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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第2章

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260、カース、出頭

パイロの日。せっかくの休みだろうにおじいちゃんには申し訳ないな。私を連れて王城に向かっている。アレクとコーちゃん、そしてカムイも一緒だ。おじいちゃん曰く、力を見せておくのも悪くないそうだ。


そして城門を通り抜け、前回とは違う方面に向かっている。ここはどこだろう?


「さあ着いたぞ。こっちじゃ。」


おじいちゃんに連れられて向かっているのは騎士団の詰所っぽい、いや大きさからして本部かな?


すれ違う騎士達が次々と横に避けて敬礼をする。さすがおじいちゃん。私はどうしようもないので、平静を装って後ろを歩くのみだ。


やがて奥まった部屋に到着した。いかにも高そうな扉だ。ツカツカと入るおじいちゃん。


「孫を連れて来たぞ。」


「お前はいつも急だな。まあ座れ。」


「うちの自慢の孫達じゃ。」


「カース・ド・マーティンです。」

「アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルでございます。騎士長ブランシャール卿のご高名はかねがね伺っております。」


ぬおっ、騎士長だって? さすがアレク。よく知ってるな。


「ようこそ。私もクタナツとは縁が深い。セロニアス・ド・ブランシャールだ。アントン、アントニウスとは昔から切磋琢磨し合う仲でな。」


「さて、セリーよ。陛下とのお約束通りカースは出頭した。この場合の罪状はどう聞いておる?」


「金貨百枚でいいそうだ。ただし後日王宮に出向いてもらう必要がある。」


「分かりました。お支払いいたします。」


「待て待てカースや。先日の偽勇者の賞金がある。あれで払っておくわい。」


「ありがとうございますおじいちゃん!」


それからは雑談タイムだった。魔蠍どころか闇ギルド、暗殺ギルドなど、スラムが丸ごと弾圧の対象となっており、かなりの人数が奴隷落ちとなり鉱山に送られたらしい。本当に全滅したのか? そして毒の出所はついに分からなかったとか。あの時姉上を刺した残りの二人については、フェルナンド先生も探してくれたのだが、見つからなかったらしいし。どうせ死んでるんだろ。先生にもお礼を言いに行かないとな。恥ずかしながら私は姉上から聞くまでは全然気付かなかった。自動防御の感覚からすると私には一人ずつ刺しに来たんだろうな。


闇ギルドと言えばラグナ。そしてもう一人のあいつも生きてたんだな。ゼマティス家で真面目に働いているらしい。昨日もいたはずなのに溶け込みすぎてるのか、さっぱり分からなかった。帰ったら話してみよう。楽園行きが無期延期になってしまったからな。


何にしても大した罪にならなくてよかった。金貨百枚って普通なら奴隷落ちよりキツい罪だけどさ。ムカついて大暴れしようにも、あっさり鎮圧されてしまうだけだもんな。大人しく生きていこう。国王に貰った各種許可証が取り出せないのはまずいかな。不敬罪とか言われたらどうしよう?


それに魔力のことをおじいちゃんにも伝えておかないとな。また気が重くなってきた。まあバレてるかも知れないけど。


「ところでカース君はもうクタナツへ帰ってしまうのか? 休みを王都で過ごしたりはしないか?」


「急いで帰ることはないですね。こちらのアレクサンドリーネの冬休みに合わせるつもりです。」


「私は領都の魔法学校に通っておりますので、もう一週間ぐらい滞在できるかと思います。」


「どうしたセリーよ。カースに何かあるのか?」


「王国騎士団に欲しいのだ。あの魔法なしの部、決勝戦。その歳でよくあそこまで……あの子、スティードは近衛に行ってしまうだろう。ウリエンも近衛にとられた……君が欲しい!」


じじいに君が欲しいって言われるのはキツいな。


「はっはっは。無茶を言うな。カースは王妃殿下直々のお誘いすら断ったのじゃぞ。旅に出るからとな。」


そうだった。旅にも出られなくなってしまった……参ったな。将来設計もズタズタだな……まあいいや。


「そうなんです。旅に出るかは分からなくなりましたが、クタナツで暮らすつもりなものですから。」


「そうか……私の叔父はクタナツの前騎士長だったのだが、いい所のようだ。羨ましいな……」


前騎士長!? アレクパパの前任か。

そしてまた雑談が盛り上がってしまった。

話はカムイやコーちゃんのことにまで及び、出頭しに来たはずなのに楽しいひと時を過ごしてしまった。

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