284、ウリエンのハーレム
アレクと領都に帰る前日。
王宮から使者がやってきた。王太子からは私とカムイに贈り物だ。私にはオリハルコンの指輪、カムイにはオリハルコンのバッヂだ。これで私達五人組にオリハルコンの指輪が揃い、コーちゃんとカムイもお揃いのアクセサリーでキメられる。
バッヂにはしっかり神代文字で『神威』と彫り込んである。王太子め、名をくれるとは粋なことをするじゃないか。
ちなみに国王からは直属の身分証明書とやらを貰った。
昼からはウリエン兄上と姉上がやって来た。
今日はおじいちゃんもおばあちゃんも揃っている。
「おじいちゃん、色々とご心配をおかけしました。どうにか丸く収まりそうです。」
「おおウリエン、そうかそうか。平和が一番じゃ。」
結局兄上争奪戦で死んだのは予選で数十人、決勝トーナメントで一人らしい。王国一武闘会より死者が多い……
「それで兄上、結局ハーレムだよね? やるねー!」
「カースだってアレックスちゃん以外にいるんだろう? モテるじゃないか。」
その言い方はまるで他に女を作っているかのようだぞ?
「ソルダーヌちゃんが言い寄っては来てるけど、あんまり興味はないんだよね。まあアレクとしてはソルダーヌちゃんも迎え入れてあげて欲しいみたいなんだけど。」
「お互い大変だな。」
いやいや、絶対兄上ほどではない。
「じゃあウリエン、結局何人集まったの?」
おばあちゃんも気になるのかな。
「五人ですかね。第一夫人がエリザベスで、第二夫人がティタニアーナ。それ以外は序列なしの側室扱いでアンリエット、オウタニッサ、デルフィーヌですね。」
おお、王家や大公家の姫を呼び捨てにしている。すごいぞ兄上。
「さすが兄上! あれだけのメンバーをハーレムに囲うなんて、きっと勇者ですらできなかったことだよね!」
「カースのくせによく分かっているじゃない。兄上は勇者以上の男なのよ。」
兄上を褒めると姉上の機嫌が良くなる。これはもはや常識。
「でも姉上はよくハーレムなんて許したね。姉上のことだから皆殺しにするかと思ったのに。」
「アレックスちゃんに言われて気付いたの。大勢の女を従える男の寵愛を受けてこそ王国一の女じゃないですかってね。」
たった一言で姉上を操るとは……恐ろしい子だ。さすがアレク。
「男の価値は女の数。王家の姫すら従えるウリエンお兄さんだからこそエリザベスお姉さんに相応しいのではないかと思いましたので。」
兄上は苦笑しているが、姉上はご機嫌だ。それほどの男の第一夫人だもんな。どこまで行くんだ兄上は。
「それで兄上、家はどうするの? やっぱりまだ王都に住むの?」
「ああ、もう三年ぐらいは王都かな。それから退役できたら全員でクタナツに帰る。親孝行しないとな。」
こんな時でも親孝行。カッコよすぎるぜ。
「ティタニアーナとデルフィーヌがお金を出して大きな家を建てることになってるわ。完成したら遊びに来るのよ。」
「喜んで。次にいつ王都に来るかなんて分からないけどね。」
姉上まであの二人を呼び捨てかよ。遊びに行ったら更地だったってことはないだろうな? ケンカするなよ?
「そういえばおじいちゃん。ゴモリエールさんとの対戦っていつなんですか?」
「おお、三日後じゃな。六日後ぐらいにグレゴリウスもやる予定じゃ。もうワシは魔道貴族ではないからの。好き勝手に動けるわい。」
「そうでしたか。頑張ってくださいね!」
それは残念。見たかったな。まあ帰る前にゴモリエールさんとエロイーズさんに挨拶ぐらいしに行こう。宿はおじいちゃんが知ってるみたいだし。
夕方までまだ時間があるし行ってみよう。最後の王都散策だ。




