まあ座れよ。好きに飲み食いしな。それで? 何か進展はあったのか?」


「プハァッ! ボスにしちゃあまあまあの酒じゃないかぁ。ラウートかい? シャンパイン・スペチアーレはないのかぃ?」


このやろう、いきなり一気しやがって。そこらの安酒じゃないんだぞ?


「そんなもんあるかよ。あったらアレクと二人だけで飲むっての。」


「ボスでも無理かぁ……で、報告なんだけどさぁ……」


そこそこの殺し屋に繋がる『蔓』を一人確保したらしい。ラグナがグレゴリウス伯父さんに教えた情報のうち、敢えて摘発されてなかった村、闇ギルドが身分ロンダリングなどに使う村があったらしい。今回の蔓はその村からはすでに転居しており、大胆にも領都のボロ長屋に居たと。


「そんなわけで今頃はダミアンと領都の騎士団が取り調べ中さ。一筋縄でいく相手じゃなければいいねぇ。」


「ん? どういう意味だ? 敵が強いと燃えるってか?」


ラグナって脳筋タイプだっけ?


「もちろん違うさぁ。敵は弱いに越したことはないねぇ。アタシが言ってるのは手強い奴でないとロクな情報なんか持ってないってことさぁ。一流の殺し屋は蔓も一流だからねぇ。」


「てことは? 毒針は蔓も超一流なのか?」


「そうなるねぇ。と言っても毒針がガンガンに動いてたのは三、四十年前。果たして蔓も本人も生きているのかねぇ?」


だよな……


「まあいいや。引き続き頼むわ。今回の分は金貨五十枚ってことにしといてやるよ。」


殺し屋は大金貨一枚と約束したが、蔓については何も言ってなかったからな。これぐらいサービスしてもいいだろう。


「ありがとねぇ。全くボスの金の使い方は闇ギルド顔負けだよぉ。あ、そうそう。報告し忘れたことがあったねぇ。」


「ん? 何?」


「ダミアンだけどねぇ。太さ固さ持続力は問題ないんだが腰の使い方がダメだねぇ。激しくすれば女は感じると勘違いしている典型的なタイプだよぉ。まだまだだねぇ。」


「そんな気持ち悪い報告なんか聞きたくなかったぞ。バカやろ、ボーナスなしにするぞ。」


ダミアンの性能など知りたくもない。


「ええー!? 勘弁しておくれよボスぅ……もうしないからさぁ……」


「分かればいい。男を食い散らかすのは構わんが、報告なんかいらねーぞ? あ、もし俺の同級生に手ぇ出したら殺すからな?」


「わ、分かってるよぉ……若い男も嫌いじゃないけど、さすがにボスのダチは……ねぇ?」


すっかり話が逸れてしまったが、確実に包囲網は狭まってるってことだな。


しかし何だな……

殺し屋ってなぜ殺し屋をやっているのだろうか。生まれながらの環境で……生きるために……殺しが好きだから……ロクな理由がないな。

では逆に考えてみよう。

殺し屋をしてても許される理由ってあるのだろうか?


殺人許可証(マーダーライセンス)を持つ男……それはむしろ要人警護の範疇だよな。偉大な政治家を守るために率先して手を汚す気高い男……しかしアウトだな。

牙を突き立てろぉおおお! って言いたい気持ちは私にもあるかな。いやいや何を考えてるんだ……


『殺し屋がいるから犯罪が起きるのではない。犯罪が起きるから殺し屋(おれたち)が必要とされるのだ……』

やはりアウトだな。殺しの依頼を引き受けてるんだから。

俺は依頼人と二度会うことを好まない……くっ、言ってみたい……


『この世には法律で裁けない悪がいる。だからこそ殺し屋(おれ)殺し屋(おまえ)が必要なんだ。』

いやいや、殺し屋が必要な社会って何だよ! ローランド王国の場合だと虐げられた平民がいたとしても、一流の殺し屋に復讐を頼もうにも依頼料が用意できないよな。つまり殺し屋は金持ちや権力者の味方! 義賊的な奴なんかいるはずがない。よって総じて殺し屋はクソだ。おっとスパラッシュさんは例外で……

おかしいな、あの程度の酒で酔ったのかな?

思考が変な方向に向いているようないないような……よし、風呂に入ろう。カムイ、行こうぜ。洗ってやるよ。「ガウガウ」


マーリンとラグナとコーちゃんは仲良く酒を飲んでいる。リリスも飲めばいいのに堅物め。

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