62、カース、露天風呂を堪能する
冬の到来、紅葉が見られないここクタナツでは、秋がいつ終わったのか感じることが難しい。
秋が来たのか、寒くなってきたな、なんて思うともう冬が来ている。
ついに露天風呂に入る時が来た。
夕食を終え、私は裸になり外に出る。手にはホットミルクも用意した。
外の気温は体感で三度ぐらいだろうか。
寒くて堪らない。すでに水は張っている、後は火球で加熱するのみ。
『火球』
しまった! やり過ぎた!
水が全部蒸発してしまった! 水を入れるところからやり直しか……せっかく溜めておいたのに。
『水球』『水球』
そして『火球』
まだだめだ、水がすごい勢いで沸騰している。ならば初級魔法『水滴』
水で薄めて温度を下げる!
よし! 適温! 入るぞ!
はぁ、最高だ。冷え切った体に染み渡る。
こんな贅沢は王族だって知らないはずだ。
星が瞬いている。知ってる星座は一つもない。
魔力ごり押しで宇宙に出ることはできるのだろうか。できても戻れなくなりそうで怖いな。
GPS魔法なんてないだろうしな。
その前にクタナツ周辺しか知らないし、魔境は広いし王都は遠いし、行くべき所がまだまだある。
ホットミルクがうまい。そんな先のことを考えても仕方ないか。
魔法がいい感じに使えるようになってきたことだし、少しずつ生活を快適にしていこう。
次はトイレかな?
ウォシュレットが欲しかったんだよな。藁や縄で拭くのはもう慣れたけど地味にストレスが溜まる。
もちろん機械としてのウォシュレットを作る気などない。魔法を使って自力でウォシュレットを再現すればいいだけだ。
オディ兄はうまくやってそうだ。たぶん我が家はみんなそれなりにうまくやってるんだろうな。
精密な制御でウォシュレットを再現してやるぜ。
お読みいただきありがとうございます。




